モジリア

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豆本エッセー 花菖蒲

2013年03月19日 | 豆本

ー花菖蒲ー

 インターネットで調べていると偶然、

野田市市制公園に2万株の花菖蒲田があることが分かった。

堀切菖蒲園は7千株の花菖蒲園、株数から云っても3倍近い規模だ。

 

きっと開花時期にあわせて何かイベントがあるに違いない。

イベントを中心に記事が書ける。

 

主催者側に少しはお役に立ち、市民にも話題が提供できる。

開花時期は6月、予告記事を書くにも丁度良い時期だった。

 

早速編集へ企画書を上げ、間もなくOKのサインがでた。

 管理事務所に電話、取材を申し込んだ。

 

「取材って、何を取材するのですか・・・・・・」という。

ヘンだなと思いながらも、

「イベントとか何か予定があったら聞かせていただきたいのです」

「そうしたものは特にありません」と係りの人が言う。

 

特になくても何かはあるだろう、と思って、アポだけは取った。

「特になくても何かはあるでしょう・・・・・・」とかなり食い下がっても、

「無いものは無い!」と取り付くしまが無い。

花菖蒲の写真だけを借りて管理事務所を後にした。

 

体育館うしろの花菖蒲田へ行ってみると

2,3人の作業員が田の草取りをしている。

かなり広い。ベンチも数脚、中央には東屋もある

作業員に話しかけた。

「6月始め、梅雨入り前が見ごろ、是非いらっしゃい」と

作業を続けながら誘ってくれた。

 

イベントらしいものが何も無いとすると

花菖蒲そのものにについて書かざるを得ない。

書けるはずの記事の書きようを失ってしまった。

 

三春館製薬の広告に大きく花菖蒲の写真がある、コピーを読むと、

江戸時代花菖蒲は武士のたしなみであった、とある。

花菖蒲と武士のたしなみは私の頭の中でなかなか一致しない。だが、

花菖蒲についてチョト調べると面白そうだな、と思った。

 

 たまたま栄久庵憲司の「幕の内弁当の美学」を読んでいたら、

農学者中尾佐助の文章は面白い、といっている。

図書館で中尾佐助を調べてパラパラと捲っていたら、

 

肥後の花連満月会は

熊本市が企画する肥後八花園に花菖蒲の提供を求めたのにたいして、

断っている。

市の当局者は困って、細川の末裔に口利きを頼んだ、とある。

肥後もっこすが頑固を意味するぐらいのことは知っていたが、

殿様の頼み事も断ってしまうのは

頑固だけでは片付けられない何かがあるらしい。

花菖蒲には文化にまつわる何かがありそうに思えた。

 

イベントも祭りも人寄せをしない何か文化があるのかも知れない。

開花期の6月を待ちかねるようにして野田市市制公園に出かけてみた。

 花菖蒲田に近づいても案内看板もない、

以前訪ねた管理事務所の前をとおり、

体育館の裏側に廻ると見事に咲いている。

写生をしている人が5,6人、

子ども連れが2組、カメラを構えている人が数人いるだけ。

 

花菖蒲の解説版も名前を示す札もない、

花菖蒲の手入も充分、周囲の清掃も行き届いている。

池には錦鯉が泳いでいる。

花菖蒲は手入れ良く咲いているだけ。

 

案内もしない、説明もしない。何か文化がそうさせているのかも知れない。

祭りごとが嫌いな土地柄でもなさそう、チョット解せないが何かありそう。