気まぐれ徒然なるままに

気まぐれ創作ストーリー、日記、イラスト

Stay With Me ( Forever & Always 5 )

2019-05-28 12:39:41 | ストーリー
Stay With Me

ー Forever & Always (5) ー












現時点でわかっている休日を彼女にLINEで送った



送った直後に既読になった

撮影再開の呼び出しでスタジオに入った





仕事が終わってLINEを確認したけど
彼女からの返事は来ていなかった




前も返事が来なかったな


まぁ 焦らず待つことにしよう







そういや 寺崎にも飲みに行かないかと誘っていた返事も無いままだったな



寺崎に電話をかけてみた




『 すまん、返信してなかったか? 』


『 頭ん中は彼女のことばっかりだったのか?(笑) 』


『 そういう訳じゃない(笑) 』


嬉しそうな声




また寺崎と彼女の関係が戻って

仲良くやってる様子が伝わる






結局 寺崎とは昼間にメシでも、という話になった



今契約している会社と契約解除してフリーになろうかと考えていた


それを誰よりも信頼している寺崎に一言話しておこうと思っていた




いつかは

また俺のカメラの原点のアメリカに行こうと思っていることも






ーーーー







三日経ったけど

彼女からの返事が来ない




返事、くれないつもりなのか?



俺もずっと夜も仕事が入っていたから
あの小料理屋には行けてない


今夜も行けそうもない






次の休みまで あと一週間 …

俺に警戒したのだろうか





そうだとしても

それは仕方がない



彼女は俺と違って純粋で真っ直ぐな子だしね






そうは思いつつも




スマホが鳴る度

彼女からではないかと思っては落胆するようになっていた







ーーーーー







とうとう休みの前日




こんなに女から連絡が来ないことを気にしたことは無かった





撮影が終わってスタッフとPCでチェックし
打ち合わせを終えて時計を見ると18時になっていた





今日は予定よりも早く終わったな



スマホを見るとメッセージが入っている





もしかして …

開いてみると彼女からだった







やっと返事をくれた …








“ 返事が遅くなってごめんなさい!

仕事を調整してて、直前の連絡になりすみません。

明日何とか休めることになりました ”




仕事の調整をしていたのか




“ 今日はお仕事 何時に終わりますか? ”




今夜?




“ 今終わった所だよ。 今日は早く終われた。 ”


直ぐに既読がついた



“ 今 電話してもいいですか? ”


俺から電話をかけたら彼女は直ぐに電話に出た






『 こんばんは! 』


明るい声が聞こえた



『 ふふっ(笑) こんばんは。 』



『 明日なんですけど、何時から大丈夫ですか? 』



『 今から会えるのかと期待したのに(笑) 』



『 今からですか!? 』


ほんとリアクションが大きいな(笑)




『 今どこですか? 』



ん? 会えるってこと?



『 今は渋谷のスタジオから出るところ。』



『 渋谷だったら近いので向かいます。 』


お、マジか (笑)




30分後 渋谷のタワレコで待ち合わせをした



Suchmosの新譜を試聴していると沙良ちゃんが現れた




「 Suchmos 好きなんですか? 」


「 結構ね(笑) 晩ご飯 何か食べたいものある? 」


「 中華は?」

彼女がたまに行くという店に入ることにした





食事をしながら彼女の話を聞いた


沙良ちゃんは男の子兄弟の中で育ったようで
子供の頃の可愛いやんちゃな武勇伝を話してくれた

女らしさが無いと小料理屋のママが嘆いていたけれど

それは子供の頃から男の兄弟や男の子とばかり遊んでいたからのようだ




それでも俺は今のこの沙良ちゃんで良いと思えるけどな







ーーー




店を出たら
一気に冷たい空気に包まれた



「 冷えてきてるね(笑) 」


彼女の肩を抱いたら 俺の顔を見上げた




「 やっぱり慣れてますねー!(笑) 」



「 やっぱりって? 」



「 こういうところ!(笑) 」



肩を抱いている俺の手を見た



「 ほんとはこっちの方が良い。」


彼女の手を握ったら
目をパチパチさせた



「 どれだけ君からの連絡に首を長ーくして待ってたか知ってる?(笑) 」



彼女が苦笑いをした



もう直ぐクリスマスが近いから街のイルミネーションが美しい



それを見上げて歩きながら

彼女の冷たい手が少しずつ温かくなっていくのを感じた






どの恋も


あの時のようにまた誰かを深く愛せるかもしれない と


“ ある女性 ” との思い出に
俺はまだ縛られている ーー







「 沙良ちゃん 。今夜も酒、飲むの? 」



「 飲む (笑) 」



やっぱり飲むのね (笑)

今夜もおあずけコースになるな





俺のこと どう思ってるのかが気になる

嫌われている訳ではないことはわかるけど




今何してる? とか

そんな何気ないことすら連絡をくれなかったのは

そこまでの距離に俺はいないってことなのだろうか




俺はそんなことを気にするような男じゃなかったはず





俺は繋がれた手を意識しながら聞いてみた




「 明日休みだろう??
今夜、ずっと一緒に過ごせる?

でも、君とこうして過ごしてるだけでも良いとも思ってる。」




急に深刻な表情で考え出した



「 困ってるね(笑) じゃあ前に言ってたクラブにでも行く? 」



「 斎藤さんの部屋で朝まで飲むっていうのは? 」



「 なんで俺のとこ? 」



俺の家に来ることに君は警戒しないのね(笑)



前も思ったけど
こういうところ本当に無防備で危なげだな




「 わかった(笑) じゃあウチくる? 」






500ml のビールを6缶につまみになるものをコンビニで購入をしてタクシーに乗った



「 ね、沙良ちゃん。 これ全部飲むつもり? 」


「 あっ、ははははっ!(笑) 」



なに? そのごまかし笑い

確かに今は色気は感じないけど
こんな彼女に癒される





隣の彼女を見たら僕の口元を見てた


「 なに? 」


「 斎藤さんって唇柔らかそうですよねぇ。」


「 よく言われる(笑) 」



彼女の耳元で囁いた

「 ( これも言われる。キスが気持ち良さそうっだってね。) ふふっ(笑) 」



「 なっ!? あはっ、はははっ! そうですね!」



彼女は落ち着かない様子で手に持っているバッグを握り締め無言になった


こういう所に彼女の初々しさを感じる


いや、大胆なのか初々しいのかよくわからんな




俺はこんなに若い子と付き合ったことはないし口説いたこともない




今まで年上の女との付き合いが多かったのは

あの女性(ひと)の面影を無意識に追ってしまうからだろう





タクシーを降り 俺は家の鍵を開けた


ドアを開け 電気をつけ
彼女を部屋の中に案内をした



俺の家は古民家をリノベーションしている


「 外観と中のギャップが凄い! 」


「 中だけリノベーションしたからね(笑) 」



物珍しそうにキョロキョロ見てる(笑)




「 ほんとに彼女とかいないんですね … 」


「 なんで? 」


「 彼女がいたら堂々と(私を)入れないでしょ?」



「 もしかしてそれを確かめるため?(笑) 」



「 まさか(笑) そんなんじゃないですよ(笑) 」




部屋の暖房を点けた




「 寒いから暖かくなるまで待ってね。どこでも座って。」


ビールを飲むためのグラスを出した



「 やっぱり斎藤さんは全てがオシャレですね … 」



彼女は本棚にある写真集を手に取って開いた




「 身近にあるものは俺が気に入った物だけだよ。
それ以外は必要ない。それは人でもそうだよ。」



「 … え? 」 僕の方に向いた




買ってきたビールにつまみ

それとサーモンのマリネとチーズをソファのテーブルに置いた




サーモンのマリネを見て

「 わ、凝ってる … 」 と感動している


皿に盛っただけなのに?(笑)





「 こんなので感動してくれるとは(笑) 」



「 全てが洒落ててドキドキする! 」



「 ドキドキって(笑)

もっと他のことでドキドキしてくれないの?

じゃあ、お望みのビールお注ぎしましょうか?(笑) 」



ソファに座ってビールを注ぎ、グラスを合わせると

彼女は旨そうにビールを飲んだ





ほんとにビール好きなんだな(笑)





「 (ビール) 冷たいのに身体冷えない? 女の子は身体を冷やすのは良くないよ? 」



ブランケットを彼女の膝にかけた





「 優しい!(笑) 」



「 職業柄そういうとこ気になる (笑) 」



「 そっか(笑) 」



エアコンだけだと寒いだろうとホットカーペットの電源を入れたから

彼女は温かくなったカーペットに直に座った








「 今夜は深酒やめてね(笑) 」


「 深酒? (前回は)そんなに飲んでるつもり無かったけどなぁ(笑) 」



あんなに泥酔してのに?(笑)



「 俺、酔っぱらった女の子には手を出さないんだよね(笑) 」



頬がポッと赤くなった


「 そうなんだ … なんか意外だな。」



「 意外? 俺をどんな男だと思ってる?(笑) 」



「 モテるから女には困ってないんだろうなとは思ってる … かな? 」



「 待って、もしかして君には俺が軽い男に映ってる? 」



「 軽いとかそじゃなくて(笑) 狙った女は必ず落とせるみたいな?(笑) 」




「 なんだよそれ(笑) そんなことないから(笑)

こう見えても一途で浮気もしたことないんだけど? フラれるのはいつも俺だしね(笑) 」



「 冗談でしょ? 」



「 ほんと(笑) 」






そんな簡単に誰かを好きにはなれない




同時に複数付き合うなんて
俺には面倒くさいだけだ



気持ちが入らない身体だけの関係は

一時的な欲求が満たされるだけで
その後 心が虚しくなる


それだけ歳を重ねたってことだろうな







俺は また君に会いたいと思っていた


そういう

旨そうにビールを飲む君をまた見たいと




「 私は … 」



「 うん。」



「 誠実な男となかなか巡り会えない(笑) 」




あぁ …
二股かけられたと言ってたな



「 世の中そんな男ばかりじゃない。 一途な男もいるからね。」



寺崎の顔が浮かんだ



「 俺の親友なんだけど、昔から純粋で優しい奴でね (笑)

呆れるほど彼女に惚れてて(笑)

だから不誠実な男ばかりじゃないってことね? 」




「 私の見る目がないのか、そんな人と縁がないな(笑)

そんなお友達がいるってことは斎藤さんも誠実なんだね(笑) 」




「 不誠実ではないつもり(笑) 冷めてるように見られがちだけど(笑) 」



今まで付き合ってきた彼女さえも


あなたは強いから
恋しいとか寂しいという感情が無いんだろう と ーー




そんなこと

… ないんだけどね







「 私は温かい人と思いますけど? 」





え …




「 そうか(笑) それは嬉しいな(笑) 」



「 少し寂しそうに見える時もあるから何故かなって … 」



ドキッとした



「 … そう? (笑) 」



驚いた

そんな顔してるつもりはなかったんだけど





なんだか

嬉しいのは何故だろう …








ーーーーーーーーーーー


Stay With Me ( Forever & Always 4 )

2019-05-28 12:30:53 | ストーリー
Stay With Me

ー Forever & Always (4) ー













沙良ちゃんと食事の約束をした夜になった






お 、今日は前のマニッシュ系とは違うな



ロングだけど 一応はスカートを履いてる (笑)





店ではいつもデニムだったしな …



一応 デートってことを意識してくれたのか?(笑)




「 すみませーん! 」


小走りで息を切らしやってきた




「 遅れてすみません! 」



「 いや 大丈夫だよ (笑) 」




女の子が好きな感じの落ち着いた創作居酒屋の個室を予約していた



ワクワクしている表情の彼女が前に座った







仕事で若いモデルの子を撮ることはあっても



プライベートでこんなに年齢が離れている子と食事をしに行くことなんてなかったな




寺崎が15歳も年下の彼女に気後れしていたこともわかる気がする






「 なに飲む? 」



「 じゃあビールでぇ! 」



言い方が …



「 クククッ (笑) 」




なんとも可愛いらしい




「 可笑しいですか??? 」



「 いや 、可愛いなと (笑) 」





目を大きく開いてぱちぱちさせている

この癖も (笑)






恋愛感情は正直なところ
今は感じてはないけど

この子を見てると癒される





そうだな

仔犬を見ているような感覚に似ているかも










たわいもない会話でも

この子が話す姿を眺めているだけで良い






「 そんな風にずっと微笑みかけられると話づらいんですよ! 」



照れてるのもね



「 一応 、俺 男として意識してくれてるの? 」




彼女がまた目をぱちぱちさせた




「 そりゃもちろんですよ! 」




「 それは良かった (笑) 」




「 もしかして冷やかしで誘ってくれたんですか? 」




え?




「 まさか、なんで ? 」




「 何となくですけど … 」




えー? ほんとにー? と思っているような目で俺を見た





「 本当に冷やかしなんかじゃないよ。
君を見てたら癒されるし楽しい。だから誘ったんだよ。」





「 だからそういう目で見ないでくださいよ(笑) 困ります(笑) 」





ますます照れてる



ほんと可愛い表情するなぁ






「 どんな目 ? 」 わざとじっと見つめる



「 その目ですよ! 鏡 見ます!? 」





彼女の顔が赤くなってきた





「 顔赤くなってきたよ (笑) 」





ちょっとからかってみたら

ますます顔を赤くした





「 お酒で赤いんですよ! 」





ムキになった

ふふっ




25よりも若く感じる

ほんと10代だ (笑)




それにしても
えらく早いペースで飲むなぁ





「 ペース早くない? 大丈夫 ? 」



「 大丈夫! 」


まさか緊張してる?






店を出た時 彼女はすっかりできあがっていて足取りが危なっかしい




若い子の飲み方だな (笑)






ふらつく足取りの彼女の肩を支えてタクシー乗り場に向かった



まさか1件目でこんな状態になるとはな (笑)



あまり飲ませ過ぎたら俺がママに怒られちゃうよ








「 まだ帰らないよっ 」


少しろれつが回らない口調で帰ることを拒んだ





「 いやいや、もう帰りな (笑) 」



「 まだ1件しか行ってないのに~ 」





酒癖悪いな (笑)




「 せっかく斉藤さんと飲みに来たのに … 」


シュンとなった


だったらそんなに飲まなくても良かったんじゃ?と思ったが

そんな残念そうな表情されると …




「 んー じゃあ 、、あと1件だけね 。どこ行きたいの? 」



「 クラブで躍るのはー? 」




それじゃますます酔いが回るだろう!?

危ない危ない!






「 クラブは今度ね。他は? 」


「 じゃあ飲む! 」






まだ飲みたいのか(笑)






「 そんなに飲んで大丈夫? 」


「 友達とは朝まで飲むよ! 」





若いな!

あー でも俺も若い頃はそうだったな






「 んーじゃあ 、あと1杯だけ。で 、帰ろうね(笑) OK? 」



「 えー!わかったぁ。OK~♪ 」




あぁ 早くこの子を家に帰さないと






近くの居酒屋に入って彼女はまたビールを頼んだ




終始ご機嫌な様子





「 君はどんな男と付き合ってきたの? 」


「 うーん ? ダメな男が多かった (笑) 」


「 どんな? (笑) 」


「 二股とか?(笑) 」




あぁ … なるほど




「 斉藤さんは優しいよねー (笑) 顔良し 、性格良し 、 センス良し!

それでモテないわけないよね(笑) 」




「 まぁ、、それなりに? (笑) 」




「 でしょうね!(笑) で? なんで誘ってくれたの? 」




「 可愛いからだよ(笑) 」




「 可愛いなんてこと初めて言われたよ
。」


目をぱちぱちさせた





「 でももう深酒はやめようね (笑) 一晩中介抱したくなるから。」




ぶはははは と爆笑した




いやいや

ここ爆笑するところじゃないと思うけど?





でもその豪快な笑い方に俺もつられて笑った







本当に1杯だけにして彼女をタクシーに乗せた




「 あれ? 家まで送ってくれないの ? 」



「 部屋に上げてくれるならね(笑) 」



「 いいよ!あ!じゃあ家で飲もう! 」




いいの?

しかもまだ飲む気!?




「 んー。 わかった。」



取り敢えず送り届けないとと思い
一緒に彼女のマンションに向かった






おぼつかない足どりで部屋の前に着き

鍵を開けた




「 どうぞ~! 」




こんな軽いノリで男を部屋に招き入れて
この子 大丈夫なんだろうか




「 じゃあ、お邪魔します。」





へぇ~

部屋は女の子らしいんだな




ミッキーが好きなのか


ミッキーやミニーのグッズやぬいぐるみが沢山あった





「 ビールしかないけどいいかなぁ。 」



よほどビールが好きなんだな




「 うん 。いいよ 。俺 どこに座ればいいの? 」



「 狭いからどこでもどうぞぉ! 」




彼女はベッドを背もたれにして座った

そこが彼女の定位置のようだ






スルメに柿ピーか

まるでオッサンだな(笑)





そういえばママが …

女らしくして欲しいとこの子に口酸っぱく言ってたな






「 ねぇ 。俺 、男だけどこんなに簡単に部屋にあげて良かったの? 」



「 え ? … 」




え? なに?

今 初めて気付いたようなその反応




「 あはっ、あはは … そうだったね 」



彼女は笑ってごまかした




「 ほら! 斉藤さんは私のこと女に見えないでしょ!? 私 オッサンみたいだからさー! あははっ 」





「 俺には女に見えてるけど? 」



びっくりして目をばちぱちする彼女が可愛いくて眺めていた




「 だから見つめないでくださいよー (笑) あははっ 」




「 俺のこと男として意識してくれてるの? 」




「 まぁ 、そりゃ、 、 」


照れくさそうに返事をした



「 良かった (笑) 今度は酒抜きでデートしよう 。
じゃあ俺 、帰るね 。」




ジャケットを持って立ち上がろうとした




「 え? もう帰っちゃうの ? 」




残念そうに目を潤ませて俺を見つめた






そんな顔

されたら …





目を見つめながら顔を近づけた


「 それは … 今夜 ここに泊まっていいってこと? 」




視線を反らして迷っている表情が可愛い




「 ふふっ (笑) じゃあ帰るね。」



髪を撫でて立ち上がった






「 またデートしよ? 連絡待ってるから。」





彼女の部屋を出て表通りでタクシーを拾い乗り込んだ






“ 初めてが酔った勢い ” だったなんて

まるで卑怯な男がやることみたいだろう?





わざと女を泥酔させる奴もいるけど

俺はそういうのは好きじゃない ーー






でもなぁ …

あんな表情されたら



さすがに大人の男の理性もグラグラ揺れたわ(笑)






ーーー



顔見知りの恋愛ベタな若い女の子に
軽い気持ちで食事に誘っただけ


ただそれだけだった



でも最後は俺の方が彼女を女として意識した

そんな自分自身に少し驚きを感じる





純粋な反応が新鮮だからかもしれないが

ずっと見つめていたいと思わせるものがある彼女





また二人で会えればな


俺は彼女の方から連絡が来るのを密かに期待した






ーーーーー








それから10日間

その間 数回店で彼女と顔を合わせた



彼女から連絡が来ることはなく
俺達の関係は店員と客のまま何も変わっていない



まるで何事もなかったかのようないつもの彼女だった





「 そう言えば 、二人デートしたんじゃなかったっけ ? 」



カウンターの隅が定位置の年配常連客の泰三さんが俺に話しかけてきた





「 ええ、とても楽しかったですよ(笑) 」




「 私 、調子こいて飲み過ぎちゃってほとんど覚えてなくて …

食事してたのは覚えてるんだけど、どうやって帰ったんだろ~ (笑) 」





え? あの日のこと忘れてたの?



しかも食事中からって _

ほとんど忘れてるってことなのか?




そこまで酔ってるようには思えなかったけどな




だから連絡がなかったのか





なんだ

俺 フラれたのかと思ったよ



良かった







「 まぁ珍しい。そんなこともあるなんて (笑) 」


ママが笑った




それは いつもなら記憶が無くなることはないってこと?





「 斎藤さん素敵だから凄く緊張して直ぐ酔っちゃった(笑) 」



そんなには緊張してなかっただろう!(笑)




「 なんで緊張したの? 」 そう尋ねると




「 それは斉藤さんが格好良いからですよ! (笑) 」




泰三さんが 確かにな 、と笑った






あれ? なんか …





沙良ちゃんにLINEを送った




“ ほんとに食事したことしか覚えてない? ”




それを読んだ沙良ちゃんは俺の顔を見た





“ 次のデートの約束のことも? ”




彼女がそのメッセージを読むと
慌てて空いた皿を引き上げだし洗い物を始めた





あの反応 …

覚えてるけどスルーしてたってこと、か


やっぱり俺 フラれたのか


そうか …






「 ママ 、お勘定お願い 」


店を出てLINEを送った




“ 俺フラれたんだな。約束したことは忘れてね。”




直ぐに既読がついた




“ そういう訳じゃなくて ”



あれ? 違うのか?






なぜ私のようながさつな女を誘ったのか

あの夜のこと思い出したら照れくさいのにまた二人きりでどんな顔すればいいのかわからない



そんな可愛らしい内容の返事をくれた






なんだ やっぱり忘れてなくて

ちゃーんと覚えてんじゃん(笑)






俺のこと意識してくれてる





“ あれから一度も連絡くれなかったのに ? ”

わざと
いけずな返しを送った




“ なんて返したら良いかわからなかったから ”




“ 俺はずっと楽しみに待ってた。フラれたんだなと思って諦めるよ。”




彼女はスマホの画面を見ながら慌てて店の外に出てきた






店の傍の曲がり角にいた俺に気付かず

彼女は俺に電話をかけてきた






『 もしもし? 』 彼女を見ながら電話に出た





『 だからそういう訳ではなくて、私は … 』




「 “ 私は ” なに ? 」

彼女に歩み寄った





俺の顔を見るなり彼女は驚いた





「 あーっ、えーっと、、」


顔が赤くなっていくのを俺は微笑みながら見つめた






「 また、デートを … 」



恥ずかしそうにうつむいた






「 今度は酒抜きでデートしよ 。で 、次は … 」


そっと彼女の顎を上げて唇を指先でなぞった



キスを予告するように





真っ赤な顔で目をぱちぱちさせた


「 OK? 」







「 それは、、 」

動揺してる



黙って返事を待った




「 おっ、、OK 、、」



「 嬉しいよ。デート楽しみにしてる 。

じゃあ俺の休みの日にち、連絡するね 。 」




髪を撫で

彼女と別れた





彼女の素直さが

とてもキラキラして見えて




心が惹かれた


彼女にまた会いたいと










ーーーーーーーーーーーー