風を読む-Newsモーニングサテライト-

モーニングサテライト・ウォッチ

2016.6.28 WBS・ワールドビジネスサテライト

2016年06月28日 23時59分59秒 | WBS
■シリーズ企画 英国・EU離脱の衝撃!

注目のEU首脳会議の動向は…
イギリスがEU離脱を国民投票で決めてから、初のEU首脳会議がベルギー・ブリュッセルで始まります。EUが今回の動揺の広がりを最小限にとどめるため、離脱手続きをすぐにでも始めるようにイギリスに求めています。一方、イギリスは今後の通商交渉などを有利に進めるため時間を稼ぎたいとの思惑で、「離婚」に向けた話し合いの前途は多難です。イギリスではキャメロン首相に代わる候補が誰になるのか、全く読めない状況が続いています。大手格付け会社は相次いでイギリス国債の格下げに踏み切るなど、経済でも大きな波紋が広がっています。こうした中、日本政府は28日、臨時の経済財政諮問会議を開き、日本経済への影響や対応策を協議しました。安倍総理は市場の安定に務める考えを強調したうえで「中小企業の活動に影響が出ないよう万全を期す」と述べました。

【各国首脳が初会合】
--EUが本部を置くベルギーの首都・ブリュッセルには、英国の国民投票後初めてのEU首脳会議のため各国のリーダーが集まってきている。そのブリュッセルでは豊島記者が取材に当たっている。

《中継:ベルギー・ブリュッセル/豊島晋作記者》
現在、離脱交渉に向けた話し合いが始まった段階で前途は多難だ。既にEUと英国の駆け引きは始まっている。EU側は他の加盟国に動揺が広がるのを防ぐため事態の収拾を急いでいて、公式の離脱交渉を早く始めたいのが本音だ。このため英国に対し交渉を始める為の離脱通知を早く出すよう求めている。いわば別れるなら早く分かれましょうという姿勢だ。しかしEU残留派で辞任を決めたキャメロン首相には離脱交渉に対してやる気がなく、すぐに話し合いを始めつもりはない。また英国としても今後のEUとの通商交渉などを有利に進めるため、少しでも時間を稼ぎたい思惑もある。最終的になるべく都合のいい条件を勝ち取ろうというわけだ。
--こうしたイギリスの姿勢にEUはどう反応しているのでしょうか。
これに対しドイツ・メルケル首相は「いいとこどりは許されない。EUは英国が離脱しても十分強い」と英国のこうした動きを牽制している。ただメルケル首相はあまり強い態度で英国に臨むとお互いを傷つけて本当にひどい離婚になってしまうということを懸念しているようで、英国には一定の配慮を示すとも言われている。キャメロン首相の後任が9月にも決まると言われているので、本格交渉はそれ以降になるのが有力だ。以上ブリュッセルからでした。

【「次の首相」は?混乱続く】
--EUから有利な条件を引き出したい英国だが、依然として英国国内は混乱が続いている。ロンドンから影山記者です。

《中継:ロンドン/影山秀伸記者》
英国としてはキャメロン首相に代わる新しいリーダーをできるだけスムーズに選び、EUからより有利な条件を引き出したい考えだ。有力候補の1人はキャメロン首相と同じ与党・保守党にありながらEU離脱の旗振り役となったジョンソン前ロンドン市長だが、保守党内のEU残留派から激しい抵抗が予想される。一方、EU残留派の議員はメイ内相を担ぐ構えを見せているほか、ゴーブ司法相の名前が上がるなど先行きが全く読めない状況が続いている。
--英国の政治の混乱が続いて、EUとの交渉開始に手間取ってしまうと英国経済に対する影響がさらに大きくなりそうですね。
この混乱の長期化を見越し大手格付け会社が相次いで英国国債の格下げに踏み切った。格付け会社S&Pは「トリプルA」から2段階引き下げたうえ今後さらなる格下げがあり得るとの見方を示した。このほかフィッチレーティングスも1段階の格下げに踏み切るなど大きな波紋が広がっている。またヴァージングループの創業者リチャード・ブランソン氏は28日、英国メディアに対し「英国経済は破滅的な状況に向かっている」と主張した。不安が不安を呼ぶ状況は終息の兆しが見えない。一方、ヨーロッパの株価は大きく反発している。イタリアの金融当局が金融システムの動揺を防ぐため、対応策に乗り出すとの観測が出て、これが株価を支えている。e1.JPG

【英国EU離脱交渉に向けた日程】
《大浜キャスター》
英国EU離脱交渉に向けた日程を確認しておく。6月28~29日のEU首脳会議で国民投票の結果を説明する。既に辞意を表明しているキャメロン首相は離脱の通告をしない事を明言しているため、離脱交渉は新首相の下で行う事になる。9月2日までに次期首相となる英国の与党・保守党の党首を選ぶ選挙を行う。そして9月のEU首脳会議で新首相が正式に離脱通告をし、ようやくEUとの離脱交渉に入るのではないかと見られている。

【それぞれの思惑は?】
--そこで気になるのが今後の英国の対応、EUとの交渉の行方だ。ヨーロッパでの取材経験が長い日本経済新聞社の菅野幹雄編集委員に聞いた。離脱を支持した国民だが議会では残留派が過半数を占めていて、ねじれ状態になっている。
《日本経済新聞社/菅野編集委員》
--かなり混乱が続いているが、離脱派が勝った後どういう状況になりそうか、そのメインシナリオは?
「早期に議会を解散してもう一回選挙するというのも手続き上できないわけでははない。ただし英国議会の解散には下院議員の3分の2以上の賛成が必要など非常に高いハードルがある。英国はEU側と非公式の交渉をして有利な条件を引き出そうという思惑があるのではないかと言われていたが、今のところEUの各国首脳は一切事前の交渉はしないという。他の国に対しても『離脱に動くな』と牽制する意味合いがある。EUが厳しくしないと『英国に甘い顔をしているのでは。うちの国もやってみよう』と離脱ドミノが出る可能性がある。」

【欧州の繁栄続くか?】e2.JPG
《大浜キャスター》
今年から来年にかけてEU各国で重要な政治イベントが目白押しだ。10月、イタリアで国内の制度改革を進める為に憲法の改正を問う国民投票が行われる。また来年にはフランスで大統領選挙、そしてオランダやドイツでも総選挙を控えている。これらの国には共通する心配事がある。それは反EU勢力が躍進するのではないかということだ。今回、英国との交渉で譲歩を迫られると、移民の排斥などを掲げる反EU勢力が「英国の後に続け」と勢いづいてくる可能性がある。これにより各国それぞれの政権基盤が弱体化し、ヨーロッパ全体がどんどん不安定になっていく可能性が高まる。こういう事情もありEUとしては結束して英国に対しては厳しい態度で交渉に臨んで行きたい考えだ。
《日本経済新聞社/菅野幹雄編集委員》
--EUの組織自体が改革をしないと、EU全体が着いてこない状況になりつつあるということなんですか。
「そうですね。今回の英国離脱の決定は欧州の歴史上初めてと言えるほど後戻りの瞬間だ。EUがいかに大事であるかということを今の世代にどう訴えるかは、先人の知恵では克服できない問題で、今まさにいるヨーロッパのリーダー達がどうするかにかかってくる。」

【“株に有利”との見方も】
--今日28日のヨーロッパの株価は大きく反発していて少し落ち着きを取り戻しているようだが、ではアメリカの株価はどういう状況か。ニューヨークから池谷さん。

《中継:ニューヨーク支局/池谷亨キャスター》e3.JPG
ニューヨークの株価も上昇して始まっている。国内の良好な経済指標も安心感となっているようだ。ダウは3ケタの上昇となっている。現在193ドル高。先程発表になった米国の1-3月期のGDPの確定値は1.1%に上方修正された。とはいえ今日の上昇は一時的な買戻しで市場の不安心理の払拭には時間がかかると見られる中、「冷静になる必要がある」との声も聞かれる。まず英国がEUを離脱するまでには2年以上あり、市場も準備する時間があり、これまでの金融危機などとは大きく違うという見方だ。さらに利回りという視点では今は株に有利な環境という見方だ。市場の不安心理が高まっている時には株などのリスク資産より安全資産とされる国債が買われ金利が低下する。足元で米国の10年債利回りが1.4%台に低下する中、株価に対して配当がどの位かという配当利回りは昨日までの株価急落で逆に上昇し、S&P500の配当利回りは2.2%を超えている。世界的に金融緩和状態が続きお金が余っている中で、中長期的な運用を考えた場合にはこの利回りは魅力的かもしれない。

【日本政府・臨時の「諮問会議」】
日本政府は今日、英国のEU離脱問題を受けて臨時の経済財政諮問会議を開き、日本経済への影響や対応策を協議した。安倍総理は「昨日の東京市場はひとまず落ち着きを取り戻したがまだ不透明感、リスク懸念も残っている。引き続き為替、株式市場をしっかりウォッチし細心の注意を払っていく」と述べ、市場の安定に努める考えを強調した上で、「中小企業の活動に影響が出ないよう万全を期す」と述べた。また経団連・榊原会長は「経済活動が委縮しないよう官民挙げて対応する必要がある」と訴えた。


■マーケット

市場不安定 投資家はリスクとれずm1.JPG
東京株式相場は前日の米国やヨーロッパの株価の下落を受け、一時1万5000円を割り込む場面もありました。その後は政府による財政政策や日銀の追加緩和への期待から、今日の日経平均株価はプラス13、2営業日連続の値上がりです。ただ、1日の日経平均株価の値幅は450円以上で不安定な相場となりました。投資家の不安感はまだ拭えていません。イギリスの国民投票の結果を受け、投資家が積極的にリスクを取りにいかない状況は続いています。きょう、市場で買われたのは景気に左右されにくい「ディフェンシブ銘柄」と呼ばれる食品や医薬品といった業種の株です。
(亀田製菓5.6%増、森永製菓3.0%増、参天製薬4.1%増、大正製薬HLDG2.5%増)
一方で、ロンドンに拠点を持つメガバンクの株や、投資家が株式などの売買を控えて手数料収入が減るとの見方から証券会社の株は売られました。また、円高が業績に与える影響への懸念からトヨタ自動車の株価は、約3年3ヵ月ぶりの安値となりました。m2.JPG
(ロンドンに拠点を持つみずほFG1.8%減、三菱UFJFG1.5%減、大和証券2.1%減、野村HLDG1.6%減、トヨタ自動車終値4975円)
株価が不安定なことを受けて、国債を買う動きが一段と強まっています。住宅ローンなどの指標となる10年物国債の利回りはきょう、一時マイナス0.230%をつけ、過去最低を更新しました。





■【コメンテーター】高田創氏(みずほ総研チーフエコノミスト)

・際立つドイツ“独り勝ち”・EU立て直しの条件は
--まだまだEUと英国との交渉がいつ始まるのかもわからない状況ですが、今回そもそもEUの中でも特に英国でここまで不満が高まってしまった背景には何があるのか。
「EUに対する国別の拠出金を一番ドイツが納めてはいるが、次に多いのがフランスや英国だ。その割に見返りが少ないのではないかとの思いが根底にあると思う。」
--特に英国はポンドだからユーロの恩恵も受けられない。
「ドイツの場合は自分の実力より安い通貨となるので、ある面では相当ぼろもうけに近い輸出ができるので、少々払ってもしょうがないかなという思いがあるが、英国にはそういうメリットがないんだと思う。」
--そのドイツがこれまでもEUの中でかなり強い力を持っていたわけだが、英国がこれまではモノを言ってバランスを取るバランサーの役割をしていたわけですね。そこがいなくなってしまった後、ドイツ一強状態になってしまうのですか。
「そもそもユーロというのはフランスとドイツの間でできたものだが、フランスがやはり弱い。そうするとドイツだけになってしまう。ドイツは本当の意味でいいリーダーシップを発揮できるのか。」
--いい意味でのリーダーシップとは具体的にはどういうことですか。
「ドイツはある程度、財政を拡大したり、世界やヨーロッパ内に需要を供給するということが必要だと思う。それがない中でやっているとドイツが結局、独り勝ちしているではないかとなる。ですから今のブレグジットの問題の背景にもドイツに対してのいろんな不満みたいなものが渦巻いているような気がする。」
--そうするとドイツ自体がEUのリーダーとしての自覚みたいなものをそろそろ持たないといけないという状況ですか。
「そういうことになると思います。ただなかなか歴史的に難しい立場にあるので、その中での立ち位置それ自体も戦後初めての状況です。これも新しい時代にどう向かうか、というところの非常に問われる部分だと思いますね。」



・独歩高の円・日本は四面楚歌・待ち構える最悪のシナリオ
--為替の動きは多くの方が気になるところだが、今のドル円の水準をどのようにご覧になっていますか。
「私は円の独歩高に近いと思う。円がやや四面楚歌になっていると感じる。ドルは今年になってからドル安誘導しているので下がっていろ。本来ならドルが下がったらユーロも上がってもいいはずなんですが、ブレグジットで意外にユーロが上がらない。ユーロは比較的弱いままポンドに引きずられている。人民元もドルにつれ高だったが、ドルが下がり出したので、これもつられて下がりだした。そうすると円だけが強い状況になってしまっている。ドルが下がり石油も上がり、日本だけがアンハッピーで世界は意外と心地よい状態になってしまっている。このいまの状況が続きそうだ。場合によっては例えばアメリカが景気が良くないという状況になると、もう一段円高になるリスクがある。」
--例えば来週の金曜日はアメリカの雇用統計が発表されます。そこでまた先月に続き悪い数字が出てくると・・・
「そうなると本当に100円割れ、90円台定着ですね。」
--それは日本としたら円高を前提にした成長戦略を練り直さないと・・・
「覚悟して臨まざるを得ないかもしれない。」
--あすは安倍総理、日銀の黒田総裁が会合を開く。
「少し戦略を変えなくてはならない状況かもしれない。」
--各国の協力は望み薄だということですね。
「なかなか難しい。単独介入をするしかないんでしょうね。だけど効果は限定されるでしょうね。非常に厳しい状況です。」



・中国人爆買いに陰り
--訪日外国人の日本での消費額は減っているんですか。
「まだ減ってはいないがピークをうった感じはする。一つの要因は、訪日外国人客の数は増えているが、一人当たりの消費額が明らかに前年比マイナスになってきている。やはり買い物がかなり減っている。その要因は一つは円高への転換だ。あとは中国の景気の鈍化もある。どちらかというとモノの消費が明らかに減っている。ただサービス業の消費は意外と底堅く、今後はモノの消費よりコトの消費に重点をおいた日本の観光対策が重要になるでしょうね。」





■特集 治る!最前線 第60回副鼻腔炎の最新治療
患者数が200万人といわれている「副鼻腔炎」。風邪などがきっかけで細菌やウイルスに鼻の周りにある副鼻腔が感染し、膿がたまる病気です。症状が悪化すると失明や脳腫瘍を引き起こすこともあります。重症になると膿を取り除く手術が必要です。その手術に、マイクロデブリッターと呼ばれる最新の治療器具を使った、傷が小さく体の負担が少ない治療法が登場しています。そして最近は、手術をしても再発を繰り返す新型の「好酸球性副鼻腔炎」の患者が急増しています。現在、ステロイドという飲み薬を使って治療が行われていますが、副作用が問題になってきました。そこで、霧状のステロイドを吸入するタイプの治療薬の臨床試験が始まっています。患部をピンポイントで治療できるため、副作用が減ると期待されています。副鼻腔炎の最新治療法を取材しました。

【患者数200万人の“鼻の病”】
鼻の病・副鼻腔炎。鼻の周りには副鼻腔と呼ばれる空洞があり、声を響かせたり顔面への衝撃を吸収したりする機能がある。風邪などがきっかけで副鼻腔にウイルスや細菌が入り込み、粘膜が炎症を起こして肥大化すると入り口を塞いでしまう。すると副鼻腔の中で細菌やウイルスが繁殖し膿が溜まってしまうのだ。副鼻腔は目や脳に近い位置にあるため炎症が悪化すると失明や脳腫瘍などを引き起こす事もある。30代から患者が増え始め60代で最も多くなる副鼻腔炎の国内の潜在患者は200万人と言われている(福井大学調べ)。さらに今、手術をしても再発を繰り返す新型の副鼻腔炎も急増している。その治療の最前線を追った。

【患者数200万人“鼻の病”】
副鼻腔炎の手術の様子。治療には内視鏡とカッターと吸引機能が付いた最新の治療器具・マイクロデブリッターを使用する。まず鼻の穴に内視鏡とマイクロデブリッターを挿入し、マイクロデブリッターで炎症を起こした患部を切り取り溜まった膿を吸引する。これまではメスや吸引機を入れ替えながら治療していたが、マイクロデブリッターの登場で手術の時間が短縮され患者の体への負担が大幅に軽減された。今回の手術では更に新しいシステム・磁場発生装置も使われた。患者の顔を覆う様に磁場を作る事で、マイクロデブリッターの先端が患者の頭部のどこまで入っているのか確認する事が出来るようになる。この装置により手術の安全性が一層増した。
《東京慈恵会医科大学附属病院耳鼻咽喉科/鴻信義教授》
「吸うこと、切ることが同時にできるので、当然患者の負担も少ないし、それから短時間でやると傷の治りも早いです。」
30分程で手術が終了。治療は保険が適用され、費用は3割負担で約10万円。

【急増・新型副鼻腔炎】
今、新型の副鼻腔炎患者が急増している。これまでの副鼻腔炎は手術をすれば治る事が多かったが、新型は手術をしても再発してしまう。その新型は好酸球性副鼻腔炎と呼ばれている。好酸球は体に入った細菌などを攻撃する細胞だが、新型の患者はこの好酸球が増えすぎてしまう。これまで新型副鼻腔炎の治療は炎症や免疫を抑制するステロイド薬(飲み薬)を使っていたが、長期間大量に服用すると副作用が心配になる。そこで今、新しいステロイドの臨床試験が行われている。それは患部をピンポイントで治療する吸入ステロイド薬だ。
《関西医科大学耳鼻咽喉科/朝子幹也准教授》
「局所に効く薬なので副作用を低く抑えられる。吸入薬を口から吸って鼻から出すだけで病状が安定するということが分かってきた。」
放置すると恐ろしい副鼻腔炎。鼻詰まりが1か月以上続いたら一度病院を受診した方がよい。副鼻腔炎は虫歯や花粉症などをきっかけに発症する場合もあるという。




■ニュース

配達待ちのイライラ解消!?
ヤフー子会社で、ネット通販「ロハコ」を手がけるアスクルが商品受け取りの新サービスを発表しました。2時間単位が主流だった配達希望時刻を1時間単位で指定できます。配達網は複雑になりますが、客が届けてほしいと考える時間に配達することで、商品が届かない事態を減らし、逆に効率化できるとしています。ネット通販業界では、アマゾン・ジャパンが有料会員サービス「プライム・ナウ」を去年11月に開始。首都圏や関西の一部では最短1時間以内で注文が届きます。セブン&アイ・ホールディングスは運営する「オムニ7」で、商品を自宅に加え、セブンイレブンの店舗でも受け取れるサービスを去年11月から始めました。楽天も都内の一部で注文から最短20分で届ける「楽びん!」を去年8月から展開しています。そんな中アスクルが取り組むもう1つが、物流施設でのロボットの導入です。コスト競争力の強化につなげる狙いです。

【ここまできた!ネット通販】
ヤフーの子会社でネット通販を手掛けるアスクルは8月末、新しい商品の受け取りサービスを導入する。当日配送が増えるなど拡大するネット通販業界の競争は激しくなっているが、アスクルの新サービスは配達待ちのイライラを解消する切り札になるのか。

【1時間単位で配達希望が出せる!?】
ヤフーの子会社で個人向けのネット通販・ロハコを運営するアスクルは今日、新たなサービス「ハッピーオンタイム」を発表した。ネット通販では配達時刻の希望は2時間単位が主流だが、新サービスでは配達時間を1時間毎に指定できる(3900円以上の購入、東京、大阪の一部で8月末開始)。配達を外部の運送会社に委託するのではなくグループ会社に任せる事で、1時間刻みの配達を実現したという。業界全体で約2割に達するという宅配の不在率(国土交通省2015年8月試算)を下げる事がサービスの狙いだ。
《アスクル/岩田彰一郎社長》
「再配達の手間を考えると客が求める時間に届ける事で無駄が省ける。そういうコストも計算すると1時間単位の配達でも採算が合う。」
東京都内に住む古市万祐子はアスクルの新サービスを試験的に利用している。幼稚園に通う幼い娘がいて、ゆっくり買い物をする暇がないためだ。到着の1時間前からは配達の車がどこまで来たか地図で確認でき、予定通りに荷物が配達された。

【ロボットがあなたの注文を箱詰め】
ネット通販大手・アマゾンジャパンは有料会員サービス「プライムナウ」を去年11月に始めた。首都圏や関西の一部の地域に限るが、注文から最短1時間以内で届ける。さらにセブン&アイホールディングスは、運営する「オムニ7」で注文した商品を自宅だけでなくセブンイレブンの店舗で受け取れるサービスを去年11月から展開している。また楽天も都内の一部地域で注文から最短20分で届ける「楽びん!」を去年8月に開始した。配達サービスを巡る競争は激しさを増している。そんな中、アスクルは物流施設でも新たな試みを始めていた。3月に2台のロボットを試験導入し、ダンボールに商品を詰めるピッキング作業を機械化しようとしている。ピッキングの作業は1つ1つ荷物の大きさや位置が異なるため、機械化が進んでいない分野だ。アスクルは都内のベンチャー企業が開発した新しい画像解析技術を導入し、今年秋の本格稼働を目指して調整を続けている。今ピッキングの作業を担うのは人だが人件費の高騰や人手不足が足かせになっている。そこでロボットの投入により更なるコスト競争力の強化を狙っている。





出光創業家 合併に反対表明
石油元売り大手・出光興産の創業家はきょう、来年4月に予定している出光興産と昭和シェル石油の合併計画に反対すると表明しました。創業家側の持ち株比率は33.92%にのぼるということです。これにより、今後開かれる出光興産の臨時株主総会で、合併の承認に必要な議決権の3分の2以上の賛成を得ることが困難な情勢となりました。創業家側は反対する理由として、「両社は異質の企業体質を持つ」などとしています。これに対して出光興産は「経営統合は最善の策」とし、引き続き昭和シェル石油との統合に向けた協議を続けていくとしています。



東海地震対策 抜本見直し
政府は、静岡県の駿河湾周辺を震源とする東海地震対策の抜本的な見直しを決めました。現行の法律では、地震の発生を予知し、新幹線の運行中止などの強制措置を取って被害を防ぐ防災を重点に置いてきました。しかし、「地震の正確な予知は困難」との見解を示す声が専門家から多く、地震の被害を最小限に抑える減災に重点を置いた法改正の検討に入ります。



タカタ会長が辞意表明
エアバッグの不具合でリコールが拡大している自動車部品大手のタカタは、きょう、株主総会を開き、高田重久会長兼社長が経営再建の見通しが立った段階で辞任する意向を明らかにしました。またタカタは、エアバックの異常な破裂が原因と見られる死者が、アメリカやマレーシアなどで15人に上ると報告しました。負傷者は全世界で150人以上に達しているということです。



森山農水大臣 業界団体から現金20万円
森山農水大臣はきょう、自民党のTPP対策委員長だった去年9月に、国から補助金を受けている日本養鶏協会の会長から現金20万円を受け取っていたと明らかにしました。政治資金規正法では、国の補助金を受けた団体からの寄付を制限しています。森山氏は会見で、「餞別のようなものだと思って預かったが、その後、事務所に返金を指示した」としています。



東電 炉心溶融問題を謝罪
東京電力ホールディングスはきょう、都内で株主総会を開きました。広瀬直己社長は福島第一原発事故が起きた当初、当時の社長が「炉心溶融という言葉を使うな」と指示していた問題を受け、連絡体制に不備があったと謝罪しました。きょうの総会では、株主から脱原発など10の議案が提案されていましたが、すべて否決されました。



観光客を呼び戻せ!北京で説明会
4月に起きた熊本地震で、大きなダメ―ジを受けた九州の観光。その九州に中国人観光客を呼び戻そうと、九州の自治体が、北京でこんなイベントを開きました。北京の旅行会社を集めて行われたのは、「九州観光復興キャンペーン」の説明会です。九州への観光ツアーを組んだ旅行会社に補助金を出すというもので、例えば、観光客が長崎に1泊した場合は2,000円の補助金が国から出ます。熊本地震で旅行をキャンセルした国内外の客は九州全体で75万人に上りますが、自治体側は今回のキャンペーンで中国人観光客を皮切りにその倍の150万人を呼び込みたい考えです。
《長崎観光振興課/井川博行さん》
「一番書き入れ時の7~8月も予約が入るめどが立たない。落ち着いてV字回復を期待したい」




■【トレたま】手料理が失敗しないコンロ

下ごしらえした食材をコンロに置きボタンを押すとプロの火加減で自動調理してくれる。自動調理の秘密はコンロについた温度センサー、プロの火加減をデータ化してコンロに教え込んでいる。出来上がると自動で火を消し音声で知らせてくれる。スマートフォンお専用アプリで毎週レシピが更新されコンロが自動調理出来るメニューがどんどん増える。
《リンナイ営業本部/藤田侑紀さん》
「焼き上がりや焦げ目、火の通り具合などできない方もいるのでサポートするコンロです。」

【商品名】DELICIA(デリシア)
【商品の特徴】ボタンを押すだけで、プロの火加減で自動調理してくれるコンロ
【企業名】リンナイ
【住所】名古屋市中川区福住町2-26
【価格】27万4,000円(税別)~
【発売日】8月1日発売
【トレたまキャスター】北村まあさ






2016.6.28 Newsモーニングサテライト

2016年06月28日 07時00分00秒 | MS
■マーケット
m1.JPG
NY株 大幅続落
週明けのアメリカ株は、大幅続落でした。市場全体に、リスク回避の動きが広がり、安全資産の金が大幅高です。金は一時2014年3月以来となる1,340ドル台を付けました。投資家の安全志向の高まり、また、アメリカの利上げが先送りされ低金利が続くとの思惑も金価格には追い風です。一方、株価は、一時、下げ幅300ドルを超え、主要指数はトレンドの転換といわれる200日移動平均を下回りました。収益改善期待の後退などから銀行株が売られた一方、公益や消費財などいわゆるディフェンシブ株に資金が向かいました。株価終値、揃って続落です。ダウが260ドル安、1万7,140ドル。ナスダックが113ポイント下落、4,594。S&P500が36ポイントマイナスの2,000です。0指標.jpg
















【世界の株価】
27日の終値























【NY証券取引所中継】米株式 現状を分析
解説はマンハッタン・グローバルフィナンシャルの森崇氏

--週明けもさえないですね。
英国のEU離脱を受けて欧州経済と金融市場の先行き不透明感が続き、欧州株式相場が下落、米市場でもリスク回避姿勢が広がり、金融株を中心に売りが出ました。

--今日もアメリカ株、大幅安なんですが、この先もちょっと不安ですね。ny1.JPG
先週金曜日からの世界主要株式市場の下落率を比較しますと、S&P500指数は5.3%の下落率で、ユーロ圏の優良銘柄を集めた Euro Stoxx 50 やドイツ、日本と比較して大きくありません。これはある意味アメリカ市場は世界経済から隔離されているといえると思います。モルガン・スタンレーの最近のレポートによるとアメリカ企業の売上高の国内比率は70%と、日本企業の58%、欧州企業の49%を大きく上回っています。つまり海外からの影響を受けにくい状況です。

--ということは楽観的に見てもいいんでしょうか。
アメリカ企業のバランスシートは強固で金利は低く、4-6月期のGDP成長率は2.5%に達するとの予測が出ています。冷静に考えれば今回の事態を受けて、イギリスが世界経済から姿を消すわけでも、他の国との貿易をやめるわけでもありません。感情的な反応が薄れるにつれ、投資家の関心はファンダメンタルズに戻ると思われ、アメリカは相対的に高い安定度が見込まれると考えています。





【NY証券取引所中継】米株 先行きの不安要素は?ny2.JPG
解説はマンハッタン・グローバルフィナンシャルの森崇氏

--株価の先行きなんですが、その不安要素がアメリカ国内にもあると見ているそうですね。
実は個人投資家の株式保有比率が高い水準にあることが懸念材料です。民間の調査によるとアメリカでは、家計の3月末の金融資産全体に占める株式保有残高の割合は51.5%で、リーマンショック直前の高水準に近づいています。これは1952年以降の平均である44.4%を大きく上回っています。

--これは何を意味しているんですか。
つまり個人投資家全体で考えると、この先買い余力が乏しいといえまny2-2.JPGす。実はほかのデータを見ても、機関投資家や海外投資家も株式の保有比率が高まっていて、今後株価のもっと大きな推進力となるのは企業の自社株買い戻しということになります。ただ現在の株価は決して安い水準ではなく、企業が割高の株を買い戻すことや買い戻しのために負債を増加させることは、逆に利益の圧迫につながり、株価へも悪影響になる可能性があります。

--決算も近づいていますし、企業の利益見通しが気になりますよね。
調査会社ファクトセットのチャートを見ても、S6P500指数の一株利益予想は2年近く低迷しています。もし今後企業業績が回復するとの兆しが見えれば、一株利益の予想も上昇し、株価に対して強気になることもできます。しかし今は株価の方が割高で推移していて、業績回復の見通しが見えるまでは慎重姿勢で臨んだ方が良いのかもしれません。






【為替見通し】注目ポイントは「EU首脳会議」
解説はみずほ証券の鈴木健吾氏

英国のEU離脱をめぐる混乱の処理が続いています。不透明感が強い状況ですがリスク回避ムードが強く、円もドルも買われる傾向が強く、ドル円は結果として底堅い動きを見せています。

--今日の予想レンジは、101.00~103.50 です。
引き続きイギリスのEU離脱が世界経済に与えるインパクトについて金融市場の消化が進んでいる状況です。本日も不透明感が株安などのリスク回避圧力を通じて、円高の圧力をかけると見られますが、先週末の1ドル99円までの動きにはいき過ぎ感もあることや、リスク回避はドル買い円買いにつながりやすいことで、ドル円は比較的底堅い展開を予想しています。

--注目ポイントは「EU首脳会議」です。
国民投票の結果を受けたイギリスとEUの話し合いが本日よりスタートします。離脱へのスケジュールや今後の関係性など、重要な部分がもう少し見えてくれば、実際の影響をより正確に予想でき市場の安定につながると見られます。この会合は明日水曜日まで行われるほか、ポルトガルでは欧州中央銀行が主催するフォーラムが開催されており、ドラギ総裁が発言予定です。政治や金融政策のスタンスや方向性を通じて、リスク回避一辺倒の状況に変化が出てくれば、ドル円も100円近辺が底堅い展開になるのではないかと考えています。
0為替.JPG















【日本株見通し】注目は「業績下振れの織り込み一巡?」pro1.JPG
解説は野村証券の若生寿一氏

--今日の予想レンジは、14900~15300円です。
引き続きブレグジット後のマーケットの心理が落ち着いていないということですから、為替の動きをにらみながら神経質な展開を予想せざるをえない。

--注目は「業績下振れの織り込み一巡?」です。(フリップ1)
先ほどもブレグジット後の投資環境ということで、「①短期的な業績下方修正」という話をしたんですが、一応我々としては100円を挟みドル円が続いたらという想定で、17円3月期の日経平均の予想EPSの修正をしました。



nk2.JPG
(フリップ2)
従来EPSを1250円ぐらいと見ていたの1100円位かなということで、それのPER13倍~16倍くらいのレンジを考えて、そのど真ん中16000円ぐらいが今年末ぐらいの水準になるのかなということ
に考え方を改めている。
--これは想定為替レートも変えて・・・
そうですね。以前は108円と言っていて、これは(この表の数字は)アナリストの数字ではなくて、トップダウンの考え方なんですが、100円前後で考えるとこんな形です。




--これを基にして年度末までの若生さんの予想推移を見てみます。
(フリップ3)
nk3.JPG
当面は15000円前後を底固めということなんですが、一応先ほどの話で業績の下振れリスクは、我々としては一旦もう織り込んだ形になりますので、ここから先は底固めした後、業績の確認、戻りを見ていくことになります。

--この上昇していくであろうという根拠なんですけれども、(再度フリップ1)今後は短期的に「④米中景気の下振れリスクか?」ということですね。
確認するということ、それから政策です。企業の売上価格を左右するのが為替だと思うんですが、売上数量に関連するのが、米中の景気指標ということになってくるので、今来週のアメリカの統計で、アメリカ景気の安心感が広がるかというところがポイントです。広がるようであれば、さっきの見通し、PERでいうともう少し上とかいう話も見えてくるのかなと思います。
--アメリカは今週・来週と製造業に関する指標とかも相次ぎますから、そこに注目したいということですね。





■【コメンテーター】野村証券/若生寿一氏

英国国債格下げ、ブレグジット余波続く
--リスク回避の動きがまだまだ加速している感じがしますね。
格下げなども含めいろんなニュースが出てきているので、不確実性がまだ収まらないというところですね。
--ソロス氏の言うようにリーマンの時に危機になると思いますか。
「銀行間のお金のやり取りは安定していますので、そこまでのことはないだろう。ジョージソロスのいうような金融危機のような状況にはならないだろう。ソロスさんは92年にポンドに売り仕掛けをしたんですけれども、あの後イギリスの景気はポンド安のおかげでものすごく良くなっている。
--長い目で見るとポンド安は景気には追い風。ただ一方で景気後退になるという見方もあるわけですね。
底は不確実性ということだと思います。
--介入にに関してはどうですか。ルー財務長官の(慎重姿勢の)発言がありましたけど。
米国からみると対円で円高ドル安だが、それ以外はリスクオフでむしろドル高気味なので、アメリカからすると円だけというのはバランスが取れないのかなと思います。」



・日経朝特急/日銀追加緩和「年2回」意識
--年2回ですか。そして財源20兆円という話も出ている中で、財源が足りないのではないか。
「最終的には財源は赤字国債ということになるんだろうと思います。
景気の下ぶれリスクがあるときに、財政健全化を優先するというのもいかかがなものか、というのがこれまでの経験ですから。それで財政赤字が短期的に膨らんでも、今は日銀がむしろその分、追加の緩和余地ができると考えれば、財政と金融がそろって政策対応ができるということになる。」
--追加緩和となると国債の買入れ額増額とか、他にもあるということですか。
そうですね。ETFの増額あるいはマイナス金利の深堀りなど、総動員でできるようになると思います。



・日刊モーサテジャーナル/世界の中銀は救済できない?
--ブレグジットは人々の反発と言っているんですが、人々はいまその影響を見て後悔している人もいるという報道もあります。
一つのイシューを○×で決めていくという国民投票が、日本でもそうですけど、意思決定の問題になっている。
--感情が政策の手足を縛ってしまうというリスクがありますね。



・今日の経済視点 「半値押し」 8160 → 20868
日経平均は2011年からの上昇で、8160円から12000円位上がっています。半値押しというと14500円どころなんですが、そろそろそれが見えてきたということで、まさにそれがアベノミクス相場という言い方がいいかどうかわかりませんが、一応上昇の半分押してきた。これが半値押しが全値押しになるかどうかというポイントは、やはりこの先のストーリーが書けるかどうか。今日話した通り金融環境はサポーティブということですし、あとは業績がちゃんとついて来れば、というのでもう一回上を見たいなという思っています。






■【プロの眼】長期的には日本株にも好機?
Brexitを受けた投資環境を整理すると、円高による企業業績見通しの下振れ懸念が残る。しかし、政策当局の動きに注目すると、米国の利上げ先送り、日欧そしてイギリスの追加金融緩和の可能性も高まるなど、グローバルに金融緩和環境が続くことが考えられる。FRBの動きと米国株の動きを見ながらだが、次の流動性相場につながる環境を期待しやすくなってきたとも考えられる。pro1.JPG
解説は野村証券の若生寿一氏。

--「長期的には日本株にも好機か?」という話なんですが、なかなか今まだ未来にまで目が行かない状況です。
(フリップ1)【チェック項目 : ①短期業績下方修正、②金融緩和の継続】
ちょっとこの話をするのは早いのかなという感じもするんですが、ブレグジット後の投資環境を整理すると、円高で企業業績見通し下振れ懸念が残ります。ただ政策と医局の動き(さっきもニュースでありましたけれども)に注目しています。目先はドル資金供給の動きですが、これに加えてアメリカの利上げ先送りや日欧そしてイギリスの金融緩和も可能性が高まっています。アメリカについては年内利上げ(12月に1回だけ)というふうに予想を先送りしています。ですからこういうのがグローバルに金融緩和環境を続けていくということです。

--つまり緩和相場が株高をもたらすだろうという見立てですか。それは過去にもあったのかということで・・・
(フリップ2)pro2.JPG
参考になるケースが、97年のアジア通貨危機、それからその後の98年のロシアショック、このあたりの状況が参考になる。97年の方に注目していきたいと思います。97年3月にFRBが利上げに踏み込みます。そのあと7月以降にアジア通貨危機が発生して、結果的に追加利上げができずに緩和的な金融環境が続いたという状況です。この時の日米の株価を見ていきたい。ダウは97年の金利据え置きのあと、98年の初めぐらいにかけてアジア各国の対応が進む段階で株価が上昇しています。日本はこの時残念ながら、アジアに近いと言われたり、あるいは国内に不良債権問題がりましたので、出遅れたということなんです。この形が今の状況に近くなっていると思います。

--つまりアメリカの緩和が続く、日欧イギリスも緩和が続くから、同じような環境が日本でも続く。さらにこことは状況が違うわけですね。
この絵を見ると98年のロシアショックの後の方がITバブルということで、上がりがはっきりしているんですけれども、今の状況は97年の状況に似ているのかなと思います。

--ただ政治的な点ではちょっと違いますね。
(再びフリップ1)【チェック項目 : ③財政政策上積み期待、④米中景気下振れリスク?】
今回はヨーロッパの政治的な動きですから、いろんな波及効果があると思いますけれども、ただ97年、98年と違って、今回は日本は不良債権問題が無いんです。それから財政の話も出始めていますから、次の流動性相場につながる環境に期待しやすくなってきたということで、長期的な観点から、株などのリスク資産への資金流入が出るかどうか。そのためには一番下のチェックポイント「④米中景気の下振れリスクか?」も必要になってくる。
--長期的には日本には好機なんではないかという見立てでした。









■今日の予定

株主総会 東電HD、関西電、タカタなど
EU首脳会議
米1-3月期GDP(改定値)
米6月消費者信頼感指数
米4月S&Pケース・シラー住宅価格指数



■ニュース

独仏伊「非公式交渉 応じない」
イギリスのEU離脱決定を受け、ドイツ、フランス、イタリアの首脳は27日、共同記者会見を開き、イギリスが離脱を正式に通知する前に、非公式交渉を行うことはないとの立場を明らかにしました。イギリスは非公式交渉でできるだけ有利な条件を引き出し、その上で離脱の正式交渉を始めたい考えですが、メルケル首相などは、ほかのEU加盟国に影響が及ぶことを恐れ、これを拒否した格好です。一方、イギリスのキャメロン首相は議会で演説し、「国民投票でのEU離脱決定は尊重されるべきであり、正式な離脱交渉の時期は、イギリスが決めるべきだ」と述べましたが、今後については、次期首相に委ねる考えを示しました。次期首相は、9月2日までに選出する案が浮上しています。



S&P 英国債2段階格下げ
格付け会社大手のS&Pは27日、イギリスの国債の格付けをもっとも良い「トリプルA」から2段階引き下げ、「AA」としました。見通しは引き続き、「ネガティブ=弱含み」でした。S&Pは、格下げの理由について、「EU離脱決定は、将来的に影響力が大きく、イギリスの政策決定に対する予測が難しくなる上、安定性や効果が薄れることにつながる」としています。



米FRBイエレン議長 国際会議欠席
FRB=連邦準備制度理事会のイエレン議長が、29日までポルトガルで開かれるECB=ヨーロッパ中央銀行主催の国際会議を欠席することが明らかになりました。イエレン議長は、ECBのドラギ総裁やイングランド銀行のカーニー総裁とともに、金融政策についての討論イベントに参加する予定でした。ブレグジットを受け、カーニー総裁も参加を取りやめています。



米ルー長官「金融危機の兆候なし」
「市場は無秩序な動きを見せなかった。むしろ整然と機能している」アメリカのルー財務長官は27日、金融市場の現状についてこのように述べ、金融危機の兆候はみられないとの認識を示しました。またCNBCテレビのインタビューでは為替介入について「市場の無秩序な動きなどの根拠が必要だ」と述べ、慎重な姿勢を示しました。



ソロス氏「影響は金融危機に匹敵」
アメリカの著名投資家、ジョージ・ソロス氏は、イギリスのEU離脱決定で、世界の金融市場の混乱が続く可能性を指摘し、「実体経済に及ぼす影響は、2007年から2008年の金融危機に匹敵する」との見方を示しました。また、EUからの離脱は、イギリス国民と経済に短・中期的に大きな打撃を与えると指摘しました。一方、ゴールドマン・サックスは、今後1年半、イギリスでは不安が膨らんで貿易全体が停滞すると予測し、来年初めに景気後退入りするだろうと警告しています。



安倍総理「金融市場を注視」指示
イギリスが国民投票でEU離脱を決めたのを受けて、日本政府は日銀と緊急の会合を開くなど、対応を急いでいます。安倍総理大臣は金融市場を注視するよう指示しました。きのう、安部総理は、麻生財務大臣や菅官房長官、日銀の中曽副総裁と緊急会談を開き市場への対応を協議しました。「他のG7諸国と緊密に協議し、経済・金融面での必要な対応を機動的にとっていただきたい」安倍総理はこのように述べた上で、日銀には、企業や金融機関の資金繰りを支援するよう求めました。また、麻生財務大臣は一連の政府の対応について問われると、為替市場が一定の落ち着きを取り戻したとの見方を示し「対応は成功したと思う」と述べました。政府は今日も経済財政諮問会議を開き対応を協議します。また自民党はきょうEU問題の緊急特別本部の初会合を開いて対応に向けた具体策の検討を始めます。



三井物産 豪で油田開発
三井物産は、オーストラリア北西部沖で、新たな海底油田を開発すると発表しました。総開発費はおよそ1,900億円で、三井物産は4割にあたる800億円を投資します。近隣の油田設備を利用すると、投資額を大幅に抑えられるため、開発を決めました。オーストラリアの石油・ガス開発大手ウッドサイド・エナジーと手を組み、2019年半ばの生産開始を目指します。



中国 李首相 国際協調求める
中国の李克強首相はきのう、天津で開催中の国際会議「夏季ダボス会議」で演説し、イギリスのEU離脱決定で、「世界経済の不確実性はさらに増した」と指摘し、「世界経済の回復のため、共同で困難に対応し、安定した国際環境をつくる必要がある」と国際社会に呼び掛けました。また李首相は「中国はヨーロッパやイギリスとの関係維持に引き続き尽力する」と強調しました。



中国人民元 5年半ぶり安値
中国人民銀行はきのう、人民元取引の対ドル基準値を1ドル=6.6375元と、先週末の基準値より0.9%元安に設定しました。これは2010年12月以来、およそ5年半ぶりの低水準です。また対円の基準値も3.56%の元安に設定されました。こちらはおよそ3年ぶりの元安水準です。イギリスのEU離脱が決定したことを受け、ドル買いが活発化しているため基準値も元安に設定したとみられます。



切断遺体は88歳女性と判明
東京・目黒区の池から女性の切断された遺体が見つかった事件で、警視庁はきのう夕方、遺体の身元は、世田谷区に住む阿部祝子さん88歳と確認しました。警視庁によりますと、今月20日に、阿部さんの家を訪ねた清掃業者が、阿部さんが不在でその後も連絡がとれないとして、警察署に届け出ていました。警視庁が阿部さんの部屋を調べたところ、所持品と遺体のDNAが一致したことから、切断遺体は、阿部祝子さんであると確認されました。警視庁によりますと、阿部さんの部屋の玄関のカギは開いていて、室内に血痕や荒らされた跡はなかったということです。阿部さんは1人暮らしで、先週19日に訪ねてきた長男家族を夜に見送る姿がマンションの防犯カメラに写っていたのを最後に、所在が掴めていません。警視庁はきょう、池の捜索とともに、阿部さんの自宅を細かく検証する方針です。



スーツケースに女性遺体
きのう午後、東京・品川区の東京湾につながる京浜運河に浮いていた旅行用のスーツケースのなかから、膝を折り曲げた女性の遺体が見つかりました。警視庁によりますと、遺体の女性の年齢は30歳から40歳くらいで、目立った傷などは無かったということです。警視庁は、身元の確認を進めるとともに、死体遺棄事件として調べています。





■【リーダーの栞】SBIホールディングス・北尾吉孝社長
きょうのリーダーは、ネット証券やベンチャー投資などを行うSBIホールディングスの北尾吉孝社長。紹介する本は、森信三氏の「修身教授録」。北尾社長が25年以上にわたり何度も読み返している本です。「修身教授録」は、教育者で哲学者の森信三氏が、小学校教師を育てる師範学校で行った戦前の道徳教育=修身の授業をまとめたものです。北尾社長がこの本に出会ったのは、野村証券に在籍していた40歳の頃で、トップを目指すには知識以外の何かが必要だと感じていたといいます。この本を読んで、著者の魂が本を通じて伝わり、魂を揺り動かされたといいます。

《インタビュー : 野沢春日キャスター》

【「修身教授録」森信三氏(明治29年-平成4年)著 致知出版社】

--終身というのは若い人には聞きなれない言葉です。
終身というのは言い換えれば人間学です。能力的に優秀な人とか、知識を豊富に持つ人はたくさんいる。だけど人物がいまいちかなと思う人が多い。学校の成績だけいい点を取れば親は褒める。人に親切にするとか、正直にするとかでは褒めない。これは昔とは全然違うと思う。だからそういうところを補う教育が絶対に必要で、僕はこの本をぜひ薦めたい。

森先生が42,3歳でこの本をお書きになられたんです。僕が読んだのがちょうど40歳ぐらいだった。その日の夜、寝られなかった。何か先生の魂がこの本を通じて伝わってきて、僕の魂を揺り動かしているようなそんな感動を覚えた。

--北尾社長は数年後、ソフトバンクからスカウトを受けます。どうすればいいか迷う中、決め手となった言葉が「最善観」でした。

「最善観」というのは要するに何かというと、我が身に降りかかる一切のこと、それは自分にとって絶対必然であり、また実に絶対最善であるという言葉がある。これが「最善観」です。こういうふうに思うと、気が楽になって新しい挑戦ができるんです。だからこの言葉は森先生から受けた言葉の中では、ずっと心に残り、その後の事業を経営していく上でも大事な言葉になった。

--この本は教育者に向けた内容ですが、経営者が持つべき資質についても言及しているといいます。

ピーター・ドラッカーが言っているけど、「経営者がどうしても身につけなければいけないものがある。それは気品だ。」と言っている。森先生も気品のことを言っている。品性というものはやはり経営者にはどうしても必要だ。

--ここに投資をしたい、あそこに投資をしようというときに、見るべきはやはりそういうところでしょうか。

最終的に僕が投資するかしないかは、この経営トップが人を引き付けるに十分な人間力を備えているか。人間的魅力があるか。一人で事業はできないから、いろんな優秀な人が集まってくれて一緒になって、志を共有して事業を起こす。金儲けのため、自己満足のために事業をやっているところに投資はしたくない。

--北尾社長にとってこの本は味わって読める本だと、また噛み砕いてこれからも長く読んでいきたいというふうにおっしゃっていました。






■ビジネス書最新ランキング
紀伊國屋書店調べ(6月20日~6月26日)のビジネス書最新ランキングを発表。

1位 「未来の幸せ遠見を先取りする」 佐藤康行
2位 「初めてリーダーになったあなたへ」 中沢薫
3位 「自分を操る超集中力」 DaiGo
4位 「嫌われる勇気」 岸見一郎/古賀史健
5位 「幸せになる勇気」 岸見一郎/古賀史健





■日経朝特急

①英国・深まる混乱
英国は混乱が深まっている。与党・保守党は辞意を表明したキャメロン首相の後継選びが本格化しているが、党内の対立は根深く難航しそうだ。



②政府・市場対応に苦慮
英国のEU離脱決定を受け、動揺する市場への対応に政府が苦慮している。7月10日投開票の参院選を控え、与党に大規模な財政出動論が出ている。自民党・二階総務会長はきのう安倍総理に「リーマンショック級の危機が顕在化しかねない」と指摘。総額20兆円の景気刺激策を求めた。しかし、2015年度税収は56.3兆円と7年ぶりに見積もりを割り込む見通しだ。財源も限られているうえ、為替介入には米国の理解が必要で、実現は不透明な状況。アベノミクスは試練に直面している。



③日銀追加緩和「年2回」意識
日銀の追加金融緩和が年2回あると意識する動きが出ている。強まった円高圧力や景気の下ぶれ懸念を背景に、日銀の金融政策の見通しが反映される翌日物金利スワップが先週末にマイナス0.3%台に急低下。昨日はやや戻したが、仮に日銀がいまの0.1%のマイナス金利政策を単純に0.1%ずつ下げるとすれば、年2回の追加緩和を見込む計算になる。





■日刊モーサテジャーナル

①ブレグジットで日中の政策当局は?(ウォールストリートジャーナル)
ブレグジットで世界中のマーケットに動揺の波が押し寄せている、という見出し。とりわけ日本や中国の政策に対する影響に注目している。日本については、急激な円高が進が進んだことを受けて、「ブレグジットはアベノミクスにとって最大の危機ではないか」と報じている。また中国の人民元が対ドルで約5年半ぶりの安値をつけたことで、記事は、去年の夏のチャイナショックを繰り返さないよう、中国人民銀行がどう舵取りできるか課題だ、と指摘。また専門家は、中国資本のアメリカなどへの流出を防ぐため、人民元安が続くという不安を市場関係者に持たせないことが大切、と話している。



②世界の中銀は救済できない?(ニューヨークタイムズ)
ブレグジットを受け、世界の中央銀行が救済策に乗り出すか注目されているが、今回は慎重にならざるをえない事情があるのでは、と伝えている。というのも今回の株安の発端となったブレグジットの背景にあるのは、既存の体制やエリート主義に対する人々の反発で、政治・社会的な要因。リーマンブラザーズに端を発した金融危機のように、金融市場の機能が急に停止したわけではなく、中銀としても救済策の理由を正当化しにくいのでは、と伝えている。
むしろ世界的な低金利がもたらしたのは資産価格インフレで、人々の生活は改善していないという中央銀行への批判もあり、実際今回の震源地ロンドンでは住宅価格が急騰した一方で、平均賃金は金融危機前より下がっている、と指摘している。そんななか、積極的な金融政策はを導入することは、むしろエリート主義への反感を高めるだけでは、という見方が出ていると、記事は伝えている。



③「ボタン1つで買い足し」アマゾンが拡大方針(ウォールストリートジャーナル)
アマゾンが販売しているダッシュボタンは、ボタンを押すだけで同じ商品を注文できる端末。日本では未発売。アマゾンではダッシュボタンで注文できる商品数を増やす計画。例えばコーヒー豆やペットフードなど毎日使う商品の補充を忘れないように、ストックが無くなる前に、ボタンを押すことで注文が完了、配達してもらえる。商品の数は事前にスマホで設定可能。ボタン自体は一つ5ドル。ただこの商品、発売以来あまり人気がでていないとか。しかしアマゾンはもしヒットしたらということを考えて力を入れざるをえないのでは、という専門家の意見を掲載している。