別れの朝じゃけん

　いまからちょうど、４ねんまえのコトじゃけん……。

仕事に出かけよう思うて立ち上がろうとしたら、ミミゾウくんがわしのひざにアタマをのっけてきたけん……。

そのころのミミゾウくんは、病院の入退院を繰り返して、手には点滴のための針を刺したままになっとったけん……。

たぶん末期的な状態だったんかのう、獣医のセンセイから家に連れて帰るのをすすめられたけん。

もう寝たきりというか、自力で動くコトもできんかったけん……。

それなのにその朝は、けんめいにすりよってきて、みずからアタマをのっけてきたけん……。

わしにはわかっとったけん……。

それが別れのあいさつだったとのう……。

そのミミゾウくんが召されたと連絡受けたんは、それから数時間後……。

エイズのキャリアだったのに、ダレにもうつすコトなく、１０ねん以上もわしの家族でいてくれて、今でも感謝しとるけん。

受け継いだ名前に恥じんよう、わしもがんばらんといかんけん……。