8月17日からは、全国15カ所を巡るライブ『20th Anniversary Mai Kuraki Live Project 2019 “Let’s GOAL!〜薔薇色の人生〜』をスタートさせるなど、精力的に活動を続ける倉木にインタビュー。20年を振り返り、ファンや仲間との歩み、音楽との距離に悩んだ日々、そして20年前の自分にかけたい言葉……率直な想いをたっぷり語ってもらった。(佐藤結衣)
倉木:そうですね。初めてライブをしたときは、ただひたすら“歌って想いを伝えなきゃ”っていう一点だけだったんですけど、回を重ねるたびにファンのみなさんとのキャッチボールができるようになったというか。一緒に楽曲を育てていくという感覚が生まれていきました。思い出に色をつけていく、というか。いろんな会場で歌うたびに、ファンのみなさんに色をつけていただいたように感じています。例えば、ライブでいつも一番最後に歌わせていただいている「always」は、今となっては欠かせない、「倉木麻衣のライブといえばこの曲だ」ってみなさんの中でも大切にしていただいている曲になりましたし、「chance for you」という曲も、イベントなどでファンのみなさんと一緒に合唱して、希望とか前向きな思いっていうのを共有できました。そういう曲が、生まれたというのは私の宝物ですね。それから私の楽曲はR&Bとかロックテイストなものが多いんですけれど、シンフォニックライブを経験して、こういう感じもしっくりくるんだなって発見しました。曲調に合わせて歌い方もクラシックよりに変えてみたりとか。アジアンテイストだったり、洋楽っぽいものだったり……私の場合は、様々な出会いによって音楽の幅が変わってきていると思います。
倉木:はい(笑)。実は、このアルバムの制作段階でいろいろとチャレンジしすぎてしまって、それこそ締切に追われる場面もたくさんあったんです。スタッフさんと「このアルバムを完成させる」っていうゴールを目指して「JUMP!JUMP!」を収録したときには、何より自分自身が楽曲に励まされました(笑)。2020年も近づいていますし、2030年までに国連の『SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)』を達成しようよ、というメッセージもあわせて、多くの方にとっても応援ソングになったらうれしいなと思います。
倉木:そうですね。音楽一筋の生活でしたので、一時期いろいろと考え込んでしまって、歌い方で悩んだり、歌ってもしっくりこないということがありました。アルバムを制作しなければならない時だったんですけれど、ちょっと時間をいただいて「1回“倉木麻衣”の生活から離れて、自分を見つめ直してみよう」と。ラッキーなことに、そういう環境をいただけたので、イギリスのほうで語学勉強をしながら、少し音楽と距離をおいたんです。離れることによって、私って音楽が好きだし、もっと自分らしくいられる視点から見つめることだってできるんだと気づくことができました。もう一度、音楽と向き合う自分自身を鼓舞する一曲を作ろうって思って生まれたのが、「Wake me up」という曲だったんです。その楽曲を、イベントやライブでファンのみなさんと歌うことで、元気をいただきましたね。今でも、何かものを作ろうってプロジェクトが動いているときってとても大変で、負けちゃいそうにもなるんですけど、スタッフのみなさんが「運命共同体だよ」って言って支えてくれるので、それはとっても助かっています。
倉木:自分がこうなれたらいいなという思いも入っているんですけども、『国際女性デー|HAPPY WOMAN FESTA 2018』で女性に向けた応援歌を作るワークショップを開かせていただいたんですね。そこで、それぞれ異なる環境で頑張っている女性たちと出会いまして、すごく刺激を受けました。「ふだんは主婦として家にいるので、こういう機会があってすごくうれしかったです」という方もいましたし、「一緒に歌を作れて自信がつきました」というお言葉もいただきまして。「いやいや、こちらこそです!」ってなりましたけど(笑)。そんなふうに色んな環境にいる人たちの気持ちを高める活動ができているのも、幸せですね。