気まぐれ徒然なるままに

気まぐれ創作ストーリー、日記、イラスト

Stay With Me ( Forever & Always 3 )

2019-05-04 22:48:49 | ストーリー
Stay With Me

ー Forever & Always (3) ー











寺崎が失意の中にいるその頃

俺も付き合っていた彼女とギクシャクしていた




1週間の海外仕事から帰国する俺を彼女は空港で待っていた



こんなことは珍しい




帰国したその足でスタジオに向かうつもりでいたが彼女と食事をしてから向かうことにした





わざわざ空港までどうして? と問いかけると


彼女は俺の顔が見たかったからと言った






それが本心ではないことぐらい表情を見ればわかる





少しでも早く話したいことがあったのだろうと察しはついた





なかなか話を切り出さない彼女に


俺は冗談ぽく





“ もしかして 好きな男でもできたとか? ”
と問いかけた




少しの沈黙の後

彼女は黙って頷いた








そうか …




“ わかった 。じゃあ、別れよう 。幸せになれ。 ”


そう言って俺から先に席を立った







彼女には結婚願望があった

結婚願望のない俺に不満を持っていたことは気づいていた




気づかないふりをしていたズルい俺は

惰性に似た付き合い方をしていた





彼女のためにも

ーー これで良かったんだ






俺達はそんな風に

2年間の関係に終止符を打った






ーーーーー






週に数回

自宅近所にある小料理屋で晩飯を食べて帰ることが多い




それだけ通っているから
小料理屋のママとは親しくなっている




今夜も店の暖簾をくぐった




いらっしゃい と明るい笑顔で迎え入れてくれた




あれ バイトの子 入れたのか





カウンターの中には見知らぬ若い女の子が店の手伝いをしていた




私の姪だとママから紹介された






その姪の女の子はまだ20代半ばぐらいだろうか

バイトとして数日前から来ているらしい



化粧っ気はなく素朴な感じの女の子





ーー この子

メイクしたら印象かなり変わるタイプだな




しばらく彼氏もいないから誰か良い人がいたら紹介してやってくれとママは笑った




ここにいれば客の中から気になる人でもできるんじゃ?



俺は煮魚と煮物を酒のつまみにしながら
ママとそんな話をして店を出た





それからしばらくぶりに
またあの小料理屋に入った


そのバイトの女の子は常連客と気さくに話ができるようになっていた



へぇ

あの子 笑うとあんな感じなんだな






店では常連客からは親しく “ 沙良ちゃん ” と呼ばれるようになっていた




いつの間に …

俺 そんなに最近来てなかったんたんだな





“ 沙良ちゃん ” か

覚えておこう









ーーーーー






それから3日後の昼間


雑貨店での撮影があった




男女のモデルがデートをしている設定での撮影



全て撮り終え
撤収準備で車に機材を積んでいた時

一人の女の子から声をかけられた





スタッフじゃない

初対面だよな?



誰かと間違えてるなと思った





「 偶然ですね 、斉藤さんは今日ここでお仕事だったんですね 」



親しげに話かけてきた




どこで会ったかな …

思い出せない





「 あれ 、わかりませんか? 私です 、中川です。」




中川 … ?





「 小料理屋の 。 」





ああ、小料理屋の女の子ね!





「 わかんなかったよ 、感じ違うから (笑) 」




あの小料理屋では
ほぼノーメイクにパーカーとデニム姿



なのに この全身黒の格好良いマニッシュ系の服にモード系メイク



印象が全く違う



凄いギャップだ

別人みたいだな





「 お邪魔しました 、またお店に来てくださいね 」


「 ああ 、また寄るよ (笑) 」





強い女と感じさせるメイクに服だったな



そのギャップは俺の中で強く印象に残った





ーーーーーーー





それから数日後

小料理屋に行くと




いつものノーメイクにパーカー姿の沙良ちゃんがいた





ほんと別人だな (笑)

「 ふふっ (笑) 」






ママがお通しを出しながら話かけてきた

「 今日は良いことでもあった ? 」




「 ああ 、 そうだね (笑) ビールもらおうかな 」




沙良ちゃんと目が合って微笑むと




「 斎藤さん 、私がわからなかったんだよ (笑)
ひどくない? (笑) 」




偶然会った時のことをママに話をしている



そりゃわからないでしょう!と二人は笑い合っていた






ママは彼女の服やメイクが気に入らない様子




あの格好じゃ彼氏もできないでしょ!?
女の子らしい格好しなきゃ、と呆れていた





ママから

あなたはどう思うかと俺に聞いてきた




「 え? 」




「 ファッション関係の仕事してる斉藤くんからアドバイスしてやって (笑) 」




「 ふふふっ (笑) 俺は悪くないと思うよ (笑) 似合ってたからね (笑) 」




「 私にはわからないわぁ (笑) 」

ママは豪快に笑った






「 斉藤さんにそう言ってもらえたら自信持てました!ありがとうございます! 」





随分 明るくなった沙良ちゃんを見てるとつられて自然と笑顔が出る





何となく彼女が気になり始めた頃
彼女に聞いてみた





「 そう言えば 彼氏募集中だったけど彼氏はできたの ? 」




彼女は目をぱちぱちさせた






「 なんでですか!? 」


「 ずっと前にママが言っていたから 」


「 いやぁ~ まだいませんよ (笑) 」






そうか

だったら …



「 じゃあ 、俺とデートしない ? 」






女は目を見開いて驚いた表情に変わった





「 あら ? 斉藤くん彼女がいるでしょ? 」

酒を棚から出しながら聞いてきた





「 前にね。もう別れてるんだ 。今はフリーだよ (笑) 」



「 あら! そうだったの (笑) 」



「 ご飯ぐらいなら行けそ ? 」



「 はい 、ぜひ!(笑) 」






良かった ーー





「 いろいろ指南してやって!(笑) この子ったら 、女らしさが全くないから (笑) 」



「 ふふっ (笑) 」



「 おばちゃん! 」

恥ずかしそうにママとじゃれてる姿は
まだ10代の女の子のように見えた










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