気まぐれ徒然なるままに

気まぐれ創作ストーリー、日記、イラスト

たしかなこと 2 (15)

2020-08-13 19:27:00 | ストーリー
たしかなこと 2 (15)







ーー私は

本当にあの旅行で心が深く傷ついた



宣隆さんの気持ちは絶対に揺らがないと信じてた自分もバカだと思った

結婚したからって “絶対” なんてない



宣隆さんには私は子供に見えていたのかもしれない

結婚には無理があったのかもしれない
やっぱり結婚するんじゃなかった
子供がいなくて良かったとも思った


時々 宣隆さんが私に触れようとしてることもわかってたし 何か言いたげな表情をしているのも知ってた

でも素直に受け入れる気持ちにはなれなかった



あの綺麗な女性を好きになった事を隠そうともせず

帰りの新幹線でもずっと寂しそうに黙っていた

あんな顔して…



話しかけても上の空でただ黙って歩くだけ


横断歩道の信号が赤に変わりかけてるのに渡る宣隆さんに私は追い付けなくて

私は宣隆さんと信号で離れてしまった


それにも気づかずそのまま歩いていくその後ろ姿は…


心はもう私にはなくて
どっかに行っちゃったんだって

涙が溢れた



次の信号が赤でようやく宣隆さんに追い付いたことにも宣隆さんは気付かなくて

家の玄関を開けて入るとやっと私と目が合った


でも宣隆さんは疲れた顔でそのままソファに横になり直ぐに眠ってしまった


直ぐ傍にいるのに
… 私は孤独だった



どうしようもなく辛くて

一緒の空間にいると余計に孤独を感じて

私は逃げるように実家に向かっていた





翌朝 実家に帰っていた私を迎えに現れた彼

昨日はあんなにずっと上の空で私の存在すら忘れていたくせに

わざわざ早朝に迎えに来たんだ…



そして平気でこんなところで家族と和気あいあいと朝食を食べる彼にもイライラした


私の機嫌を伺う視線も不愉快で





きっとあの人とは本当に何もなかったんだろう



でも彼はあの日 あの時
あの女性に恋をしていた

だってあの目は
以前私に向けた目と同じだったから



ただ悲しみにうちひしがれている彼の隣にいる私は酷く惨めな想いをした


なんのために旅行に行ったんだろう
なんで結婚したんだろうと虚しくなった




寂しくて 悲しくて 悔しくて
許せないと思った

もう別れてしまいたいとまで思った



そんな彼に触れられるのが嫌で嫌で嫌で

ずっと避けてきた



私が何時に帰るかも知らないのに
駅で私をずっと待っていた彼


旅行から帰ってきて
急に現実に戻って慌ててご機嫌伺い?

何のためのご機嫌伺い?
私のこと蔑ろにしたくせに

そんな事をしても絶対に許さない


私の心の中は
そんなドロドロした感情でいっぱいだった



なのに彼は
つんけんしている私にずっと優しく微笑みかけ温かく話しかけてくる


少し良心が痛んだ‥



待っていてくれたことに
素直にありがとうと言えない自分も嫌いだ‥


ずっと意地を張ってるのも本当に子供じみているようで


少しだけ許してあげようと思った

でも完全に許す気にはなれないでいた


触れられるのにはやっぱり抵抗がある

ハグはもちろん
キスなんて絶対してやらない


そう思いながら

毎日
“いってらっしゃい”と笑って送り出していた




でも 今朝 突然 ーー

キスをしてきた



“今までお預けくらった分だけ、僕が満足するまで貴女を抱き尽くしますから。”


あの言葉に驚いた

あんなこと考えてたなんて思いもしなかった






「ただいまー。」


帰ってきた!

どうしよう…



「お、おかえりなさい、、」


ギクシャクしながら慌てて鍋の蓋を取ってカレイの煮付けをお皿に乗せた


「良い匂いだねぇ!今夜はカレイを煮付けたの?」


「… そう。」


「ケーキ、買ってきたから食後に一緒に食べようか(笑)」


ケーキの箱を冷蔵庫に入れた




そして宣隆さんは着替えるために自室に入っていった


「はぁ~っ」



今朝 突然
情熱的にキスをされて

キスひとつで
あんな視線のひとつで

また胸がドキドキしてときめいて
懲りない自分はやっぱり宣隆さんが好きだって自覚させられた



その感情を一瞬で引き戻されたのが悔しい




毎日当たり前のように見慣れてた人だけど

悔しいけど
格好良い人なんだなって思った



「手伝うね?(笑)」

お茶碗にご飯をよそってる



ーー “ 今夜は覚悟をしておいてください”



覚悟って…




「いただきます。」


「顔赤いけど熱でもあるんじゃ、、」

立ち上がり私の額に手を伸ばしてきた



私はとっさに顔を背けた


「大丈夫…」


「本当に…?」


伸ばしてくれたその優しい手が離れた瞬間 寂しさを感じた


私はほんと身勝手だ …





心配そうに時々様子を伺うようなその視線に
申し訳ない気持ちになった



「本当に、大丈夫ですから。ケーキも、、楽しみです… 」


「ん…(笑)」



あなたはもう忘れた?
あの人のこと…

あなたの心にはもう私だけ…?



「カレイ旨いね(笑) このおひたしも良い味だね(笑) 香さんの料理は本当に旨いから幸せだ(笑) ふふっ(笑)」



そんなことない

宣隆さんの方がずっとずっとお料理上手なのに



嬉しそうに時々 私の顔を見る

これがこの人の本来の温かさだ…




「ごめんなさい… 」


「?」


「素っ気なくして…ごめんなさい。」



宣隆さんは箸を止め真剣な表情に変わった



「謝っても駄目ですよ。」

チクッと心が痛んだ


優しい笑顔に変わった

「謝ったってやめませんからね(笑) 今夜は貴女を抱くと決めてるんです。まぁ… 僕の一方的なわがままですけど…ね(笑) 今日一日ずっとソワソワしていたんですよ(笑)」



本当に嬉しそうに話すその表情が少し可愛い



「こうして貴女といられることが幸せなんです。貴女の手料理を食べられることも幸せです(笑)」



「貴女を愛しているからね… 」

温かく微笑んだ



ふわっと…
心が温かくなるのを感じる



「私も、愛してます。」



本当に嬉しそうな笑顔に変わった





ーーー



食器を私が洗ってると
彼が食器を拭いて棚にしまい始めた


私のルーティンを早く終わらせたいという宣隆さんの思いが手に取るように現れていて

私までソワソワしてくる




一通り済ませ珈琲を淹れ
ケーキと珈琲をソファのテーブルに置いて座ると

彼はソファのクッションを退けて私にくっつくように真横に座った



フルーツが乗ったケーキとチョコのケーキとプリンが2つ

私はフルーツのケーキを選んで宣隆さんがチョコのケーキを食べた



「美味しい…どこのお店?」


「ほら、ついこの間近くに洒落た店できたでしょ?パン屋かな?って言ってたその店だよ(笑)」


「えっ、調べてたんですか?」


「ん(笑) 電話して取り置きしてもらってたよ(笑)」



宣隆さん…

私を喜ばせようとしてくれてたんだ…




「ありがと… 」


「ふふっ(笑) こっちのも食べてみます?」


チョコのケーキも甘すぎなくて美味しい

「もっと取っても良いよ?」


この雰囲気が本当に…

「甘い… 」


「甘い?そうかな(笑)甘さは控えめじゃないかな?」


珈琲を飲んだ



ケーキをもう一口食べてテーブルに置いた

顔が近づいてきて心臓がバクバクしてきた




「知ってますか?… 香さんは甘いんですよ」

優しいキスで頭の中がふわふわしてくる



「チョコを食べる度に香さんのキスを思い出すようになるかも… ふふっ(笑)」


宣隆さんの大きな手が私の髪や頬を愛おしそうに撫でた


「こうして触れたくて触れたくて…手を伸ばせば触れられる距離にいるのに触れられず ずっとモヤモヤしていたんです(笑)」


愛おしそうに私は彼の広い胸にうずめられ温かい幸せを感じた


ーー この人は 私を愛してる

そう感じられた



「宣隆さんはモテるんですから。外では優しい顔なんてしないで欲しい。」


「外での僕を知ってるでしょう?ヤキモチ妬いてくれるんですか?」


「まぁ… はい。」


「可愛いこと言ってくれますね(笑) 妬いた時はめいっぱい甘えてください(笑)」


「イヤ。」


「ははっ(笑) つれないなぁ(笑) …それにモテるなら君の方…」


え?


「いや… 貴女は僕だけのもので、僕は貴女だけのものですよ。」


耳や首筋に唇を這わせられそのままソファにゆっくりと倒れこんだ


「約束します。もう不安にはさせない。」


優しい眼差しに
ドキドキする…


何度も唇を重ね
肌を重ねて
愛してると何度も囁き

優しく 激しく 熱く 深く愛を示してくれた





ーーー




以前にも増して

彼はこまめにメールや電話をくれたり
一緒に過ごす時間を増やしてくれるようになった

“不安にさせない” の言葉を実行してくれてるんだろうな…



「ただいま(笑)」ハグしてチュッ


食器を洗ってる横で手伝いながら頬にチュッってしたり



「香さん? ここ、来て。」

と脚の間に私を座らせてハグしながら後ろから私に頬を寄せると少し伸びた髭があたってチクチクする


「もう!カイ君(推し)が(テレビに)出てるのに(笑)」


「カイ君は録画してるんでしょ?」と邪魔をする


「髪、乾かしてあげよう」と優しくドライヤーで髪を乾かしてまた嬉しそうにぎゅっとハグ




今夜も食後の後片付けをしてるとまたぎゅぅっとハグをしてきた


「片付かないですから、邪魔しないでください!」


「ちゃんと手伝うよ?(笑)」


「なら離してくださいよ(笑)」


「今までできなかった分のハグをしてるんです。」



子供の頃 母親に甘えられなかったから… かな

以前 酔った時に甘えてくれた時があったけど
あの時みたいに甘えてくれる


なんだか
可愛いな…(笑)



ーー チュッ…

私から彼の頬にキスをした



すると

「今の、もう一度…」

あっ、はにかんだ



もう一度軽く頬にチュッとしたら

「んっ!?」


唇に大人のキスで返された

私 またこの人に恋してる…



この前までずっと怒ってて “辛い 悲しい” なんて思いもあったのに

やっぱり この人が大好きだって自覚させられてる



「あの、今夜… 夜更かししませんか?」

今まで私から誘ったことはなかった



「…え?」



あぁっ、私ったら何言ってんだか!

「あっ、あ~、やっぱり、」

恥ずかしい…


「します!夜更かし(笑)」

瞳がキラキラした


それは ちぎれそうな程シッポを 振って喜んでいるワンコのように嬉しそうな彼




「今すぐ欲しいなぁ…」

大きな手で頬を撫でられるだけで身体がゾクゾクとして火照ってくる



「お、お風呂入ってから… 」


「もしかして、もうスイッチ入ってますか?」


「ははっ、そんなことないですよぉ(笑)」

悟られたことが恥ずかしい


「本当に?」


「あっ、ちょっと、、」

宣隆さんの手が内腿を撫でてきて下着の上から強くなぞられた


「やっぱり(笑) 僕ももうスイッチ入ってるんですけど(笑)」



硬くした所を押し当ててきた

「今直ぐ香さんの中に入りたいんですけど…」

こんな時 いつも有無を言わせないキスで誘導する



「いつも返事させないくせに、、」


「そんなこと、本当に嫌ならしないよ。」


「いやいや、キッチンで?」


「キッチンだから燃えません?」


「えっ!経験、あるんだ、、」


「ないよ(笑)」

あるって顔に書いてある



逸る気持ちを抑えきれなくて濃厚なキスをしてきた

キッチンだと凄くイケナイコトしてるみたいな気分になって…




ーーー




あぁ… 本当にキッチンはイケナイ場所だった

イケナイコトしてるみたいな気分になって



もう、、ほんと!

思い出すだけで

あぁ…


「死にたい… 」


恥ずかしい!



朝ご飯の御味噌汁のお椀を持った宣隆さんが困惑した表情で私を見つめていた



「… 今なんて」


あっ、つい、、

「… そんなに思い悩んでいることがあるんですか?」


ーー え?



眉間にシワを寄せて
戸惑っていた


「さっ、昨夜は死にたいくらい恥ずかしかったなぁ… と」


「…本当にそれだけ…?」

まだ困惑顔の彼に慌てた


「それだけですよっ!」



急に優しくセクシーな視線に変わった

「そんなに恥ずかしかったんですか?その割には」


「早くご飯食べてください!遅刻しますよっ!?」


動揺する私にクスクスと笑ってご飯を食べ始めた



いつも前髪を上げてセットしていたけど今日は下ろしていて若く見える


付き合い始めの頃より若くて格好良くなったのは気のせいじゃない

身体を鍛え始めてスーツがより一層似合ってる



「今夜は遅くなると思うので晩飯は必要ありません。気にせず先に寝ててくださいね。」


ちょっと
寂しいな…


「そんなに遅くなるんですか?」


「今夜は会食があるんです。何時になるかわからないので。 じゃあ、いってきます(笑)」


キスとバグをして出勤した




会食なんて珍しい

結婚してから何度かあったけどいつも女性の香水の香りをつけて帰ってくる


クラブとかキャバクラにでも連れていかれてるのかな

でも会食で? と疑問に思ったこともあったけど今まで深くは考えなかった


深く考えなかった事がおかしかしいのかもしれない


あの時よりずっと見た目と雰囲気がイケオジになってる今は用心しないといけない?

用心って何をすれば用心になるなのかわかんないけど




今日 私はお休みの日


家の掃除を済ませて友達のレイちゃんとランチに行く約束

だけど夜 宣隆さんいないもんなぁ…


じゃあ映画でも見て帰ろうかな



同窓会で久しぶりに会ったレイちゃんを待ち合わせているお店で会った

レイちゃんはまだ独身
それに仕事柄 色気がハンパない



「夕方から仕事だからそれまでは大丈夫よ(笑)」

クラブでホステスをしている
今は自分の店を持ちたいと頑張ってる



「独立には後ろ楯とか、やっぱり必要?」


「まぁ、ね~(笑) あれば早いけど、私はできることなら自力でやりたいと思ってる(笑)」



学生の頃 バレーボール部の部長もしていた彼女は部員をちゃんとよく見ていて 人をまとめるのも引っ張っていくのも長けていた

同級生だけど頼りになるお姉さんのような人



大人になった今は雰囲気が色っぽくて何故か女の私もテレてしまう


「どうなの? 新婚生活は。楽しい?」


「新婚って(笑) もう一年だよ?」


「まだ新婚じゃない(笑) 確か歳も離れてたわよね。喧嘩なんかしないでしょ(笑)」


「喧嘩というか私が一方的に怒ることは最近あったけど(苦笑) あははっ」


「それは仲が良いからでしょ?(笑)」


仲が良いから?

まぁ… そうかもしれないな
私が彼を好きだから腹が立ったし…



「そうかもね(笑) レイちゃんの仕事って大変でしょ?私は男性のことはよくわかんないから凄いな。」


「女性よりわかりやすいわよ? 女同士の方が複雑。もちろん人によるけどね?(笑) 香は… 分かりやすいわね(笑) これは良い意味よ?素直ってことね(笑) ご主人さんも香を可愛がってるんじゃない?(笑)」


「可愛がってって…」

昨夜の事を思い出し
また恥ずかしくなった



「ふふっ!(笑) 可愛がってくれているようね(笑)」


「なんで!?」


「分かりやすく顔に出てるもの(笑)」


「あはは… (苦笑)」


「あ、ご主人さんの写真見せて♪(笑)」



休日に料理を作っている宣隆さん
庭の植物に水やりをしている後ろ姿の宣隆さん
ソファでうたた寝している宣隆さん



「へぇ♪イイ男じゃない(笑)」

やっぱり

「…そうなの?」


「そう思うけど?スタイル良いわねぇ!身長も高そう。」


「177? 178だったかな。 この年齢でもモテそう?」


「モテる男は年齢なんて関係ないわよ。50だって60だってイイ男はイイ男。…心配?」


「まぁ… 」


「…現在進行形で悩み中?」


「悩みってことでもないんだけど…」



旅行中のこと
旅行後のことを少しだけ話をした

何故かレイちゃんには悩みも話やすい雰囲気を感じる


「セックスしてる? 」


「えっ?」顔が一気に真っ赤になった


「あはっ(笑) そんなに驚く質問?結構重要ポイントよ?求められない?」


「それは… ないけど… 」


「どのくらいの頻度? 香から求めないとしない、とか?」


「私から?」


「香から求めないの?」


「求めないよ!」


「なぁに~?そのいちいち純情な反応(笑)」


「私って、、幼稚、かなぁ。大人の女性に見えてるのかな。求めた方が良いの?」


「求めない方がわからないわ(笑)」


そういうもの?

「それじゃダンナは寂しいんじゃない?求めてくれないのはほんとはイヤなんじゃないかって。熱が冷めてきてもおかしくないわよ??」


えっ!?

「そんな、、」


レイちゃんは何か考え事を始めた

「んー。じゃあランチの後、買い物に行こ?(笑)」




ーーー



「こんな服、着たことないよっ」


「だからよ♡」


胸元と背中が大きく開いた丈の短めの大人っぽいワンピースを試着した


「こんな短いの、着たことない、、」


「なんで?このくらいの丈、ほら?みんな着てるわよ?私だって(笑)」


外を歩く女性を指差した


「香は昔からボーダーのカットソーとロングスカートとかパンツとか、とにかく肌を隠したナチュラルな服ばかりだったから抵抗感があるのかしら。」


「こんな露出多いと裸で歩いてるみたいだよ」


「とにかく慣れなの!慣れれば良いだけ(笑)」


服を気にかけたことなんて無かった
まぁセンスは無い方だったし

でもこれは…


「ダンナ喜んでくれると思うんだけどなぁ~?」


その一言で決めた

「じゃあ、これにする!」


「ふふっ!じゃあ次の店ね(笑)」




次はランジェリーショップだった

レイちゃんが選んだのは大人っぽいブラとショーツのセットだった



「こんなの無理だよっ」


「普段つけてるのってこんなのじゃないのぉ?」


手に取ったのは本当に普段つけているようなオーソドックスなものだった


「そう。」


「でしょうねぇ(笑) 女を上げるにはこれぐらいは必要よ?なんならこっちでもいいくらい。」


透け透けのブラにショーツ


「そんなの下着の機能を果たしてないじゃないっ」


「え?これは機能性を求めるものじゃないわよ(笑) これは夜につけるもの。普段はコッチ。」


その普段用のブラですら私には不似合いでハードル高いんだけど

この透け透けの方は…?



「これ、わざわざ着替えるってこと??」


「そうよ。」当然!という顔をした


「ダンナを悦ばせるためのものなんだからねぇ?(笑)」


「恥ずかしくて死ぬっ!」

「あ、これ脱がなくていいわね!ほら、」

ブラにもショーツにもスリットが入っていた



「これいいわね♡(笑)」

レイちゃんは普段こんなの使ってるの?


「こんなの… 」


「悦びそうもない?」


「わかんない… けど買う、両方」



これで宣隆さんが喜んでくれるのかわかんないけど、大人の女になれるなら、、


大人の女…


旅行先で宣隆さんが心を奪われたあの大人の女性を思い出した




「結果どうなったか、アドバイザーの私にちゃんと報告してね♡」




ーーー



結果って、、

きっと宣隆さん 嬉しいよね?

ん? 待って!逆にドン引きするんじゃ…



私には大人の色気とか全くない

モリモリご飯食べてる姿が好きとか可愛い、は言われるけど


瞬間的に心が惹かれるのはあの人みたいな大人の人なのかな


今までそんなこと考えたこともなかったのに
あの一件から いちいち気にして考えてしまうようになった



これ トラウマなのかな…



一人で晩御飯を食べて映画館に入った

平日だから日曜ほどの人の多さはなかったけど夜だからカップルがチラホラ

やっぱり家で観るより映画館の方が良いな~♪




「あれっ?笹山さん?」

声をかけてきたのは元同僚の梶さんだった









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