あまりまとまった情報がないように思いますので、ごっそりご紹介です。
2020年6月にまとめたもののバージョンアップです。何冊か増えております。
こんな本もあるよのご紹介も歓迎です。
それぞれ茶道を習ったり骨董蒐集をしていたりする私(とだんなさん)。時代小説やミステリが…本でも、テレビドラマでも★ 付き合い始める前からこのテの本の貸し借りをして、どちらかが入院すると差し入れて。
毎年暮れに、ことし読んだ本をまとめていますが、年の折り返しの、本のトピック。
と言いながらイキナリ、小説ではない本なのですが、2021年半ばから2年ほどの間にこういう本が立て続けに出ています。
『世界のビジネスエリートが知っている 教養としての茶道』『「お茶」を学ぶ人だけが知っている 凛として美しい内面の磨き方』 竹田 理恵
『大切なことはすべて茶道が教えてくれる。』 石川 雅俊
『人生を豊かにする あたらしい茶道』 松村 宗亮
最初の本なんてレジ前に平積みになっていましたものね~。“教養としての”ブーム、おそるべし。
もちろん私も、茶の世界を知ることは人生にもビジネスにも役立つ教養にもなると思いますが…。
あまりに立て続けに出るので書店でチェックするけれどどれも完読していませんで、というか、私的には、入門者向けの茶室や茶会や道具の紹介を、いまさら丁寧に読む気になれず、それ以外の部分のツマミ読みで失礼しております。
年末の読書メモで追いかけてきたように、あるいは昨今のビジネススキル論、自己啓発書でも書かれるようになってきたように、教養や美意識とビジネスの関係は、聞いて想像するよりも深い。つまり、取引相手との会話でとか、リフレッシュとか、そういうこと(だけ)ではないわけですね。かつ、絵画や彫刻の美とか骨董品の美とか茶の点前の美とかがビジネスに役立つということでもないわけです。
流れに流されるのでなく、広い視野を持ち熟思し独自の価値観に立って決断する、そうしないとビジネスもなにかとあぶなっかしい時代になっている。そういうことを「ビジネスマンこそ美意識を」と言っているようです。
その人間力を涵養する方法のひとつとして、茶道に注目する人が出てきているということかと思います。
そのあたりの茶道との関係を理解しておく上で、1冊くらい読んでおくのはいいかもしれません。
流派なんちゃらに囚われず現代的な道具を取り入れて茶を楽しむ世界に関心があったら『あたらしい茶道』、国際的な視点からの茶道評価に関心があったら『世界の』、時間や仕事に追われる日常と違う切り口にと思ったら『大切なこと』、同じくそれが女性なら『凛として美しい』
というところでしょうか。あくまで書店で摘み読みの感想ですが…。
さて本題。
◆「茶道」「茶人」
(おおむね時代順)
『兵庫の壺』 新宮 正春
『信長の茶会』 永田 ガラ
『織田信長 最後の茶会』 小島 毅
『秀吉と利休』 野上 弥生子
『利休と秀吉』 邦光 史郎
『鞆ノ津茶会記』 井伏 鱒二
『小説千利休』 童門 冬二
『千利休とその妻たち』 三浦 綾子
『利休』 星川 清司
『利休にたずねよ』 山本 兼一
『利休の闇』 加藤 廣
『天下人の茶』『茶聖』 伊東 潤
『茶道太閤記』 海音寺 潮五郎
『本覚坊遺聞』 井上 靖
『布武の果て』 上田 秀人
『ディープフィクサー 千利休』 波多野 聖
漫画『千利休』 清原 なつの
『小説 織田有楽斎』 菅 靖匡
『宗湛修羅記』 森 真沙子
『神屋宗湛の残した日記』 井伏 鱒二
『覇商の門』(上下) 火坂 雅志
『数寄の織部』 永岡 慶之助
『幻にて候 古田織部』 黒部 亨
『小堀遠州』 中尾 實信
『孤蓬の人』 葉室 麟
『小堀遠州』 滝川 駿
『茶将 高山右近』 浅田 晃彦
漫画『へうげもの』 山田 芳裕
漫画『闘茶大名利休七哲』 西崎 泰正, 工藤 かずや
『千家再興』『千家奔流』『千家分流』 井ノ部 康之
『洛中の露 金森宗和覚え書』 東郷 隆
『茶筅の旗』 藤原 緋沙子
『茶と商 』 辻宗正
『暴れ茶人無頼剣』 平茂 寛
『仮想 茶会潜入記――時空を超えた茶人の彷徨』 谷 晃
『山月庵茶会記』 葉室 麟
『おおとりは空に』 津本 陽
『松風の家』(上下) 宮尾 登美子
『雪燃え』 円地 文子
『千羽鶴』 川端 康成
『銭の戦争』1~10 波多野 聖
『雨にもまけず粗茶一服』(上・下)『風にもまけず粗茶一服』『花のお江戸で粗茶一服』 松村 栄子
『卒業』 東野 圭吾
『利休伝説殺人事件』 柏木 圭一郎
『茶室殺人伝説』 今野 敏
『真贋』 今野 敏
『飛び石を渡れば』 一色 さゆり
『鳴かずのカッコウ』 手嶋 龍一
『毒草師 白蛇の洗礼』 高田 崇史
漫画『私は利休』(1~4) 連打 一人、
漫画『茶の湯のじかん 』(全2巻) pikomaro、早川 光、 木村 宗慎
『尾道茶寮 夜咄堂 おすすめは、お抹茶セット五百円(つくも神付き)』『尾道茶寮 夜咄堂 猫と茶会と花吹雪(つくも神付き) 』 加藤 泰幸
『京都で一服いかがでしょう』 秋良 知佐
漫画『浅草ちょこれいと堂 ~雅な茶人とショコラティエール~』 江本 マシメサ
『お点前頂戴いたします 泡沫亭あやかし茶の湯』 神田 夏生
私が読んだ中で、利休時代の小説では、やっぱり圧倒的に面白かったのは『利休にたずねよ』でしょうか。エキサイティングな小説でした。もうずいぶん以前に読んだのですが。
通好み的に面白かったのは古典的名作『本覚坊遺聞』。
マンガなら『へうげもの』。
それから必ずしも茶道というだけでない作ですが面白かったのが『覇商の門』。茶道というだけでないと言いましたが、この時代、時代的なこういう激動の要素があったからこその茶だったはずで、切り離して存在したり成立したりしたもののはずがない。 そのへんの面白さです。
『茶筅の旗』、私はまだ積ン読ですが、読まれた方、面白かったと皆さん。
『山月庵茶会記』、これは歴史ものではありませんが、茶的な雰囲気ゆたかな、時代小説です。しっとりと楽しめます。
逆にぜんぜんしっとりしない面白さだったのが、歴史小説というか時代小説というかナンセンスものというか、『銭の戦争』。これ面白かったなぁ。次々新刊がでるのをかなり楽しみにどんどん読ませてもらいました。歴史を、経済、外交、世相、数寄、といった多様な面からとてもよく踏まえていて、ストーリーはめっちゃナンセンスでどこまでいっちゃうのこの話と苦笑しつつ、なんというか、時代の空気を楽しみました。戦国数寄者たちが『覇商の門』のようだったとすると、明治の数寄者たちはこんなようだった、かも、しれない。。。
同じ著者がとうとう利休を書いたものが『ディープフィクサー 千利休』かと思うのですが、まだ積ン読です、スイマセン。
ナンセンス込みがさらに現代版になると『鳴かずのカッコウ』になってしまうのか? これは荒唐無稽すぎないところがコワイ。コワイな~茶室!
一方現代ものとして最高に面白く素敵なのが『雨にもまけず粗茶一服』からのシリーズ。これはいいわぁ。オイオイと言いたくなってしまう現代っ子たち。でもそんな若者たちにこそ、意外とこういうふうに本当にお求めている的なことに、茶の湯で出会えたりするかもしれないと思います。
『暴れ茶人無頼剣』はその時代版。小堀遠州の末裔がハチャメチャです。その分読むには面白い。お酒どんだけ強いんだ★ 小堀家の再興はどうなるの。歴史では再興してるよね!? もしやお酒の飲み比べで再興するんでは? 続きを読みたいのですが…。
『飛び石を渡れば』もいいですね。この著者さんはアートミステリーの名手なので、茶道ミステリーかとちょっとドキドキしながら読んだのですが、違いました。そこは残念(笑)。でもゆったり、変わっていく時代の中での、現代の茶の風景かもしれません。
それから、ライトノベルですが、『尾道茶寮 夜咄堂』の2冊。これも好きです。出ないかなぁ、続き。。。
◆「茶道具」「芸術家」「道具屋」「骨董屋」等
『小説日本芸譚』 松本清張
『乾山晩愁』 葉室 麟
『木葉天目の謎』 原田 隆峰
『源内なかま講』 高橋 克彦
『贋作師』 篠田 節子
『泣くな道真 大宰府の詩』『吼えろ道真 大宰府の詩』 澤田 瞳子
『骨董屋征次郎手控』『骨董屋征次郎京暦』 火坂 雅志
『桂籠』 火坂 雅志
『晋平の矢立』 山本 一力
『狂い咲き正宗』『黄金の太刀』 ―刀剣商ちょうじ屋光三郎 山本 兼一
『千両花嫁』『ええもんひとつ』『赤絵そうめん』『利休の茶杓』―とびきり屋見立帖 山本 兼一
『珍品堂主人』 井伏 鱒二
『光琳の櫛』 芝木 好子
『文福茶釜』『離れ折紙』 黒川 博行
『人が見たら蛙に化れ』 村田 喜代子
『清談 佛々堂先生』『わらしべ長者、あるいは恋 清談 佛々堂先生』 服部 真澄
『孔雀狂想曲』 北森 鴻
『狐罠』『狐闇』『緋友禅』『瑠璃の契り』 北森 鴻
『深淵のガランス』『虚栄の肖像』 北森 鴻
『藍の雨--蒐集者たち』『白い久遠』 浅野 里沙子
漫画『ギャラリーフェイク』(全34巻) 細野 不二彦
『神の値段』『嘘をつく器 死の曜変天目』(『骨董探偵 馬酔木泉の事件ファイル) 『絵に隠された記憶』 一色 さゆり
『コンサバター 失われた安土桃山の秘宝』 一色 さゆり
『ジャポニスム謎調査 新聞社文化部旅するコンビ』 一色 さゆり
『新装版 青い壺』 有吉 佐和子
『茶碗継ぎの恋―編集者風見菜緒の推理』 鏑木 蓮
『古道具 中野商店』 川上 弘美
『私、骨董屋やってます』 浦田 寿乃
『京都寺町三条のホームズ』(既刊1~21) 望月 麻衣
『壺霊「浅見光彦」シリーズ』(上下) 内田 康夫
『月影骨董鑑定帖』(既刊1~3) 谷崎 泉
『京都骨董ふしぎ夜話』(1~3) 獅子ししゃも
『古道具屋 皆塵堂』(全8冊) 輪渡 颯介
『アンティークFUGA』(1~3) あんびるやすこ
さいごのほうは、もう、人の思い入れの詰った古いものには妖怪や怪異が…という世界に。
こちらの分野は、もうこの分野だというだけで通好みというか、フカい分野なので。どれが面白いと思われるか、お好み次第です。
でも、そうでもなく一般受け的にもよかったのは『とびきり屋見立帖』シリーズ。山本 兼一さん素晴らしかったんですよねぇ。ほんとうに、惜しまれます。。。
『清談 佛々堂先生』の2冊。これもおもろいよねぇ。これも、続きは出ないのかなぁ。
北森 鴻さんの連作はもう、言うに及ばず。鉄板の通好みのシリーズです。
北森さんのパートナーだった?とか言われる浅野さんの『藍の雨』と『白い久遠』、これも面白かった、続編希望です、希望ではありますが、主人公がハイグレード過ぎる~。ちょっと世界が違いすぎる。もうちょっと身近さを感じられる世界でも、こういう事件展開させてくれないかしら☆
『珍品堂主人』、 『文福茶釜』、『人が見たら蛙に化れ』、このあたりも、「うわ~っ」と圧倒されたというか、ちょっと引くというか、しかし忘れられないインパクトでした。
茶人のほうでもご紹介の一色さゆりさん。こちらのアート系のほうが主たる分野ですね。まだ全部読めておりませんが、先々楽しみな作家さんです。
『泣くな道真』『吼えろ道真』。変わった物語、出てきちゃったなぁ~。はじめのうちどうなるのかと。最終的には面白かったのですが、ちょっと、天神さまのイメージが。いや岡野玲子さん『陰陽師』の道真怨霊も斬新でしたが、あれはもう怨霊になってたし。。。そもそもこの時代を舞台に贋作ものとか、新鮮です。
さいきんの怪奇もののはやりか、ライトノベルのはやりか、骨董の物語かと思うと物の怪ものとか、骨董というより遺品整理で出てきたような古道具だったり?
小説にする前の蓄積が大変すぎる分野なのかもしれませんねぇ。
いずれにしましても、まだまだ楽しみは尽きませんね。眼を大切にしないと、読めなくなるのはツマラナイなぁ★
2020年6月にまとめたもののバージョンアップです。何冊か増えております。
こんな本もあるよのご紹介も歓迎です。
それぞれ茶道を習ったり骨董蒐集をしていたりする私(とだんなさん)。時代小説やミステリが…本でも、テレビドラマでも★ 付き合い始める前からこのテの本の貸し借りをして、どちらかが入院すると差し入れて。
毎年暮れに、ことし読んだ本をまとめていますが、年の折り返しの、本のトピック。
と言いながらイキナリ、小説ではない本なのですが、2021年半ばから2年ほどの間にこういう本が立て続けに出ています。
『世界のビジネスエリートが知っている 教養としての茶道』『「お茶」を学ぶ人だけが知っている 凛として美しい内面の磨き方』 竹田 理恵
『大切なことはすべて茶道が教えてくれる。』 石川 雅俊
『人生を豊かにする あたらしい茶道』 松村 宗亮
最初の本なんてレジ前に平積みになっていましたものね~。“教養としての”ブーム、おそるべし。
もちろん私も、茶の世界を知ることは人生にもビジネスにも役立つ教養にもなると思いますが…。
あまりに立て続けに出るので書店でチェックするけれどどれも完読していませんで、というか、私的には、入門者向けの茶室や茶会や道具の紹介を、いまさら丁寧に読む気になれず、それ以外の部分のツマミ読みで失礼しております。
年末の読書メモで追いかけてきたように、あるいは昨今のビジネススキル論、自己啓発書でも書かれるようになってきたように、教養や美意識とビジネスの関係は、聞いて想像するよりも深い。つまり、取引相手との会話でとか、リフレッシュとか、そういうこと(だけ)ではないわけですね。かつ、絵画や彫刻の美とか骨董品の美とか茶の点前の美とかがビジネスに役立つということでもないわけです。
流れに流されるのでなく、広い視野を持ち熟思し独自の価値観に立って決断する、そうしないとビジネスもなにかとあぶなっかしい時代になっている。そういうことを「ビジネスマンこそ美意識を」と言っているようです。
その人間力を涵養する方法のひとつとして、茶道に注目する人が出てきているということかと思います。
そのあたりの茶道との関係を理解しておく上で、1冊くらい読んでおくのはいいかもしれません。
流派なんちゃらに囚われず現代的な道具を取り入れて茶を楽しむ世界に関心があったら『あたらしい茶道』、国際的な視点からの茶道評価に関心があったら『世界の』、時間や仕事に追われる日常と違う切り口にと思ったら『大切なこと』、同じくそれが女性なら『凛として美しい』
というところでしょうか。あくまで書店で摘み読みの感想ですが…。
さて本題。
◆「茶道」「茶人」
(おおむね時代順)
『兵庫の壺』 新宮 正春
『信長の茶会』 永田 ガラ
『織田信長 最後の茶会』 小島 毅
『秀吉と利休』 野上 弥生子
『利休と秀吉』 邦光 史郎
『鞆ノ津茶会記』 井伏 鱒二
『小説千利休』 童門 冬二
『千利休とその妻たち』 三浦 綾子
『利休』 星川 清司
『利休にたずねよ』 山本 兼一
『利休の闇』 加藤 廣
『天下人の茶』『茶聖』 伊東 潤
『茶道太閤記』 海音寺 潮五郎
『本覚坊遺聞』 井上 靖
『布武の果て』 上田 秀人
『ディープフィクサー 千利休』 波多野 聖
漫画『千利休』 清原 なつの
『小説 織田有楽斎』 菅 靖匡
『宗湛修羅記』 森 真沙子
『神屋宗湛の残した日記』 井伏 鱒二
『覇商の門』(上下) 火坂 雅志
『数寄の織部』 永岡 慶之助
『幻にて候 古田織部』 黒部 亨
『小堀遠州』 中尾 實信
『孤蓬の人』 葉室 麟
『小堀遠州』 滝川 駿
『茶将 高山右近』 浅田 晃彦
漫画『へうげもの』 山田 芳裕
漫画『闘茶大名利休七哲』 西崎 泰正, 工藤 かずや
『千家再興』『千家奔流』『千家分流』 井ノ部 康之
『洛中の露 金森宗和覚え書』 東郷 隆
『茶筅の旗』 藤原 緋沙子
『茶と商 』 辻宗正
『暴れ茶人無頼剣』 平茂 寛
『仮想 茶会潜入記――時空を超えた茶人の彷徨』 谷 晃
『山月庵茶会記』 葉室 麟
『おおとりは空に』 津本 陽
『松風の家』(上下) 宮尾 登美子
『雪燃え』 円地 文子
『千羽鶴』 川端 康成
『銭の戦争』1~10 波多野 聖
『雨にもまけず粗茶一服』(上・下)『風にもまけず粗茶一服』『花のお江戸で粗茶一服』 松村 栄子
『卒業』 東野 圭吾
『利休伝説殺人事件』 柏木 圭一郎
『茶室殺人伝説』 今野 敏
『真贋』 今野 敏
『飛び石を渡れば』 一色 さゆり
『鳴かずのカッコウ』 手嶋 龍一
『毒草師 白蛇の洗礼』 高田 崇史
漫画『私は利休』(1~4) 連打 一人、
漫画『茶の湯のじかん 』(全2巻) pikomaro、早川 光、 木村 宗慎
『尾道茶寮 夜咄堂 おすすめは、お抹茶セット五百円(つくも神付き)』『尾道茶寮 夜咄堂 猫と茶会と花吹雪(つくも神付き) 』 加藤 泰幸
『京都で一服いかがでしょう』 秋良 知佐
漫画『浅草ちょこれいと堂 ~雅な茶人とショコラティエール~』 江本 マシメサ
『お点前頂戴いたします 泡沫亭あやかし茶の湯』 神田 夏生
私が読んだ中で、利休時代の小説では、やっぱり圧倒的に面白かったのは『利休にたずねよ』でしょうか。エキサイティングな小説でした。もうずいぶん以前に読んだのですが。
通好み的に面白かったのは古典的名作『本覚坊遺聞』。
マンガなら『へうげもの』。
それから必ずしも茶道というだけでない作ですが面白かったのが『覇商の門』。茶道というだけでないと言いましたが、この時代、時代的なこういう激動の要素があったからこその茶だったはずで、切り離して存在したり成立したりしたもののはずがない。 そのへんの面白さです。
『茶筅の旗』、私はまだ積ン読ですが、読まれた方、面白かったと皆さん。
『山月庵茶会記』、これは歴史ものではありませんが、茶的な雰囲気ゆたかな、時代小説です。しっとりと楽しめます。
逆にぜんぜんしっとりしない面白さだったのが、歴史小説というか時代小説というかナンセンスものというか、『銭の戦争』。これ面白かったなぁ。次々新刊がでるのをかなり楽しみにどんどん読ませてもらいました。歴史を、経済、外交、世相、数寄、といった多様な面からとてもよく踏まえていて、ストーリーはめっちゃナンセンスでどこまでいっちゃうのこの話と苦笑しつつ、なんというか、時代の空気を楽しみました。戦国数寄者たちが『覇商の門』のようだったとすると、明治の数寄者たちはこんなようだった、かも、しれない。。。
同じ著者がとうとう利休を書いたものが『ディープフィクサー 千利休』かと思うのですが、まだ積ン読です、スイマセン。
ナンセンス込みがさらに現代版になると『鳴かずのカッコウ』になってしまうのか? これは荒唐無稽すぎないところがコワイ。コワイな~茶室!
一方現代ものとして最高に面白く素敵なのが『雨にもまけず粗茶一服』からのシリーズ。これはいいわぁ。オイオイと言いたくなってしまう現代っ子たち。でもそんな若者たちにこそ、意外とこういうふうに本当にお求めている的なことに、茶の湯で出会えたりするかもしれないと思います。
『暴れ茶人無頼剣』はその時代版。小堀遠州の末裔がハチャメチャです。その分読むには面白い。お酒どんだけ強いんだ★ 小堀家の再興はどうなるの。歴史では再興してるよね!? もしやお酒の飲み比べで再興するんでは? 続きを読みたいのですが…。
『飛び石を渡れば』もいいですね。この著者さんはアートミステリーの名手なので、茶道ミステリーかとちょっとドキドキしながら読んだのですが、違いました。そこは残念(笑)。でもゆったり、変わっていく時代の中での、現代の茶の風景かもしれません。
それから、ライトノベルですが、『尾道茶寮 夜咄堂』の2冊。これも好きです。出ないかなぁ、続き。。。
◆「茶道具」「芸術家」「道具屋」「骨董屋」等
『小説日本芸譚』 松本清張
『乾山晩愁』 葉室 麟
『木葉天目の謎』 原田 隆峰
『源内なかま講』 高橋 克彦
『贋作師』 篠田 節子
『泣くな道真 大宰府の詩』『吼えろ道真 大宰府の詩』 澤田 瞳子
『骨董屋征次郎手控』『骨董屋征次郎京暦』 火坂 雅志
『桂籠』 火坂 雅志
『晋平の矢立』 山本 一力
『狂い咲き正宗』『黄金の太刀』 ―刀剣商ちょうじ屋光三郎 山本 兼一
『千両花嫁』『ええもんひとつ』『赤絵そうめん』『利休の茶杓』―とびきり屋見立帖 山本 兼一
『珍品堂主人』 井伏 鱒二
『光琳の櫛』 芝木 好子
『文福茶釜』『離れ折紙』 黒川 博行
『人が見たら蛙に化れ』 村田 喜代子
『清談 佛々堂先生』『わらしべ長者、あるいは恋 清談 佛々堂先生』 服部 真澄
『孔雀狂想曲』 北森 鴻
『狐罠』『狐闇』『緋友禅』『瑠璃の契り』 北森 鴻
『深淵のガランス』『虚栄の肖像』 北森 鴻
『藍の雨--蒐集者たち』『白い久遠』 浅野 里沙子
漫画『ギャラリーフェイク』(全34巻) 細野 不二彦
『神の値段』『嘘をつく器 死の曜変天目』(『骨董探偵 馬酔木泉の事件ファイル) 『絵に隠された記憶』 一色 さゆり
『コンサバター 失われた安土桃山の秘宝』 一色 さゆり
『ジャポニスム謎調査 新聞社文化部旅するコンビ』 一色 さゆり
『新装版 青い壺』 有吉 佐和子
『茶碗継ぎの恋―編集者風見菜緒の推理』 鏑木 蓮
『古道具 中野商店』 川上 弘美
『私、骨董屋やってます』 浦田 寿乃
『京都寺町三条のホームズ』(既刊1~21) 望月 麻衣
『壺霊「浅見光彦」シリーズ』(上下) 内田 康夫
『月影骨董鑑定帖』(既刊1~3) 谷崎 泉
『京都骨董ふしぎ夜話』(1~3) 獅子ししゃも
『古道具屋 皆塵堂』(全8冊) 輪渡 颯介
『アンティークFUGA』(1~3) あんびるやすこ
さいごのほうは、もう、人の思い入れの詰った古いものには妖怪や怪異が…という世界に。
こちらの分野は、もうこの分野だというだけで通好みというか、フカい分野なので。どれが面白いと思われるか、お好み次第です。
でも、そうでもなく一般受け的にもよかったのは『とびきり屋見立帖』シリーズ。山本 兼一さん素晴らしかったんですよねぇ。ほんとうに、惜しまれます。。。
『清談 佛々堂先生』の2冊。これもおもろいよねぇ。これも、続きは出ないのかなぁ。
北森 鴻さんの連作はもう、言うに及ばず。鉄板の通好みのシリーズです。
北森さんのパートナーだった?とか言われる浅野さんの『藍の雨』と『白い久遠』、これも面白かった、続編希望です、希望ではありますが、主人公がハイグレード過ぎる~。ちょっと世界が違いすぎる。もうちょっと身近さを感じられる世界でも、こういう事件展開させてくれないかしら☆
『珍品堂主人』、 『文福茶釜』、『人が見たら蛙に化れ』、このあたりも、「うわ~っ」と圧倒されたというか、ちょっと引くというか、しかし忘れられないインパクトでした。
茶人のほうでもご紹介の一色さゆりさん。こちらのアート系のほうが主たる分野ですね。まだ全部読めておりませんが、先々楽しみな作家さんです。
『泣くな道真』『吼えろ道真』。変わった物語、出てきちゃったなぁ~。はじめのうちどうなるのかと。最終的には面白かったのですが、ちょっと、天神さまのイメージが。いや岡野玲子さん『陰陽師』の道真怨霊も斬新でしたが、あれはもう怨霊になってたし。。。そもそもこの時代を舞台に贋作ものとか、新鮮です。
さいきんの怪奇もののはやりか、ライトノベルのはやりか、骨董の物語かと思うと物の怪ものとか、骨董というより遺品整理で出てきたような古道具だったり?
小説にする前の蓄積が大変すぎる分野なのかもしれませんねぇ。
いずれにしましても、まだまだ楽しみは尽きませんね。眼を大切にしないと、読めなくなるのはツマラナイなぁ★
塚本邦雄「十二神将変」
です。クライマックスの謎解きが「名残の茶事」という渋さです!
マンガの骨董モノで有名な作品に、
波津彬子「雨柳堂夢咄」
がありますね。オカルト系ですが、かわいい感じでユーモアもあります。
情報、ありがとうございます!
『雨柳堂夢咄』は骨董のお話なのですか! 表紙はよく目にしていましたが読んでおりませんでした。こんど読んでみますね!
『十二神将変』、今年読みました。茶道を入口に手に取ったので、思いがけない展開に、驚くやら、うっとりするやら。楽しませていただきました。
またゆるゆる更新していきたいと思いますので、今後ともよろしくお付き合いくださいませ(^人^)