![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4e/88/266d0514b4485f75ca2db7acbb91e4bc.jpg)
お茶を習って17年。先生のお席持ちで大寄せのお茶会の裏側をすこしだけ伺い知ったのが2年前。
その前から一般論的にもやもやしていたことではありますが、もちろん茶道を含む伝統文化と、その背景に欠かせない伝統技術の継承について、途絶えつつあるとしか思えない現状、矛盾する諸条件、自分の好きな世界。。。 問題意識を持っていたというよりはどうにもならないのかと暗い気持ちになっていました。
だんなさんは掛け軸が趣味ですが、掛け軸はお安くお買い得と言います。
日本の家は床の間がなくなって掛け軸を駆ける場所がなくなったから、買い手がいないから安いのです。
むかし会社に勤めていた頃、職場でお茶を差し上げましょうと言うと、「えーっ、飲んだことないんだよね。大丈夫かな?試しに半分もらってみる!」「お茶碗!?そんな悪いから紙コップでいいよ!」等々。。。
「私、飲み方知らないの!!
」なんておっしゃるのは、お茶碗を回したりとか作法があるという知識がある限られた女性陣だけなのであって、圧倒的多数の中堅・若手の日本人男性は、飲んだこともなければお茶を点てているところを見たこともない、作法があるらしいということも知りません。身近にそういうものがあったことがない、無関心というより、関心をもつ機会がない、考えたこともないのです。
私より先輩も多かったので、今なら50代年配の人たちです。
茶道にはということではなく、彼らは4月8日の「花まつり」に誘ったら、桜祭りだと思っていたようでした。
もう日本の一般家庭には床の間もない、障子もない、畳もない、日本文化の「場」がないのです。
一方地方の旧家には、すばらしい漆器類がカビながらも残っていたり、粋を尽くしたみごとな木造家屋が畳もフカフカボサボサ、土台が朽ちかけて傾いていたりします。
テレビでは、和蝋燭をつくる職人がいない、釜を作る職人が途絶える、紬の技術が途絶える、日本庭園の技術が継承困難。。。そんな番組がしばしば観られます。
そういうジダイノナガレに対して、日本文化いいよ!お茶いいよ!
と、広めていくのがお家元など茶道に携わる人たちの役割でもあり、そういった機会のひとつが大寄せのお茶会でもあり、一般にお茶をする人ができることであり。。。
とは思うのですが。
お茶会でお席を持つというと、もろもろ経費、謝礼、慣例、お付き合い、義理。。。
たぶん、そんな多くの費用がかかり、縛られる約束事の多い慣例は、これからの世代的には「お断り」となるでしょう。
とはいえ、茶道の文化や美意識の継承には、そこで使われるお道具と、その作り方を伝えていくことも不可欠です。
そんな「限られた人たちが」「限られた機会に使う」「特殊な道具」と制作を続けていくためには、お道具屋さんや職人さんが、それを業として続けていけるだけの収入、つまり「制作の機会」が必要で、つまり、継続的な「発注」と「お支払い」が必要。
そのための発注システムと集金システムが必要だということはよく分かります。
むかしから茶道などは「家元集金システム」と悪口を言われますが、そう考えてみると、その集金が「伝統文化と伝統技術」を支える状況になってしまっているかもしれません。
しかし、その「お金がかかる趣味」に、どのくらい付き合いきれるのでしょうか?
これから子どもがいれば、水泳や音楽や英語を習わせたり、遊園地に連れて行ったりしないといけないでしょうし、私も旅行に行ってみたい場所もたくさんありますしね?
おじいちゃんやおばあちゃんは貯金があって年金も入っていますが、私の年代は年金はあまりアテにできなさそうですし、相続税は増税傾向でこれもアテにできなさそうです。
伝統技術の保護に補助金を増やすなら、数年前の台風で崩れた秋田の道路をもう少し補修してほしかったり、私の年金をしっかりしてほしかったり、日本は人口も減って高齢者が増えて、ああだ、こうだ。。。
街では、漆のスプーンとか、わっぱのコーヒーカップがいいよとか、和蝋燭の灯りは癒されるとか、注染染のバッグが素敵とか、若者に「伝統工芸の雑貨」が人気という話は、しょっちゅう聞くのにね!?!?
今月、『国宝消滅―イギリス人アナリストが警告する「文化」と「経済」の危機』を読みました。
実際には、前著にして山本七平賞受賞の『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』と続けて読みました。『新・観光立国論』も刺激的な内容でしたが、個人的に関心のある分野について物足りなかったので。
なんとも、数年来のもやもやをすっきりさせてもらいました。
人口減少が急激な日本。社会保障を維持したいなら、観光立国以外の選択肢はないかもしれません。そこは専門外で鵜呑みにするばかりですが。
でも、伝統文化や伝統技術の継承について、観光立国のための文化財活用の見直し、これは、大いにアリです。
いや、これは、いいです。
この方向なら、私のモヤモヤを総合的に解決していく可能性、大!と感じます。
私がこの本を知ったのは、著者が『平成茶道記: 現代数寄者の茶事・茶会』に登場した茶人だからでした。
その本格茶人ぶりに、いったいどういう方かと検索したら、ゴールドマンサックス社のトップクラスのアナリストだったという来歴の方でした。
ぜひ、ご一読いただきたいです。
経済の本であり、伝統文化の継承の本であり、地方行政の本であり、建築業界の本であり、漆器・金箔・呉服など伝統技術の問題提起の本であり、経営の本です。
その前から一般論的にもやもやしていたことではありますが、もちろん茶道を含む伝統文化と、その背景に欠かせない伝統技術の継承について、途絶えつつあるとしか思えない現状、矛盾する諸条件、自分の好きな世界。。。 問題意識を持っていたというよりはどうにもならないのかと暗い気持ちになっていました。
だんなさんは掛け軸が趣味ですが、掛け軸はお安くお買い得と言います。
日本の家は床の間がなくなって掛け軸を駆ける場所がなくなったから、買い手がいないから安いのです。
むかし会社に勤めていた頃、職場でお茶を差し上げましょうと言うと、「えーっ、飲んだことないんだよね。大丈夫かな?試しに半分もらってみる!」「お茶碗!?そんな悪いから紙コップでいいよ!」等々。。。
「私、飲み方知らないの!!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/m_0208.gif)
私より先輩も多かったので、今なら50代年配の人たちです。
茶道にはということではなく、彼らは4月8日の「花まつり」に誘ったら、桜祭りだと思っていたようでした。
もう日本の一般家庭には床の間もない、障子もない、畳もない、日本文化の「場」がないのです。
一方地方の旧家には、すばらしい漆器類がカビながらも残っていたり、粋を尽くしたみごとな木造家屋が畳もフカフカボサボサ、土台が朽ちかけて傾いていたりします。
テレビでは、和蝋燭をつくる職人がいない、釜を作る職人が途絶える、紬の技術が途絶える、日本庭園の技術が継承困難。。。そんな番組がしばしば観られます。
そういうジダイノナガレに対して、日本文化いいよ!お茶いいよ!
と、広めていくのがお家元など茶道に携わる人たちの役割でもあり、そういった機会のひとつが大寄せのお茶会でもあり、一般にお茶をする人ができることであり。。。
とは思うのですが。
お茶会でお席を持つというと、もろもろ経費、謝礼、慣例、お付き合い、義理。。。
たぶん、そんな多くの費用がかかり、縛られる約束事の多い慣例は、これからの世代的には「お断り」となるでしょう。
とはいえ、茶道の文化や美意識の継承には、そこで使われるお道具と、その作り方を伝えていくことも不可欠です。
そんな「限られた人たちが」「限られた機会に使う」「特殊な道具」と制作を続けていくためには、お道具屋さんや職人さんが、それを業として続けていけるだけの収入、つまり「制作の機会」が必要で、つまり、継続的な「発注」と「お支払い」が必要。
そのための発注システムと集金システムが必要だということはよく分かります。
むかしから茶道などは「家元集金システム」と悪口を言われますが、そう考えてみると、その集金が「伝統文化と伝統技術」を支える状況になってしまっているかもしれません。
しかし、その「お金がかかる趣味」に、どのくらい付き合いきれるのでしょうか?
これから子どもがいれば、水泳や音楽や英語を習わせたり、遊園地に連れて行ったりしないといけないでしょうし、私も旅行に行ってみたい場所もたくさんありますしね?
おじいちゃんやおばあちゃんは貯金があって年金も入っていますが、私の年代は年金はあまりアテにできなさそうですし、相続税は増税傾向でこれもアテにできなさそうです。
伝統技術の保護に補助金を増やすなら、数年前の台風で崩れた秋田の道路をもう少し補修してほしかったり、私の年金をしっかりしてほしかったり、日本は人口も減って高齢者が増えて、ああだ、こうだ。。。
街では、漆のスプーンとか、わっぱのコーヒーカップがいいよとか、和蝋燭の灯りは癒されるとか、注染染のバッグが素敵とか、若者に「伝統工芸の雑貨」が人気という話は、しょっちゅう聞くのにね!?!?
今月、『国宝消滅―イギリス人アナリストが警告する「文化」と「経済」の危機』を読みました。
実際には、前著にして山本七平賞受賞の『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』と続けて読みました。『新・観光立国論』も刺激的な内容でしたが、個人的に関心のある分野について物足りなかったので。
なんとも、数年来のもやもやをすっきりさせてもらいました。
人口減少が急激な日本。社会保障を維持したいなら、観光立国以外の選択肢はないかもしれません。そこは専門外で鵜呑みにするばかりですが。
でも、伝統文化や伝統技術の継承について、観光立国のための文化財活用の見直し、これは、大いにアリです。
いや、これは、いいです。
この方向なら、私のモヤモヤを総合的に解決していく可能性、大!と感じます。
私がこの本を知ったのは、著者が『平成茶道記: 現代数寄者の茶事・茶会』に登場した茶人だからでした。
その本格茶人ぶりに、いったいどういう方かと検索したら、ゴールドマンサックス社のトップクラスのアナリストだったという来歴の方でした。
ぜひ、ご一読いただきたいです。
経済の本であり、伝統文化の継承の本であり、地方行政の本であり、建築業界の本であり、漆器・金箔・呉服など伝統技術の問題提起の本であり、経営の本です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます