■マーケット
改正確定拠出年金法が成立~投資の裾野は~
きょう国会で「改正確定拠出年金法」が成立しました。確定拠出年金とは資産の運用先を自分で選択することができ、運用次第で将来受け取る年金の額が変わる制度です。掛け金が所得控除の対象となるほか、運用で得た利益にも税金はかかりません。今回の改正により17年1月から、これまで自営業者や一部の会社員に限られていた個人型確定拠出年金の対象が主婦や公務員にも広がります。
《三井住友アセットマネジメント/櫻井秀樹氏》
「公務員や主婦を集めるのが大変。主婦にどうリサーチしていくか?」
《SBI証券/瀬畑史郎》
「入り口として税制面のメリットももっと伝えていくべき。」
資産運用会社と証券会社は取り扱う消費信託の拡充やPR方法について準備を進めてきました。現在、個人型確定拠出年金の利用者は約20万人にとどまっています。今回の改定により、約2,500万人が対象に加わり、最大5兆円が市場に入ってくるといいます。SBI証券の瀬畑史郎氏は「投資信託の残高でいうと個人型確定拠出年金は5%ぐらい。新しい客が入ってくるので残高が伸びることに期待する」と話しました。今回の法改正は新たな顧客を市場に呼び込む起爆剤になるのか?
市場は実体反映せず?
FRB=連邦準備制度理事会のエコノミストによるレポートが話題になっています。レポートでは株式市場の動きは実体経済を反映しないとしています。理由として第1に製造業は米国の代表的株価指数であるS&P500の6割を占めるものの、GDPに対しては23%しかないこと。第2に年初来の株価下落の要因とされた原油価格の下落は、本来は経済のサポート材料であることを挙げています。今年は年初からの1ヵ月半でS&P500指数は11%下落した影響で、市場の利上げ予想は大きく後退しています。レポートでは、株式市場の動きに金融政策が左右されるべきではない、と市場をけん制する内容となっています。しかし、株式市場は歴史的に、経済指標やFRBよりも早く景気を占う先行指標となっています。今後も金融政策の判断材料の一つとして、株式市場の動向を欠かすことはできないでしょう。
中継担当:ホリコ・キャピタル・マネジメントLLC 堀古英司氏
■【コメンテーター】梅澤高明氏(A.T. カーニー 日本法人会長)
・デザイン武器に世界市場を狙え
--より消費者のニーズを取り込む方法は職人も模索している。
「伝統工芸の市場はずっと縮小を続けているので、国内で拡販するにしても現代の生活にもう少し溶け込んで、現代のセンスから見ても美しいと思うようなものを作っていくことが大事だ。例えば茶筒を作っている京都の開化堂はこれから世界に売っていこうという事で昨年ニューヨークにアンテナショップを出店している。また鋳物の茶器を作っている山形の菊地保寿堂は二十数年前から海外展開をしていて、既に世界で海外売上比率7割程になっている。開化堂も菊地保寿堂も欧米の富裕層のリビングやダイニングに置いてもしっくりくるようなコンテンポラリーなデザインで、色使いも工夫している。三越伊勢丹はもう1回アジア展開を強化しようと動いているので、ぜひ海外まで持っていけるところまでやってほしい。」
・確定拠出年金のメリットとデメリット
「確定摘出年金は日本は低く、年金資産残高トータルの中で3%が確定初出型、米国は58%、オーストラリアは81%と世界的には確定摘出型がスタンダートになってきている。メリットとしては個人の受給権がはっきりしていて世代間のアンバランスや運用環境の急激な悪化で減額されるリスクがない。雇用の流動化を進める中で次の職場に年金ごと持っていける。デメリットは自分で運用方針を指示し、結果も自分で責任を取らなくてはいけない。」
・進化する身体拡張
--人工筋肉などの化学分野が今非常に進歩している。
「バイオメカトロニクス(生物と機械工学と電子工学の組み合わせ)の分野で先端的な事例となっているのがマイティメディアラボのヒューハー教授。自身のの足は自分で作ったバイオニック義肢という義足で、筋電現象を活用し脳の指令が足に伝わり、思った通りに歩いたり走ったり踊ったりできる。MITのハリー・アサダ教授は3本目、4本目の腕を背中につけるというエクストラアームを航空機メーカと共同開発、また指を7本にするなどを開発。体の可能性が広がり身体拡張していく。近い未来にパラリンピアンがオリンピアンに勝つ時代になる。」
■治る!最前線 50代の3割が発症する“白内障”
50代の日本人の3割以上がかかっているという「白内障」の最新治療方法を取材。東京歯科大学水道橋病院では、60代の男性患者が「フェムトセカンドレーザー(1,000兆分の1秒という信号のレーザー)」を使い、水晶体を切り取った後に、「多焦点レンズ」と呼ばれる近視や遠視、老眼の治療にも対応する人工レンズを目に埋め込みました。手術時間は15分程度ですが、保険が適用されないため治療費は約60万円の負担。一方、白内障で手術を受ける患者の4割は乱視で、東京慈恵会医科大学付属病院の常岡寛主任教授は、新たに開発されたハートトリックレンズを使うことで、「手術後に乱視が矯正できるようになった」といいます。 取材先 ・東京歯科大学水道橋病院 ・東京慈恵会医科大学付属病院
【白内障の最新治療】
東京・千代田区の東京歯科大学水道橋病院。
白内障とは目の中にある水晶体が白く濁り、光が通りにくくなったり光が散乱する事で見えにくくなったりする病。主な原因は加齢で、その他にも紫外線や喫煙、糖尿病などが原因と言われている。現在、国内の白内障患者数は約85万人で、50代の3割以上が白内障にかかっていると見られている(金沢医科大学眼科学・佐々木洋教授調べ)。自覚症状がないうちに進行している事も多く、放っておくと失明にも繋がるという。今、白内障の治療は日々進化を続けている。その最前線を追った。
【レーザーで正確に切る】
今回の治療に使われるのは米国製の白内障用レーザー治療装置・レンズエックス。フェムトセカンドレーザーという1000兆分の1秒という極めて短い信号のレーザーで患部を切断する。現在、国内に26台しかない最新の治療装置。レーザーが水晶体の表面に切れ込みを入れ、水晶体内部を細かく砕く。次にレーザー砕いた水晶体をチューブで吸い取り、人工レンズを埋め込む。このレンズは多焦点レンズと呼ばれる最新のもので、近視や遠視、老眼の治療にも採用する。手術は15分程。フェムトセカンドレーザーを使った治療は保険適用ではない為、費用は約60万円。治療は日帰りで受ける事が出来る。またレーザーで決めた位置を切開できるので、安全面でも人為的なミスが減るという。
【乱視も治す】
白内障患者の視力を回復させる新しい治療器具も登場している。白内障の手術を受ける患者はその約4割が乱視を伴っていて、これまでは白内障と乱視は同時に治療する事は難しかった。しかし今は乱視を伴った白内障患者向けの新たな人工レンズ・トーリックレンズ(米国製)が開発されている。このレンズは患者の乱視の状態に合わせオーダーメイドで作られる。50代の3割以上がかかるという白内障は今、手術後にほぼ視力が回復するようになった。気付かないうちに進行する白内障。定期的に検査を受ける事が大切。また予防法としては紫外線を避ける事、禁煙、さらに生活習慣病がきっかけになる事もあるので生活習慣にも気をつけることが重要だという。
■ニュース
“売れる工芸品”を作れ
京都府と三越伊勢丹が伝統工芸の職人に向け、ものづくり事業の説明会を開きました。客のニーズを知る百貨店と、伝統工芸の若手職人が組むことで、“売れるものづくり”を進めるというプロジェクトです。定員60人の会場は満席になりました。三越伊勢丹も、従来のように既存の商品を選んで売るだけでなく、商品開発から関わることで、他社との差別化を図りたい考えです。説明会に参加した職人の高島慎一さんは、400年以上の歴史を持つ「清水焼」と呼ばれる陶磁器を作っています。清水焼の器は古くから宮中や寺院で生まれた独特の美意識が表現されています。表面に立体的な模様がある「いっちん」と呼ばれる特殊な技法を使って生み出していて、これには長年の経験が必要といいます。これまでも京都府など自治体の支援を受けた取り組みもしてきましたが、自治体主導の方法には限界があります。売り上げは最盛期の3分の1程に落ち込み、年々作品の質は上がっているが、売り上げは思うように伸びていません。今回、三越伊勢丹と組んで、売れる商品を生み出したいと考えています。
伊勢志摩サミットへ 首脳外交スタート
G7=主要7ヵ国による伊勢志摩サミットが2日後に迫り、現地では、開幕に向けた動きが慌ただしくなっています。国内外のメディアが集まる国際メディアセンターは、きょうプレオープン。日本らしさをアピールするため、2億円相当の松が飾られています。出入口では、手荷物の確認や金属探知機の検査が実施されています。警察庁は、過去最大級の約7万人を動員し、警備に当たっています。菅官房長官は、テロ発生の場合、初めての電話閣議の可能性があるとの考えを示しました。こうしたなか、安倍総理大臣は、参加国との首脳外交をスタート。来日したカナダのトルドー首相と首脳会談し、サミットの成功に向けて主要議題の認識を一致させることができたと述べました。一方、サミットの取材に訪れている国外メディアは、アメリカのオバマ大統領による、歴史的な被爆地・広島訪問に注目する声も上がっています。
【サミット開催まで2日、外国メディアの注目は!?】
国内外のメディアのサミット取材の拠点となる国際メディアセンターが、明後日の伊勢志摩サミット開幕を控え今日プレオープンした。国際メディアセンター内には日本らしさを外国人記者にアピールするため2億円相当の松が飾られるなど、日本を世界に発信する工夫が凝らされている。また世界で多発するテロへの警戒のため手荷物や金属探知の検査が行われるなど、厳重な警備態勢が敷かれている。警察庁ではサミット会場周辺など現地の警備をはじめ全国で最大7万人態勢という過去最大級の警備で万全の態勢をとるという。また菅官房長官は今朝の閣僚懇談会でテロなどが発生した場合は初めての電話による閣議を行う可能性があると説明し、万一に備える考えを示した。こうした中、安倍総理大臣は午後6時過ぎ、一足早く来日したカナダ・トルドー首相と総理官邸で首脳会談を行うなど、事実上サミット前夜の様相を呈している。一方でサミット取材に訪れている外国メディアからは米国・オバマ大統領による初めての広島訪問に注目する声も多く聞かれた。8年ぶりに日本が議長国を務める伊勢志摩サミット。その舞台となる伊勢志摩の自然やサミットでの議論に加え、オバマ大統領の歴史的な広島訪問にも世界の熱い注目が集まっている。
【オバマ大統領と被爆者・国内外から面会を求める声も】
米国・オバマ大統領が広島・平和記念公園の慰霊碑に献花する際、被爆者をその場に招く方向で調整している事が分かった。広島県・湯崎知事と広島市・松井市長は今日、総理官邸を訪ね、オバマ大統領が広島を訪問する際に被爆者との面会を実現できるよう安倍総理大臣に要望した。ただ米国内では原爆投下を支持する意見も根強く、被爆者と言葉を交わす事は謝罪と受け止められる可能性がある事から実現は難しい情勢である。一方、映画監督のオリバーストーンや有識者など約70人が被爆者と面会するよう強く求める書簡をオバマ大統領に送った。書簡ではオバマ大統領に謝罪しない方針を考え直す事も求めている。
ソニー 地震で1,150億円減益
ソニーはきょう、熊本地震による工場の被災で、2017年3月期の営業利益が、およそ1,150億円減少すると発表しました。ソニーはデジタルカメラなどの画像センサーを製造する熊本県の工場が被災したため、業績見通しの発表を延期していました。生産停止による売り上げの減少や工場の復旧費用が1,150億円の減益要因となる一方で、「プレイステーション4」などのゲーム事業の好調やスマートフォン事業の採算改善が寄与することで、結果的に営業利益は1年前に比べて2%増の3,000億円を見込んでいます。熊本地震で被災した企業では、アイシン精機やルネサスエレクトロニクスも業績見通しの開示を延期しています。
景気の先行きにも「暗雲」
金融大手のチーフエコノミストたちがきょう、日本経済の見通しを発表しました。今年度の実質GDP成長率について、野村証券はプラス0.6%、SMBC日興証券は前回の見通しより0.1ポイント下方修正してプラス0.7%としました。リスク要因となっているのが、中国経済の下振れ、米国の利上げ、さらにはイギリスのEU離脱の可能性など、海外経済の不透明感だといいます。また、大和総研は消費増税が予定通りなら17年度の成長率がマイナス成長に陥るリスクも指摘しました。海外経済の先行きが不透明な中、市場は政府の財政出動と日銀の追加緩和に期待しています。
シャープ 太陽光パネル事業継続へ
台湾の鴻海精密工業の傘下で経営再建を目指すシャープは、不振が続き事業の切り離しを検討していた太陽光パネル事業を今後も継続する方針を固めました。シャープの高橋社長と次期社長に就く鴻海の戴副総裁が、社員向け文書で明らかにしました。文書は「事業の再建について種々の方策を検討しており、黒字化の手応えを得ている」と説明しています。また、鴻海による出資金の払い込み手続きを6月末までに終える見通しも示しました。
「か」の字も考えていない
安倍総理大臣はきょう、公明党の山口代表と党首会談し、衆議院解散の可能性について「解散の“か”の字も考えていない」と述べました。一方、自民党の高村副総裁は民進党など野党4党が内閣不信任決議案を提出した場合、安倍総理が衆議院の解散に踏み切り、衆参ダブル選挙になる可能性があるとの認識を示しました。
対外純資産 5年ぶり減少
財務省の発表によりますと、日本の企業や政府、個人が海外に持つ資産から負債を差し引いた対外純資産は、去年末時点で339兆2,630億円と、前の年より6.6%減り、5年ぶりに減少しました。海外から日本の株式などへの投資が増えたことで負債が増加しました。ただ、規模は前の年に次ぐ過去二番目の大きさで、各国と比較すると、日本は25年間連続で世界最大の債権国となっています。
三菱自問題 1,050人に影響
三菱自動車の燃費不正問題で、岡山県は、水島製作所での軽自動車の生産停止により休業や出向などの雇用調整を行っている下請け企業が少なくとも28社にのぼり、およそ1,050人の従業員が影響を受けているとの調査結果をまとめました。また、解雇や雇い止めを既に行ったか、今後行う予定がある企業もあわせて10社に達していて、深刻な被害が浮き彫りとなっています。
トランプ氏が支持率で逆転
アメリカの複数のメディアなどが実施した大統領選挙の世論調査の平均値で、共和党の指名獲得が確実なトランプ氏の支持率が、民主党からの指名が濃厚なクリントン氏を逆転したことがわかりました。これは、アメリカの政治専門サイトが発表したもので、最新の世論調査の平均値はトランプ氏が43.4%と、クリントン氏の43.2%を0.2ポイント上回りました。平均値でトランプ氏の支持率がクリントン氏を上回ったのは初めてです。
伊勢志摩サミット 夕食会の名産品に熱視線
伊勢志摩サミット初日に行われる首脳たちの夕食会では、地元三重の名産品が振る舞われる見通しです。地酒を含め、地元の一品に、早くも人気が集まっています。早くも注文が殺到しているのは、夕食会で乾杯に使われる見通しの、三重の地酒・「作」です。三重県鈴鹿市の清水清三郎商店が造っていて、三重産の米と水にこだわり、すっきりとした味わいが特徴です。蔵元は、夕食会での起用が、追い風になればと期待します。一方、夕食会のメインディッシュには、伊勢エビや松阪牛が振る舞われる見通しで、世界的なブランドへの飛躍につながるか、注目されます。
■【トレたま】極細人工筋肉
東京工業大学・鈴森教授が中心となって開発した人工筋肉、1本1本チューブ状になっていて中に空気を送りこむと膨らみ、長さが25%ほど縮み物を持ち上げることができる。東京工業大学・鈴森康一教授は「原理は昔からあった」と語る。しかしいままでの人工筋肉は太さ2.5cm、極細人工筋肉は0.18cm。1本で0.6kg持ち上げられ人間と比べると約5倍の力。人工筋肉を束ねてアシストスーツを作成、鈴森教授は「硬いモーターや太い人工筋肉だとここまで柔らかくならない」と語る。人工筋肉を人間の骨格に取付けると足を振り上げることもできる。今後は民間企業と共同開発をしていく方針。いつかスパイダーマンやスーパーマンのように超人的な力を手に入れることができるかもしれない。
【商品名】人工筋肉
【商品の特徴】0.18cmという極細の人工筋肉
【企業名】東京工業大学 鈴森研究所
【住所】東京都目黒区大岡山2-12-1
【価格】未定
【発売日】未定
【トレたまキャスター】北村まあさ