鏡岩で天女の合唱
糸島市志摩町にある芥屋の大門は、むかし天の岩戸の入り口であるとか、洞窟の奥は竜宮城に続いているとか、元寇のときの敵の大船団を覆した神風は、遥か雷山の風穴から吹き起こり、糸島の地下を通って、この芥屋の大門から吹き出したものであるとか、実に様々な伝説の場所である。しかしこれは、もう一つの話。
昔々、ある暖かい春の日、大門の東海岸に沿って全く孤立した鏡岩という巨岩の上に数人の天女が舞い降りてきて、美しい鈴を振るような声で合唱をはじめ、やがて羽衣の舞を舞いだした。玄海の波は、それに引き寄せられるように沸き立ち、海の魚たちもことごとく踊り上がって天女たちを歓迎した。天からは絶えず芳香の霧が降り注ぎ、その芳しい香りは鏡岩の中までしみとおってゆくようであった…
この美しい物語には続きがありますが、興味のある方は糸島伝説集にてお読みください。
愛風さんよりお借りした本のご紹介でした。