どこかで誰かが

独り言をつぶやくように思いついたことを書きとめてみたいと思う。
モモの徒然日記なり。

郷土伝説 2

2012-11-20 23:30:16 | 日記


人好き地蔵さん

志摩町の馬場から桜井方面に行く通称『志摩野越え』という山道は、昔は北崎や桜井から前原に出る最短距離の道として、相当の人通りがあったそうだが、道路整備や交通機関の発達で今は砕石業者や建設会社の大型トラック、地元の人の車など関係者の車両の通行が多くなっている。
この道西側の松隈の山中にある地蔵さんは、松隈地蔵とか山田地蔵、日暮らし地蔵などと言われ、またの名を人好き地蔵さんいう親しみのある名で呼ばれている。
今から百三十余年前の文久年間のある秋の日のこと。
このあたりは、西に面しているせいか日の暮れるのが遅く、農家の人たちはまだ早いと思いながら、腰の痛みを辛抱して畑打ちに精を出していると、急に日暮れて夜になってしまう所で、女たちは明るいうちに仕事を切り上げて家路につくというのが習慣になっていた。松隈に住むある若夫婦がここに1枚の田を持ち、この日も仲むつまじく土起こしをしていた。そのうち夫の方は村の寄り合いがあるので「用事がすんだら迎えに来るが、もし遅くなるといけないから、お前も日の高いうちに帰っておいで…」と優しく言い残して帰った。働き者の若妻は、少しでもよけいに耕しておこうと、一人でせっせっと夢中になって働き続けていた。…

この続きも糸島伝説集にてお楽しみください。


        挿絵 モモ

郷土伝説 1

2012-11-20 21:51:27 | 日記


鏡岩で天女の合唱


糸島市志摩町にある芥屋の大門は、むかし天の岩戸の入り口であるとか、洞窟の奥は竜宮城に続いているとか、元寇のときの敵の大船団を覆した神風は、遥か雷山の風穴から吹き起こり、糸島の地下を通って、この芥屋の大門から吹き出したものであるとか、実に様々な伝説の場所である。しかしこれは、もう一つの話。

昔々、ある暖かい春の日、大門の東海岸に沿って全く孤立した鏡岩という巨岩の上に数人の天女が舞い降りてきて、美しい鈴を振るような声で合唱をはじめ、やがて羽衣の舞を舞いだした。玄海の波は、それに引き寄せられるように沸き立ち、海の魚たちもことごとく踊り上がって天女たちを歓迎した。天からは絶えず芳香の霧が降り注ぎ、その芳しい香りは鏡岩の中までしみとおってゆくようであった…

この美しい物語には続きがありますが、興味のある方は糸島伝説集にてお読みください。



                    愛風さんよりお借りした本のご紹介でした。