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2016.6.13 WBS・ワールドビジネスサテライト

2016年06月13日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

EU離脱懸念 株価2ヵ月ぶり安値
今日の日経平均株価の終値は1万6,019円18銭で前の週末に比べて582円18銭の大幅安となりました。この発端は10日に発表されたイギリスの世論調査です。インターネットにより調査が行われたもので、離脱派55%、残留派45%と、離脱派が残留派を10ポイントも上回りました。
《キャメロン首相》
「我が国の自動車メーカー、航空機メーカー、金融機関や保険会社、彼らは皆チャンスのある巨大な市場に留まりたがっている。」
キャメロン首相の訴えも虚しく、「ブレグジット」への懸念により為替市場ではユーロが売られ、ユーロ円相場は一時1ユーロ=118円97銭となり、約3年4ヵ月ぶりの水準のユーロ安・円高となりました。ドル円相場でも一時105円台となるなど円高が進みました。ブレグジットヘの懸念が招いた円高で英国で鉄道事業を展開する日立製作所、欧州で販売比率が高いマツダともにマイナス6.0%と大きく下落しました。
《バークレイズ銀行外為調査部/門田真一郎氏》
「よく円やスイスフランが安全通貨として買われるが、今回はスイスも欧州の一部なので、円に買いが集中しやすくなっている。英ポンドという為替のマーケット中心だったが、(株や債券など)ほかのマーケットもリスクに備え始めている。マーケットが敏感になりやすい環境が24日の開票まで続くだろう。」






■【コメンテーター】熊谷亮丸氏(大和総研執行役員チーフエコノミスト)

・伸びしろ大きいサービス産業・人への教育投資で底上げをcome1.JPG
--納得いかないところがちょっとあるんですが、日本のサービス業の生産性が本当に低いのかどうか。例えばアメリカと比べても低いと言われても、少し腑に落ちないというか、納得できない部分もあるんです。本当に低いのですか。
「日本はサービスの質は高いが、お金をちゃんともらっていない。米国と比べると生産性は5割強程、ヨーロッパの6割位しかないような状況です。」
--お金をもらっていないというところがポイントなんですか。
「そうですね。日本の産業構造なんですが(労働生産性と波及効果のフリップを見てみると)、縦軸は労働生産性(上に行くほど効率がいい)、横軸は他産業に対する波及効果がどれくらいか。優等生は右上にある輸出型の産業なんですが、サービス業は非常に効率が悪くて、この丸の大きさがここで与えられている人の数を示していますから
かなりの人が働いている。その意味ではサービス業の生産性を上げるということは宝の山です。例えば1割生産性が上がれば、これによって日本のGDPは7%上がる。米国並みの生産性になれば、日本のGDPは6割増えて額にして260兆円増える。大変な伸びしろがある。」
--まだまだこの分野では人に投資をしていないということですか。
「要するに教育投資や無形資産と言われるものが、日本は足を引っ張っていますから、もっと社員教育だとか、そこをやることによって生産性が劇的に上がる。」
--生産性アップというとIT化を考えますが、結局は人の価値を上げることが大切なんですね。
「IT自体は既に装備をしているので、やはり教育ですね。社員に対する教育投資がポイントです。」



・「EU離脱」予断許さず・マーケットは波乱続く?
--EU離脱か残留か、いよいよ分からなくなってきましたね。
「本当にこれは予断を許さない状況ですね。6月23日に投票が行われるわけですが、巷間言われているのがこの時期は一年で一番天気が良い時期でウィンブルドンのテニスなどが行われる。いまイギリスでは若者は残留したいという意見が多いが、天気の良い時に選挙をやって若者に投票してもらって残留したい。天気に頼らなければいけないほど追いつめられているという状況です。」
--ブックメーカーでも離脱派が徐々に増えてきているということなんですね。
「ただ過去で見ると、あまりブックメーカーのデータは当てにならないというのがあって、昨年の総選挙で9割ぐらいの確率でハングパーラメント(1党が過半数を取る)はないだろうという見方だったわけですが、現実には1党の保守党が政権を取った。ですから9割と言っていても当らないわけです。」
--国民投票は来週です、今週の大きな注目イベントはどうなるんでしょうか。FOMCとか日銀の金融政策決定会合など。
「おそらく据え置きだと思います。日銀はまだ緩和のカードは切りたくないし、米国の景気も今一歩なのでまだ利上げもないと思います。メインシナリオとしては日米ともに動かないと思っています。マーケットは様子見が続くだろう。」



・女性活躍支援 経済成長にメリットcome3.JPG
--女性が働きやすい職場環境に整える企業も増えてきました。このまま女性の活躍が進みますと世の中は変わりますか?
「かなりの経済効果があると思う。(例えば『女性の活躍と経済水準のグラフ』で)縦軸に経済の状況を取って、横軸に女性がどれだけ活躍しているか、右に行くほど女性が活躍しているのですが、緩やかな相関関係がある。やはり女性が活躍している国の方が経済状態がいいということがある。例えば、なでしこ銘柄(これは経済産業省が認定していますが)に入っている女性が活躍している企業は業績もよく株価も高い。ですから経済対策としての効果が非常に大きいということです。」
--そのためには男性の働き方も変えないと・・・
「労働市場の改革をして、女性が働きやすい状況を作るということが、やはり根底になります。労働市場の改革が最大のカギだと思います。」




■特集 ここまで進化! 農業ドローン 害虫を撃退!
さまざまな分野でニュースになっているドローン。実用の最先端が、農業分野です。福島県の工場では、1機220万円の農薬散布用のドローンに約300機もの注文が入っていて、製造するエンルートは「農家の高齢化により4,000機まで増える可能性がある」と話します。ベンチャーのオプティムや佐賀大学などは、ITを活用して生産した「スマートやさい」を発表しました。オプティムの開発した農業用の「アグリドローン」が活用されたといいます。紫外線を出すライトを搭載したドローンを夜間に飛ばして害虫を駆除したり、低空飛行で撮影した高画質映像と人工知能(AI)を使って、害虫がいる苗をピンポイントで探することができます。ドローンを活用した農家は、ドローンを使うことで人件費を減らすことができると話します。
取材先・エンルートエムズ・佐賀大学・オプティム・プラントファームジャパン

【ここまで進化!農業ドローン・害虫を撃退】
最近ではレース場が開設されたり、操作を学ぶ専門学校が人気となったり、様々な分野でドローンの進化がニュースになっているが、農業の分野では私達の予想を超えるスピードで進化している。その最先端を取材した。

【300機を受注!進化する農業ドローン】
福島県福島市のとある工場の1階には出荷を待つ小型無人機ドローンが、2階ではドローンの量産が進んでいた。スタッフが手作業でドローンへ部品を取り付けていく。8月中の納期で300台もの注文が入っているが、フル稼働でも生産が追い付かない状況だ。
《エンルートエムズ/宇田丞さん》
「今季の田植えはもう始まっているので、今年から液剤(農薬)散布として使いたいという要望があり、かなり急ピッチで進めている。」
ここで生産されているのは農薬散布用ドローン「Zion AC-940-D」、1機220万円。農薬用タンクが備え付けられているのが特徴で、機体が安定するよう6個のプロペラが付いている。2本のパイプから農薬が噴射され、2ヘクタールの田んぼに約20分で散布できるという。国内のコメ農家の8割は2ヘクタール未満なので、これまでは手作業でまく事が多く、かなりの重労働となって来た。農薬散布用ドローンを開発したエンルートの伊豆智幸社長は「3000機から4000機になる可能性がある。高齢化で体力的に農薬散布ができなくなるとロボットに置き換えるのは社会のニーズから加速する」と話した。

【害虫を撃退!進化する農業ドローン】
一方、ドローンを使った農業は予想外のスピードで進化していた。東京都内のレストランで行われた記者発表会で登場したのは「スマートやさい」。アスパラガスやきゅうり、ジャガイモ、玉ねぎなど、IT農業を宣言している佐賀県とベンチャーのオプティムなどがITを駆使して生産したのが「スマートやさい」だ。この会見で同時にお披露目されたのがオプティムが開発した農業用のアグリドローン。世界初の機能が搭載されている最新鋭機だ。スマート野菜の生産でもこのドローンが活用されたという。このドローンは飛行範囲とタイマーをセットすれば夜間に自動で飛行し、害虫を農薬を使わずに駆除できるという。さらに4Kの高画質で動画を撮影、その画像をネットで接続したプラウドコンピューターに送り、AI(人工知能)を使って解析すると、害虫のいる場所を探す事もできる。そして現場へドローンを飛ばし、ピンポイントで農薬を噴射する事も可能だ。地元の若手農家、ブラントファームジャパンの成富正司さんは去年8月からこのドローンを使い、タマネギを効率的に育てる事が出来たと言う。今後はドローンの活用を収穫量の増加にもつなげたいという。ドローンで農業革命を起こすというオプティムの菅谷俊二社長は「ロボット(ドローン)は昼でも夜でも関係ありませんから、人工の目が見て人工知能が解析をして行うわけですので、そういう意味では生産効率、効果というのも2倍ぐらいに引き上げることができると思います。人間がやることを極力、極力少なくできると思います。ドローンの登場が農業を大きく変える可能性は高いと思います」と話した。




■ニュース

「日本サービス大賞」表彰式 開催
優れたサービスを表彰する「日本サービス大賞」の第1回授賞式が13日、都内で開かれました。この賞が創設された狙いは、安倍政権が掲げる「サービス産業の生産性向上」。内閣総理大臣賞を受賞したのは、鉄道を「移動手段」から「くつろぎの空間」に変えて新たな需要を喚起した、JR九州の「ななつ星in九州」でした。買い物弱者向けに移動スーパーを展開する「とくし丸」は農林水産大臣賞を受賞。また厚生労働大臣賞には、ポピンズのベビーシッター派遣事業「ポピンズナニーサービス」が選ばれました。ポピンズは去年、客がシッターをスマホなどで手軽に依頼できるシステムを導入。利便性の向上によって客を増やすとともに、社内の受注業務も大幅に効率化していました。

【日本初の「サービス大賞」・安倍総理の狙いは?】s1.JPG
日本のGDPの7割を占めると言われるサービス業の強化に向けた動きがあった。優れたサービス業を表彰する日本サービス大賞の第1回授賞式が開催された。その狙いは何なのか、取材した。

初のサービス大賞・内閣総理大臣賞に選ばれたのは「ななつ星in九州」。豪華な車内、郷土料理の数々やこだわりの接客で列車を移動の手段からくつろぎの空間に変えた事が評価された。
《JR九州/唐池恒二会長》
「乗ること自体が楽しいとなれば、鉄道の面白い面が出てくる。鉄道業の新しいビジネスモデルを提案した。」
また農林水産大臣賞には徳島県の「とくし丸」が選ばれた。「とくし丸」は長距離移動ができない買い物弱者の為に移動スーパーを展開している会社だ。地域スーパーとの競合を避けるため、それらの店から300m以上離れた場所で販売するなど、地域との共存を実現している。それにしても今回、この賞を作った狙いはどこにあるのか。
《安倍総理》
「経済の好循環が回りつつあります。その成果を全国津々浦々に行き渡らせるカギはGDP雇用の7割を担うサービス業の生産性向上です。」
実はサービス業は製造業に比べ労働生産性、つまり働く人1人1人が生み出す付加価値が少ないのが現状(総務省)だ。そこで安倍政権では介護や保育、宿泊などに代表されるサービス業の生産性を高める事で日本経済の成長力を高めようとしている。そうした中、厚生労働大臣賞を受賞したのは「ポピンズナニーサービス」、ベビーシッターを派遣する事業である。

【日本初の「サービス大賞」・ベビーシッター・簡単に呼べる!?】
サービス大賞・厚生労働大臣賞を受賞したポピンズナニーサービスはどういうものなのか。利用者を訪ねた。東京都内に住む主婦の石井美紀さんは4歳と2歳の二人の娘がいて、これまで週に1回3時間ほど利用してきた。発注に使うのはスマートフォンで、去年6月からウェブで予約できるようになった。ポピンズの専用サイトで利用したい時間を指し、家事支援のオプションを選び発注する。発注して5分後、ポピンズからベビーシッター決定の連絡が来た。確認のメールには担当するシッターの簡単な紹介も入っている。そして40分後シッターが訪問した。利便性が高まった事でシッターの受注件数は月間2万5000件と去年から3割も増えた。ポピンズが1億5000万円をかけて導入したITシステムは社内の効率化にも大きく役立っていた。IT化するまでは予約の受付は全て電話で、2000人以上いる会員の詳細な個人情報も全て紙で管理していた。子供の送迎先の地図など多い時は100枚にも上り、以前はシッターにファックスなどしていた。現在は全ての情報をデータ化したので、必要な情報だけシッターにオンラインで送信している。中村紀子社長は長年、子育てビジネスの生産性アップに取り組んできた。
《中村社長》
「量と質は皆さん並行してできないというが、私は両立すべきだと思う。サービス産業でも一つ一つの生産性向上を本当に真剣に考えればできると思う。」

《大浜キャスター》ノウハウを隠さずに、効率化競争へ
サービスの分野であったも質を落とさないで効率を上げる方法はたくさんあるそうです。単にIT化ということだけではなくて、ポピンズの場合でいうと、例えばオムツを変える速度を早めるためにはどういうやり方がいいのかとか、消耗品の在庫管理の方法とか、いろんなノウハウがあるそうです。ただ製造業とサービス業の違うところは、製造業の場合にはある意味ライバルのやり方の研究をしたり、場合によっては情報交換もしながら、お互いに切磋琢磨して効率を上げていくようなところがあるが、サービス業ではせっかく自分たちで築いたノウハウだから、なるたけ出したくないと表に出づらい傾向が強いそうです。だから今回こういう賞を作ることによって、褒めるんだけど同時にある程度ノウハウもオープンにしてもらって、お互いに参考にしながら切磋琢磨して効率化アップをを狙っていきたいということなんです。





働く女性・シニア支援する商品相次ぐ
安倍政権が目指す「一億総活躍社会」。その実現に向けて、女性や高齢者にやさしい職場づくりにビジネスチャンスを見いだしている企業が増えています。ダイハツ工業はきょう、新たな軽の商用車「ハイゼットキャディー」を発表しました。働く女性や高齢者が増える中、商用車としての使いやすさを追求したと言います。荷の積み降ろしや乗り降りが楽になるよう、荷台や足場の高さを低くしたほか、軽の商用車としては初めて、衝突回避支援システムを標準搭載しました。また、建設現場に仮設資材の販売とレンタルを行う東山産業では、4月から女性専用のトイレ兼休憩所のレンタルを開始。セキュリティー面に考慮したボタン式施錠や、独立洗面台、温水洗浄付き便座など女性に嬉しい機能を取り入れています。女性が働きやすい環境整備の手助けをし、男性社会のイメージが強かった建設現場にも女性を呼び込みたい考えです。

【働く女性・シニア支援する商品相次ぐ】
安倍政権が日本経済の成長に向け目指しているのが、女性や高齢者などが働きやすい一億総活躍社会の実現だ。今、この働きやすい職場づくりにビジネスチャンスを見出している企業が増えている。

【女性や高齢者もラクラク!?ダイハツの最新商用車とは】
ダイハツが今日発表した新型の軽の商用車「ハイゼットキャディー」。商品コンセプトは「はたらく楽ラク」。働く女性や高齢者が増える中、商用車としての使いやすさを追求したという。その特長は荷台の高さが59.5センチと軽の商用車としてはNo.1の低さを実現した。腰などの負担を軽減して荷物の積み下ろしが楽になるという。また通常は運転席の下にあるエンジンを車体の前方に積む事で、足場の高さをスカートなどでも簡単に乗り降りできる低さに抑えた。さらに軽商用車としては初めてカメラセンサーなどを使った衝突回避支援システムを標準搭載していて、走行時の危険を自動的に教えてくれる。既に数社が採用予定という「ハイゼットキャディー」。月1000台を目標に販売していきたいとしている。

【建設業界でも進む環境整備・工事現場に“女性専用”スペース】
一方、これまで男性社会のイメージが強かった建設業界でも、女性が活躍する為の環境を整える手助けをする商品作りが始まっている。仮設資材のレンタルと販売を手掛ける東山産業が4月からレンタルを開始したのは、建設現場に設置する女性専用の公衆トイレ「キュート」だ。カーペットが敷かれた屋内には休憩所が用意されているほか、セキュリティー面を考慮し入り口にはボタン式の鍵がかかっている。さらに電気を完備した洗面台や更衣室も設置されている。従来は和式が主流だったトイレも温水洗浄機能がついた洋式トイレを設置している。さらに女性には嬉しい擬音装置まで完備されている徹底ぶりなのだ。現在、女性の割合は1割にも及ばないという建設工事現場だが、今後、建設業界ではこうした女性の過ごしやすい環境を整える事でより多くの女性を現場に呼び込みたいという。
《東山産業/野村健三執行役員》
「昨年末に一部のゼネコンから女性専用のトイレ兼休憩所が作れないかと問い合わせを受けた。単価は多少高いがこうしたものを取り入れて女性が心地よく働ければという声もあるので、少なくとも1000の現場にキュートを出荷したいと思っている。」





都議会 舛添知事を集中審議で追及
東京都の舛添知事の政治資金などをめぐる問題で、都議会はきょう一問一答形式の集中審議を行いました。審議では知事与党の公明党のほか、野党の各会派が知事に辞任を求めました。知事を推薦した与党・公明党のほか、野党の各会派も知事に辞任を求めましたが、知事は給与を全額返上するとしたうえで、次のように述べました。舛添知事「私は伏して都民、都議会にお願いしたいことある。不信任可決されたら辞任かの責任問われる。いずれにしても選挙になる。時期がリオに重なる。断腸の思いであるが次期開催都市で、こういう選挙をやるのは、そういう思いで、どうか少しの猶予頂きたい。選挙がリオと重なるのは公益にそぐわない。厳しい判断をしている。この時期は猶予していただきたい。」都議会共産党と民進党は、知事の不信任決議案を15日の本会議までに提出することを決めました。今後は、議会の3分の2近くを占める自民、公明両党が知事の進退にどう対応するかが焦点となります。



大企業の景況感 2期連続マイナス
財務省と内閣府が発表した4月から6月の法人企業景気予測調査によりますと、大企業の景況判断指数はマイナス7.9で、2012年以来4年ぶりに2期連続のマイナスでした。4月に発生した熊本地震や円高などが景況感の悪化の主な理由です。一方、2016年度の設備投資の見通しは15年度に比べてプラス3.8パーセントと、4月から6月の調査としては7年連続のプラスでした。



中国 投資16年ぶり低水準
中国国家統計局はきょう、1月から5月までの固定資産投資が前の年に比べ9.6%増だったと発表しました。伸び率が2桁を割り込むのは2000年以来、16年ぶりのことです。景気減速の影響で民間企業の投資が大幅に落ち込んだ一方、国有企業による投資は23%増となっていて、政府が景気の下支えをはかっている構図が鮮明になりました。



ソニー 東京・銀座のソニービルを「広場」に
ソニーはきょう、東京・銀座にあるソニービルを取り壊し、イベントなどに使える広場にすると発表しました。現在の建物は来年春から解体して更地にします。そして再来年夏ごろから2020年の東京オリンピックまで、都民の憩いの場として解放し、コンサートやチャリティーイベントなどに活用します。オリンピック以降に、新たなビルを建設する計画です。



沢井製薬 700人を正社員化
ジェネリック医薬品を手掛ける沢井製薬は全国6つの工場に勤務する契約社員およそ700人を、勤務地と業務を限定した正社員にすると発表しました。工場の従業員に占める正社員の比率は現在のおよそ40%から80%に高まります。沢井製薬は生産能力を2017年度末に14年度末の1.5倍ほどに高める計画で、従業員の待遇改善により人材確保につなげる考えです。



親3人殺害 死刑判決
山形市と東京・江東区で2010年と2011年に、2人の元交際相手の親3人を殺害したとして殺人などの罪に問われた浅山克己被告について、最高裁は1審2審の死刑判決を支持し、上告を退けました。これにより、浅山被告の死刑が確定します。きょうの判決で最高裁は「身勝手極まりない人命軽視の態度を示すものといえ、それぞれの犯行とも強い非難を免れない」と指摘しました。



フロリダ銃乱射「イスラム国」が犯行声明
米史上最悪となったフロリダの銃乱射事件に中東の過激派組織「イスラム国」が犯行声明を出しました。イスラム国は米国にいる兵士の一人が実行、米同時多発テロ以降最多の死者を出したと主張しましたが、オマル・マティーン容疑者との具体的なつながりは言及いませんでした。容疑者にはFBIが過去に2度聴取を行いました。事件当日、マティーン容疑者はイスラム国への忠誠を誓うと発言していたということで、FBIは動機の解明を急いでいます。
今回のテロ事件は11月の大統領選にも影響を与えそうです。共和党のトランプ氏はこの事件を受けて、以前からイスラム教徒の入国禁止を主張してきたと自らの主張を正当化しました。今回の銃乱射をきっかけにアメリカの「内向き志向」がさらに強まる可能性もあります。一方、民主党のクリントン氏は銃規制の必要性を強調した上で、差別をあおるトランプ氏を暗に批判しました。銃規制などをめぐってトランプ氏とクリントン氏の主張はは大きく隔たっていて、結束して解決策を見出すという機運は今のところ見受けられません。



NTTドコモ 駐車場システムの実証実験スタート
NTTドコモはきょうから、新たな駐車場システム「ドコモスマートパーキングシステム」の実証実験を開始しました。この駐車場システムでは、車の出入りを感知するセンサーと通信機器を設置するだけで駐車場にできるため、これまでのおよそ3分の1の費用と最短1日の工事で駐車場を作れるのが特徴です。ドライバーはスマートフォンで空いている駐車場を検索し、予約することで駐車できます。センサーで駐車を感知するほか、予約したスマホの位置情報と、予約されたセンサーの位置情報の一致で駐車を確認し、料金の計算が始まります。スマホの位置情報が一致しない駐車や、車以外の物を感知した場合には、異常を知らせスタッフが駆けつけます。ドコモは、まずパーキング事業者に売り込みたい考えで、その後、自動運転の車が自ら空いているパーキングを探し、駐車するような仕組みに発展させたいとしています。



■【トレたま】逆上がり練習器

片方の足を器具にかけるだけでひとりで何度も練習できる。背中がガードされているので恐怖心はなく、回転するイメージができる。実際に逆上がりのできない子供たちが試すと2~3回でできるように、回転の感覚が身につけば器具を外してもできるようになる。実は小学生向けの商品ではなく、教員を目指す大学生向けに開発された商品である。
《セノー開発本部/馬場岳志専任課長》
「逆上がりで重要な動きは鉄棒から体が離れない。足と後ろに倒れることが連動して動くことだ。小学校のときにひとつの壁をとりのぞいてあげるのが目的で開発した。できることで次のステップに向かい新しいことに取り組む気持ちが生れる。」

【商品名】逆上がり練習器
【商品の特徴】片方の足を器具にかけるだけで、ひとりで何度でも逆上がりの練習ができる。
【企業名】セノー
【住所】千葉県松戸市松飛台250
【価格】2万5,000円(税別)
【発売日】7月29日
【トレたまキャスター】北村まあさ





2016.6.13 Newsモーニングサテライト

2016年06月13日 07時00分00秒 | MS
■マーケット

FOMCに向け警戒感
週末の株価は揃って下落しました。いよいよ今週から来週にかけて待ち受ける、年前半最大のイべントに向け警戒感も高まっています。その証拠に金曜日はアメリカの10年債利回りが終値で3年ぶりの水準まで低下するなど主要国の金利が軒並み低下。7月利上げのヒントが見いだせるのか?イギリスのEU離脱の行方など懸念材料がくすぶる中、小売売上高や物価など重要指標も多い1週間です。一方でS&P500が史上最高値に近づいていてその水準を超えてくる動きになれば心理的なサポートになりそうです。金曜日の株価終値は揃って続落です。ダウは119ドル安、1万7,865ドル。ナスダックが64ポイント下落で4,894。S&P500が19ポイントマイナスの2,096でした。
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【月曜恒例 専門家インタビュー】

今週最大の注目、FOMC=連邦公開市場委員会では利上げはないとの見方が大勢です。そうした中、S&Pのチーフエコノミストは今回利上げが見送られたとしても年2回の利上げがあると予想します。
《S&Pチーフエコノミスト/ベス・アン・ボビーノ氏》
「アメリカの景気回復は楽観できるものだ。FRBはいまだに年2回の利上げはできると自信を持っている。次の利上げを2月に行い、その後で少し様子を見るだろう。大統領選が終わるのを待って、12月に再び利上げをすると予想する。」

ボビーノ氏はFRBの次の一手を見極めるうえでFOMC声明文の中にある2つの文言を注視すべきだと指摘します。
「『リスクはバランスが取れている』との表現があれば、利上げに前向きと見る。また雇用について不安視する文言を入れるのかにも注目だ。ここ数回分の声明文ではFRBは雇用について楽観的だった。雇用の正常化という目標に近づいたとの見方を後退させるのか?FRBが見方を変えるとは思わないが、注視する必要がある。」





【為替見通し】注目ポイントは「中国の指標」kw1.JPG
解説はJPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏

金曜日はアジアから欧米に至るまで主要国の株価が軒並み下落したこともあって、全体的にリスク回避志向が強まり、為替市場では円・ドル・スイスフランが同程度強くなるというリスクオフの典型的な動きとなっています。日本時間の午前 3時前頃にイギリスの世論調査で EU 離脱派が残留派より 10ポイントもリードというニュースが流れたときには円が最も強い通貨となり、その局面で一時ユーロ円が 2013年 4月以来の 120円割れとなってます。


--今日の予想レンジが、106.20円 - 107.40円、注目ポイントは「中国の指標」 です。
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今週は水曜日に FOMC、木曜日に日銀の金融政策発表が予定されているため、それまで大きな動きになりにくいと思いますが、本日は中国の重要指標がいくつか発表されますので、仮にこれらが予想を下回りようだとリスク回避の市場心理が強くなり円が買われやすいと展開になる可能性もあります。ドル円の 1か月のインプライド・ボラティリティ(予想変動率)はドル円が急落した昨年 8月後半と、今年 4月上旬のレベルを上回り始めています。リスクに対する市場心理があまりに悪化するようだと、日米金融政策の発表を待たずにドル円相場が先月の安値である 105円台半ばを試す展開もあると考えています。
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【日本株見通し】注目ポイントは「物色意欲の強さ」nk1.JPG
解説は岡三証券の小川佳紀氏

--今日の予想レンジは、16200~16500です。
イギリスのEU離脱懸念が意識される中で、売り優勢の展開となりそうです。ただ先週も日経平均が16500円水準を割り込む場面では下げ渋るなど、売り一巡後は底堅い展開を想定しています。

--注目ポイントは「物色意欲の強さ」です。
今週も重要イベントが相次ぐ中で、全体相場は方向感が出づらいと見られます。一方で先週は東証一部の新高値銘柄数が高水準となっており、個別株の物色意欲は旺盛と言えます。特に足下では業績面の裏付けがあり、成長期待も高い中身の伴った中小型株に物色の矛先が向かっています。全体相場よりnk2.JPGも個別株、森を見るより木を見る必要が今週もありそうです。

--となるとマザーズなど新興株はずいぶん売られましたけれども、資金は戻ってくるでしょうか。
特に注目したいのが海外投資家の動向です。6月第一週の投資主体者別売買動向によると、海外投資家がマザーズ市場で6週間ぶりに買い越しに転じました。この週は世界的に代表的な株価指数のリバランスがあったことを差し引く必要がありますが、マザーズ市場にも海外投資家の資金が向かっているようです。ただ新興株の中でも海外勢の資金が向かうのはあくまで中身の伴った銘柄だけですから、しっかりと物色対象を見極める必要がありそうです。







■【コメンテーター】SMBC日興證券/肖敏捷氏

・注目の日銀決定会合、追加緩和は?
--FOMCは動かないだろうということですが、日銀に注目ですか。
動くべきだと思います。FOMCなどの外部要因で動かされているが、主導権を取り戻すべきだ。日本としては国内の状況を見ながら、積極的に何らかの判断を下すべきだと思います。
--外部に振られるというか、中国の景気、アメリカの利上げ、イギリスの国民投票など外部に視線がいってしまうのは仕方がない。ただいま国内に目を向けるべきだとすると、追加緩和のタイミングだと思われますか。
私はそう思います。やはり国内景気及びセンチメンタルをもっと改善するには日本国内に向けて緩和を続けていくべき。そこは自信を示すべきだと思います。
--手段が限られてきているという声もありますが・・・。
僕は金融政策には限界はないと思います。多分いろんな知恵があると思いますので。



・世界的な低金利
--世界的な金利低下、先ほど日経朝特急でも紹介しましたが、これだけ論争が分かれるということは、みんな迷っているんですね。
行き詰っていますね。金融市場が確かに機能していないところがある。従来通りの見方ではいけないが、基本的には黒田さんがいうように潜在成長力を高めることだと思う。これを高めるには時間がかかる。一方ではインフレ目標も2~3年かかるので、もう少し時間軸を長くするべきだ。
--長期金利の水準はリスクの尺度であるはずですが、それが見えてこなくなってしまった。
やはり実体経済を見るべきだ。



・今日の経済視点 「雇用確保」
--これは中国の話ですか。
そうです。今日はあえて改革派と景気派を取り上げたのですが、基本的に大きな争点は雇用です。つまりこれから改革をするならば、企業のリストラが雇用悪化という痛みが出てくる。これをどうするか。これから7月は中国の大学の卒業シーズンで、早速、就職難という話が出ています。もう一つは、10年前の2000年頃に同じようにリストラをやったのですが、但し当時は世界の工場になり外資がどんどん入ってきて余剰人員を吸収していった。改革の環境やタイミングは恵まれていたが、今回は雇用がもし悪化するならば、外資には期待できないのでこの痛みに政府がどう対応するかが、改革が成功するかどうかのカギです。





■特集 中国 論争激化 景気か構造改革かt1.JPG
中国では先月9日の人民日報の「権威人士」(権威ある人物)へのインタビュー記事がこれまでの政府の正式見解と違うことで波紋が広がって、この記事以降、経済政策論争が激しくなっています。改革か景気重視か、政策論争の背景と今後の行方を解説します。
解説はSMBC日興證券の肖敏捷氏。

--中国でいま景気か構造改革か論争が巻き起こっています。まず景気を見てみましょう。(フリップ1)
きょうは5月の数字が出揃いますので、おそらく底堅く推移する中身になると思います。昨年の混乱での景気の悪化を受けて、相当の景気刺激をやっていますので、中国の景気のけん引役である固定資産の先行指標である「新規プロジェクト計画投資額(前年比)」が急速に上がってきていることが確認できます。実際には10%ぐらいの伸びだと思うがここまで吹かしていくと、景気自体は去年の後半に比べるとかなり堅くなってくると考えられます。t2.JPG
--でもこれって政府が財政出動をしている。それは本来の構造改革とは一線を画してしまう動きなのではないか、ということで騒動が起きています。こちらは(フリップ2)非常に注目を集めました、先月の人民日報の記事です。『権威人士』のインタビュー記事が波紋を広げている。これはかなり衝撃的だったそうですね。
衝撃的ですよ。まず『権威人士』とはどなたなのか分かりませんし、かといって人民日報は共産党の機関紙ですし、ここまでの(大きな)取り扱いだと権威トップの人ではないかという見方が出てきてもおかしくない。

--これが現状、政府が出している景気認識に対して全く違うような話を提言しているので、非常に話題になっています。その内容というのがこちら(フリップ3)です。

①改革派(権威人士)t3.JPG
1-3月期の景気は、固定資産投資や融資の拡大など「古い手法」に則った結果に過ぎないと批判している。
②景気重視派(李克強氏)
ここ数年は大規模な景気刺激策はなかった。規制緩和に取り組んだからだと反論をしている。
③改革派(権威人士)
過剰な生産能力の淘汰など供給側の改革を徹底的に実施するべきだという。
④景気重視派(李克強氏)
減税など消費を喚起する需要側の改革も重要だという反論が出ている。

今後の中国の景気回復の見方について
⑤改革派(権威人士)
今後数年、需要低迷と過剰生産能力の問題が共存する局面を根本的に変えられないので、V字でもU字でもなく回復の鈍いL字型になる、と言っている。
⑥これについては5月16日付の人民日報に、「郭同欣」という署名で記事が書かれていて、景気重視派(郭同欣)「中高速度の成長を維持できる」と反論している。

--これ、行っている内容から見て、それからはっきりものを言っているところからして、改革派(権威人士)というのは習近平氏本人ではないかという声もあるそうですね。
確固たる根拠はないですけれども、ここまでの取り扱いを見ても、そして猛烈に批判している内容から見ても、かなり格の高い人だと思います。
--改革派のいら立ちが見える形ですが、ただ異例かというと、それぞれに役割分担があるはず。
景気重視派と改革派がありますが、僕らにとって一番戸惑いを感じているのは、誰が中国経済の政策を決めているのか、ということですね。従来通りのやり方で行くと、共産党総書記(の習近平氏)が一番偉い人で政治・経済・軍事の全てを見ているんですが、とりあえt4.JPGず習慣的に言うと総書記は政治と軍事、経済についてのメッセージを出したり政策を語るのは国務院の(李克強氏の)仕事です。今回の権威人士というのは、明らかに共産党総書記あるいはその周辺のブレーンの発言だとしますと、政治も経済も共産党のトップが牛耳っていますので、一方の国務院(李克強氏)がどういったメッセージを出すのか。僕らが見ていると、命令系統が混乱しているようだ。あるいは今回のようなやり取りを見ていくと、もしかしたら政府と共産党で、日本でいう閣内不一致ですね。世界経済からすると、はっきりして欲しいというのが僕らの見方です。
--閣内不一致とか政権闘争に発展しそうな不透明感というのは嫌ですね。中国は特に今の世界経済の行方の一つのカギを握っていますから、ではこの混乱が去年のような中国を発端とする金融不安を引き起こさないか、それをみんな心配しますよね。
とりあえず議論することはいいことです。問題点をテーブルに乗せてやるべき。かといってやっぱり一本化しないと、つまり景気か改革か、どっちかにしろと、これをはっきりしていくべきだ。最近の流れを見ていると、構造改革路線が米中戦略対話でも明らかに支持されている。「過
t5.JPG
剰能力の淘汰」などの改革をすべきだという習近平のほうに軍配が上がっている。かといってL字の景気判断などで国内が受け入れるかど
うか。そろそろ一本化する可能性が出てい来ると思います。
--一本化する上でカギを握るのが、4-6月期のGDPです。ここで良くなっていれば、もしくは底堅くなっていれば、景気重視より改革に行こうとなるわけですね。そして夏ぐらいまでに一本化・・・
歩み寄って一本化すれば、少なくとも中国の経済政策の方向性が少し見えてくると思います。
--夏までにこの混乱が一本化できるかどうか、その機を逸すると来年秋の共産党大会まで権力闘争、混乱が続いてしまうかもしれない。





■NY便り イアン・ブレマー インタビュー
イギリスのEU=ヨーロッパ連合からの離脱について問う国民投票が、いよいよ来週に迫りました。最新の世論調査では「離脱」と「残留」が、ほぼ拮抗していて、世論は二分されています。世界的に著名な国際政治学者であるユーラシア・グループ代表のイアン・ブレマー氏に、イギリスの国民投票にはらむ国際的なリスクについて聞きました。


《ユーラシア・グループ/イアン・ブレマー氏》
政治リスク専門のコンサルティング会社ユーラシア・グループの代表、イアン・ブレマー氏はイギリスがEUを離脱した場合、ヨーロッパやアメリカにも影響が及ぶ可能性があると見ています。
--イギリスの国民投票の行方は?
「イギリスはかろうじてEUに残るでしょうが、それも確かではない。EU離脱支持者は移民問題のほかに、イギリスが他の国から干渉されず、自分たちだけでなんでも決定できることを願っています。ユーロに対して懐疑的に思っている人もたくさんいます。しかしもしイギリスがEUを離脱した場合、アメリカとイギリスの関係、そしてヨーロッパの未来に対し非常に大きな影響を及ぼします。きっとほかのEU諸国でも同じような動きが起こるでしょう。もちろんイギリス経済にも大きな打撃を与えると見ています。」

ブレマー氏は離脱するしないの議論よりも、今回の国民投票を通して浮き彫りにされたイギリスの本質的なもんだを詳しく見る必要があると主張します。
「イギリスがEUに残る場合、それはただ単に経済的なメリットがあると考えたからです。イギリスはヨーロッパに忠誠心などありません。EU諸国と価値観を共有し、民主主義と平和、安全を一緒に築き上げる考えはないのです。最も不可解なのはドイツ、イタリア、フランス、そしてヨーロッパ全体がイギリスの強いリーダーシップを必要としていて、イギリスもそれを分かっているのに全く気にしていないことです。イギリスは非常に狭い視野で自分たちの国のことだけを考えている様に見えます。」

一方イギリスがEUに残ったとしても、現在抱えている問題が解決されるわけではないと指摘します。
「イギリスでは貧富の差が広がっています。大量の移民が流れ込んでいることを国民はよく思っていません。経済成長や生産性はまずまずですが、政府が適切な社会保障を供給できるのか、ちゃんとした職を与えられるか、大きな疑問が残ります。こうした不安がイギリスを内向きにさせ、EU離脱問題にまで発展させてしまったのです。たとえ今回EU離脱を阻止することができても、こうした根本的な問題の解決は避けて通れません。」

ではどのような状況になれば、問題の収束が見えてくるのでしょうか。ブレマー氏はイギリスのEU残留が大差で決まることだと見ています。
「全ての国にとって最も良いシナリオは、国民投票が接戦ではなく55対45くらいの大差でEU残留が決まることです。これにより更なる国民投票が向こう3年間はないでしょう。そうすればキャメロン首相は野党を抑え権力を持続し、さらにまとまりある政権を築けると思います。これはイギリスが良い方向に向かい、EU内で再び重要な役割を果たすことにつながります。今後イギリスがヨーロッパ諸国やアメリカなど多国間の通商協定を強化していくことを期待しています。また中国とは戦略的な提携でない形で関係発展を期待しています。」

今回の国民投票の行方を考える上でブレマー氏は、現状への怒りや不満を利用して大衆を扇動するポピュリズムが世界的に拡がっていると警鐘を鳴らしています。12日にオーランドで起きた銃撃事件がアメリカ大統領選でも議論になっているアメリカの内向き志向にさらに拍車をかける可能性もあります。そして今先ほど共和党のトランプ氏が声明を発表し、「オバマ大統領は過激なイスラム教徒による犯行だと指摘せず、大統領の職務を果たしていない。」と述べました。大統領選に影響が出始めています。




■【エマトピ】インフラ工事のラッシュ続くema0.JPG
2022年にサッカー・ワールドカップが開催されるカタール。原油価格下落の影響で石油・ガスの新規プロジェクトは延期や凍結している案件は多いものの、カタール政府はインフラ整備の予算は削らない方針だといいます。そうした中、空港やスタジアムを結ぶカタール初の地下鉄システム「ドーハメトロ」の建設には日本企業も多く関わっています。
解説は三菱商事・横田安生氏。

--このコーナーで、カタールを紹介するのは初めてなんですが、いったいどんな国なんでしょうか。
秋田県よりやや狭い面積におよそ250万人が生活しています。中東は原油というイメージがあると思うんですが、カタールはOPEC内のシェアがおよそ2%ほどと低い一方で、LNG(液化天然ガス)の輸出量が世界一の国です。人口も少ないため一人当たりのGDPはおよそ10ema1.JPG万ドルと世界トップクラスです。

--ということは原油価格の下落の影響というのは少ないんでしょうか。
財政は苦しい状況です。しかし中東のほかの国と比較するとまだ財政が健全と言えると思います。というのもLNGの価格は原油価格に連動するのですが、カタールのLNG生産コストは他の国に比べて安く、LNGの販売価格が下がっても利益を確保できる構造になっているからです。原油価格が下落して苦しくなった昨年でも、GDP成長率は3.7%で非資源部門も順調に伸びていることもあり、今年も4%以上の成長が予想されています。

--カタールと日本のつながりはやはりLNGの分野でしょうか。ema3.JPG
そうですね。輸出量約7700万トンのうち、およそ20%を日本に輸出していて最大の貿易相手国です。またLNGのプラントは14基あるのですが、全て千代田化工建設をはじめとする日本企業が建設を請け負っています。

--主力産業を日本が支えているということなんですね。では今後のビジネスチャンスはどんなところにあると思われていますか。
2022年にカタールで開催されるサッカーのワールドカップです。政府は原油価格の下落の影響で、石油・ガス分野の新規プロジェクトは延期や凍結をしている案件が多いのですが、インフラ整備の予算は削らない方針です。そのためワールドカップに向けてインフラema4.JPG工事ラッシュは続くと予想されます。

--その中で日本企業の動きはどうですか。
2019年に完成を予定しているカタールで初めての地下鉄システム『ドーハメトロ』を弊社を含め三菱重工や近畿車両など5社で現在建設中です。これは無人運転で空港や市街地、スタジアムなどを結び、3つの路線で全長86キロメートルに及ぶ無人運転の鉄道としては世界最長のプロジェクトになります。こうした鉄道や空港など技術力を必要とする分野では今後もン本企業にとってビジネスチャンスがあると思います。





■【モーサテ・サーベイ】今週のマーケットを出演者が予想
マーケットや世界経済の先行きを番組のレギュラー出演者へのアンケートから独自に予想します。

期間 6月10日~6月12日
対象 番組出演者 37人

 ・ 今週末の日経平均予想 予想中央値(16200)先週終値(16601)
楽天証券/香川氏 (16800)「日銀が追加緩和を決定する可能性が高い。」
みずほ証券/三浦氏(15800)「ミニリスクオフで手じまい売りが出る」

 ・ 今週末のドル円相場 予想中央値(106.25)先週終値(106.93)
野村証券/池田氏(105.50)「日銀は追加緩和を見送り、失望の円買いにつながる」
FPG証券/深谷氏(106.50)「日米の金融政策に変化は無し。イギリス不安の拡大は円高圧力だが、ドルも安全通貨として買われるため、大幅に下落はしない。」

 ・日銀追加緩和 時期予想
6月(19%)7月(57%)9月(8%)11月(3%)12月(3%)無し(11%)

 ・ 日銀追加緩和 手段予想
ETF買入れ増額(86%)REIT買入れ増額(64%)国債買入れ(50%)金融機関への貸し出しにマイナス金利(50%)買入れ対象資産拡大(36%)マイナス金利幅拡大(21%)





■今週の予定

13日(月)4-6月期法人企業景気予測調査、中国5月鉱工業生産・小売売上高、米アップル世界開発者会議(~17日)
14日(火)4月鉱工業生産(確定値)、米5月小売売上高
15日(水)日銀金融政策決定会合(16日)、5月訪日外国人数、米FOMC声明文
16日(木)日銀黒田総裁会見、米5月消費者物価指数
17日(金) -




■今日の予定

4-6月期法人企業景気予測調査
中国5月鉱工業生産
中国5月小売売上高
インド5月消費者物価指数



■ニュース

米フロリダ銃乱射 死者50人
アメリカ南部フロリダ州オーランドで12日に起きた銃乱射事件は、死者が50人に達しました。アメリカの歴史上最悪の無差別殺人事件について、オバマ大統領は「事件はテロだ」との見方を示しました。「捜査に予断は持てないが、今回の事件はテロであり、憎しみによる犯行だ」多くの同性愛者が集まるナイトクラブで起きた事件について、声明を発表したオバマ大統領はこのように述べるとともにFBI=連邦捜査局が犯行の動機などを詳しく捜査していると強調しました。一方、アメリカのメディアによりますと警官との銃撃戦で死亡した容疑者の男はフロリダ州に住む29歳のアフガニスタン系のアメリカ人、オマル・マティーン容疑者と特定されました。マティーン容疑者は、殺傷力が高い武器や拳銃のほか爆発物と疑われる「装置」を所持していたもようです。また、ロイター通信によりますと、捜査当局はマティーン容疑者がイスラム過激派の思想に傾倒していた可能性もある、とみて捜査しています。



「イスラム国」事実上の犯行声明
今回の銃乱射事件をめぐり中東の過激派組織「イスラム国」が12日、事実上の犯行声明を出しました。「イスラム国」系のニュースサイトは「イスラム国の戦士が実行した」と伝えました。ただ、容疑者と「イスラム国」の関係は分かっておらず、犯行声明の信ぴょう性は不明です。



舛添氏の追及 ヤマ場に
東京都の舛添知事の政治資金流用などを巡る問題で都議会はきょう、総務委員会で集中審議を行います。各会派は一連の疑惑を厳しく問いただす方針で、議会の追及はヤマ場を迎えます。集中審議で取り上げるのは、政治資金の私的流用問題や公用車の使い方、高額な海外出張費の3項目です。都議が舛添氏側に事前に質問を通告しない一問一答形式で質疑を行い、持ち時間の中で何度でも再質問できます。きのう、都議会では各会派が質問の準備に追われました。舛添氏はこれまで家族と滞在した千葉県木更津市のホテルで面会した人物などについて詳細を明らかにしておらず、集中審議でどこまで疑惑が解明されるのか注目されます。



皇太子ご夫妻 みどりの愛護式典に
全国「みどりの愛護」のつどいの式典が千葉県柏市で開かれ、皇太子さまと雅子さまがそろって出席されました。雅子さまがつどいの式典に臨まれるのは7年ぶりです。全国「みどりの愛護」のつどいは、緑豊かな環境づくりを目指して毎年行われていて、今回で27回目を迎えます。おふたりは式典の後にも、地元の高校生の吹奏楽を鑑賞したり、千葉大学を視察するなど分刻みのスケジュールをこなされました。宮内庁によりますと、病気療養中の雅子さまは今後も体調と相談しながら公務をされていくということです。



上海の浦東空港で爆発
中国、上海の浦東国際空港できのう、男がビール瓶を使った手製の爆発物をチェックインカウンター付近に投げたところ爆発が起き、地元警察によりますと、1人が重傷、3人が軽傷を負いました。男はその後、刃物で自分の首を切りつけ病院に搬送されました。上海にある日本総領事館によりますと、爆発による負傷者の中に日本人は含まれていないということです。






■日経朝特急

①つまずいたFRB 市場の目は日銀に 
5月の米雇用統計が市場予想を大幅に下回り、FRBのイエレン議長は月内の利上げ見送りを示唆した。利上げ再開が遅れれば円高・株安が進みやすくなるおそれがあり、市場は警戒を強めている。こうしたなか、市場が注目しているのは、日銀は追加緩和のカードをいつ切るのか。銀行にも家計にも評判の悪いマイナス金利政策をさらに深堀りするには、誰もが納得するような理由が不可欠だ。日銀が動くとすれば、世界経済のリスクが高まり、アメリカの利上げ延期が一時的なものでなくなったときであろうと記事は指摘している。世界経済のリスクをにらみ難しい対応を迫られている。



②マイナス金利でも、外国勢にはおいしい日本国債 
日本国債の利回りが低下を続けている。10年債は一時、マイナス0.155%と過去最低を更新した。そんななか、ドルなど外貨を元手とする外国勢にとって日本国債は投資対象として美味しく、5月に日本の中長期債を1兆円買い越した。円建てではマイナスの利回りの日本国債も、ドルを円に換えて投資する際の利回りがアメリカ国債の利回りを上回っているからだ。日銀の追加緩和が見込まれるなかでは外国勢の日本国債投資は一段と拡大する見込みだ。





■日刊モーサテジャーナル

①「神経質な投資家、安全資産に走る」
フィナンシャルタイムズは、金曜日に日本はドイツの10年債利回りが過去最低水準に低下したことを受けて、「英国のEU離脱をめぐる国民投票など不透明要因から、神経質な市場参加者が安全資産を買いに走っている。ただ世界的な低金利の背景にあるのは、マイナス金利というより潜在成長率への期待の低さだ。金融緩和の目的は、経済に対する自信の回復を促し、長期金利を上昇させることであり、中央銀行は今後も景気を刺激するため、マイナス金利のさらなる拡大などあらゆる手段を用いるべき。」と主張している。一方ウォールストリートジャーナルは全く逆の論調だ。「マイナス金利だけでは成長を後押しするのは難しい。日本などの金利は名目ではマイナスでも実質はプラスのまま。物価下落のペースが早く、マイナス金利の効果が発揮されていない」と伝えている。



②アップル開発者会議、注目はSiriの進化(フィナンシャルタイムズ)
アップルは世界開発者会議を13日から開催。今回の狙いは「音声認識機能Siriを進化させることでiPhone販売につなげることでは。」と伝えている。Siriはサービス開始から5年が経つが、スマホと気軽に話ができるという当初の目的を達成しておらず、アマゾン・エコーやグーグルに後れを取っている、と指摘している。なかでもアマゾンのエコーは音楽を聴いたりニュースを読んだりする場合、Siriより使われる頻度が格段に高いという。アップルはこうした現状を打開するため、Siriとアプリを連動させるべく、今回初めてSiriの技術を開発者に開放する見込みだという。アナリストは、iPhoneの販売台数を増やすためにはハードだけではなくソフト面が重要だと話している。



③LINEの日米同時上場「今後のハイテクIPO占う」(ウォールストリートジャーナル)
無料対話アプリLINEが日米同時上場に注目。アメリカでは今年ハイテクのIPOが低迷していて、今後を占う試金石になるのでは、と伝えている。LINEは日米合わせて1000億円を調達すると見られていて、世界のハイテク企業のIPOの中で今年最大規模になる見込みだ。記事は、LINEの狙いについて、中核であるアジア市場の強化のほか、欧米市場で知名度を上げることではないか、と分析。ただフェイスブック傘下のワッツアップなど、ライバルとの激しい競争にさらされるだろうという声を掲載し、2年前に上場を見送ったが当時のほうが高い成長力を買われていたのに、と伝えている。