シニアに定着しているスマホライフ
このコロナ禍でシニア世代のインターネット活用が広がり、ネットショッピングも身近なものになってきた。同様にスマホの活用も着実に進んできている。
筆者が、先日携帯電話のキャリアショップで順番待ちしている時にお話しした女性もその一人である。70歳代後半のその女性は、スマホを取り出してLINEで孫とも情報交換しており、インターネットで調べ物もできると喜んでいた。シニアでもごく普通に使えるツールとして定着しつつあることを改めて感じた。
スマホとシニアの関係
スマホが日本で発売されたのは2008年のiPhone登場である。この時還暦を迎えたシニアは、現在74歳となり、それまではガラケー全盛の時代であった。キャリアメールやカメラは当時より使用されていたが、スマホアプリのような使い方の広がりはなかった。一方、現在65歳のシニアは、50代前半にはスマホに接する機会を何らか得ている可能性が強く、10年近くの年齢の違いで、スマホ自体の受け止めが大分異なるのである。
つまり60歳代シニアにとっては、スマホは身近な存在であり、生活にある程度溶け込むように使用できる存在であるが、70歳代シニアにとっては若者の使うもの的なイメージやインターネットへの親和性も相対的に低い存在となるが、知れば便利に使える存在であろう。そして80歳代以上のシニアでは、スマホでの文字入力も難しいことになってくる(個人差はもちろんある)。
ちなみに現在の20歳(Z世代)は、小学生からスマホと共に生育してきており、もはやスマホは自分と一体化した存在(デジタルネイティブ)である。
スマホは生活に必要な存在
電通が発表した「シニアのスマホライフ実態調査」(2022年7月実施)を元にシニアのスマホ利用実態を紹介しよう。ただしこの調査は、60歳代と70歳代男女合計1000人にインターネットで実施された調査なので、元々インターネット親和性の高い人が回答している割合が多くなる、というバイアスが発生するものの、全体的な傾向はみることができる。
スマホが生活に必要だと思っている人(「絶対に必要だと思う」「必要だと思う」の合計)は85%であり、シニア世代に既に定着し、生活に密着していることが伺われる。全体に男性よりも女性の割合が高く、特に60歳代女性では90%に達する。「スマホを持って生活が良くなった」と回答した人は約65%であり、ここでも女性の評価が高い。
女性は、「家族や孫との会話が増えた」、「人とのつながりが増えた」といった項目が男性よりも有意に高く、コミュニケーションツールとして積極的に活用されていることが分かる。また、「わからないことをすぐに調べられるようになった」、「暇な時間を楽しむことができるようになった」といった項目では、男性よりも明らかに高く、総じてスマホを使いこなしているのは主に女性たちである。
様々な使い方が広がってきている
週1回以上利用している用途のベスト3は、メール、LINE、通話である。LINEは男性よりも女性、通話は女性よりも男性が多く使用している。続く10位までは、ニュース、天気予報、ネット検索、ショートメール、写真・動画撮影、地図・ナビ、ポイントアプリ・サービスの利用となる。実生活に役立つ情報が求められており、それらが実際に使用されていることが浮かび上がってくる。
以下、動画視聴、乗換案内、ネットショッピング、SNS(LINE以外)、金融サービス、健康管理などと続き、実際に様々な用途で使用されていることが浮かび上がってくる。健康や体調を管理するサービスも20%の人に活用されており、シニアらしい使いかたでもある。一方、非シニア世代との使い方の違いとしては、ゲームやフリマ・オークションの利用や音楽配信サービスの利用が少ないことである。
またスマホでのキャッシュレス決済の利用経験は、全体で74%となっており、コロナ禍もあり、大分シニアでも進んできている様子が伺える。
さいごに
電通によると、「スマホによって生活がとても良くなった」と回答した女性は、女性全体と比べてスマホ機能の利用が多岐にわたっている、としている。スマホを使ってやりたいと思ったことが実現できると、その成功体験がさらなる活用へと導いていくのであろう。そうして自分が使えるツールとしてスマホが定着していくのである。
自分一人ではできないと思っていたことができるようになること。これまでもインターネットを通して多くのことが、一人でもできるようになってきた。シニア世代もそれらを使いこなして、自分の生活に取り込んでいくことができるようになる社会が目指される。それを実現させることもDXである。
☆ 「シニアのスマホライフ実態調査」(株式会社電通、2022年9月)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます