■シリーズ企画 英国・EU離脱の衝撃!
注目のEU首脳会議の動向は…
イギリスがEU離脱を国民投票で決めてから、初のEU首脳会議がベルギー・ブリュッセルで始まります。EUが今回の動揺の広がりを最小限にとどめるため、離脱手続きをすぐにでも始めるようにイギリスに求めています。一方、イギリスは今後の通商交渉などを有利に進めるため時間を稼ぎたいとの思惑で、「離婚」に向けた話し合いの前途は多難です。イギリスではキャメロン首相に代わる候補が誰になるのか、全く読めない状況が続いています。大手格付け会社は相次いでイギリス国債の格下げに踏み切るなど、経済でも大きな波紋が広がっています。こうした中、日本政府は28日、臨時の経済財政諮問会議を開き、日本経済への影響や対応策を協議しました。安倍総理は市場の安定に務める考えを強調したうえで「中小企業の活動に影響が出ないよう万全を期す」と述べました。
【各国首脳が初会合】
--EUが本部を置くベルギーの首都・ブリュッセルには、英国の国民投票後初めてのEU首脳会議のため各国のリーダーが集まってきている。そのブリュッセルでは豊島記者が取材に当たっている。
《中継:ベルギー・ブリュッセル/豊島晋作記者》
現在、離脱交渉に向けた話し合いが始まった段階で前途は多難だ。既にEUと英国の駆け引きは始まっている。EU側は他の加盟国に動揺が広がるのを防ぐため事態の収拾を急いでいて、公式の離脱交渉を早く始めたいのが本音だ。このため英国に対し交渉を始める為の離脱通知を早く出すよう求めている。いわば別れるなら早く分かれましょうという姿勢だ。しかしEU残留派で辞任を決めたキャメロン首相には離脱交渉に対してやる気がなく、すぐに話し合いを始めつもりはない。また英国としても今後のEUとの通商交渉などを有利に進めるため、少しでも時間を稼ぎたい思惑もある。最終的になるべく都合のいい条件を勝ち取ろうというわけだ。
--こうしたイギリスの姿勢にEUはどう反応しているのでしょうか。
これに対しドイツ・メルケル首相は「いいとこどりは許されない。EUは英国が離脱しても十分強い」と英国のこうした動きを牽制している。ただメルケル首相はあまり強い態度で英国に臨むとお互いを傷つけて本当にひどい離婚になってしまうということを懸念しているようで、英国には一定の配慮を示すとも言われている。キャメロン首相の後任が9月にも決まると言われているので、本格交渉はそれ以降になるのが有力だ。以上ブリュッセルからでした。
【「次の首相」は?混乱続く】
--EUから有利な条件を引き出したい英国だが、依然として英国国内は混乱が続いている。ロンドンから影山記者です。
《中継:ロンドン/影山秀伸記者》
英国としてはキャメロン首相に代わる新しいリーダーをできるだけスムーズに選び、EUからより有利な条件を引き出したい考えだ。有力候補の1人はキャメロン首相と同じ与党・保守党にありながらEU離脱の旗振り役となったジョンソン前ロンドン市長だが、保守党内のEU残留派から激しい抵抗が予想される。一方、EU残留派の議員はメイ内相を担ぐ構えを見せているほか、ゴーブ司法相の名前が上がるなど先行きが全く読めない状況が続いている。
--英国の政治の混乱が続いて、EUとの交渉開始に手間取ってしまうと英国経済に対する影響がさらに大きくなりそうですね。
この混乱の長期化を見越し大手格付け会社が相次いで英国国債の格下げに踏み切った。格付け会社S&Pは「トリプルA」から2段階引き下げたうえ今後さらなる格下げがあり得るとの見方を示した。このほかフィッチレーティングスも1段階の格下げに踏み切るなど大きな波紋が広がっている。またヴァージングループの創業者リチャード・ブランソン氏は28日、英国メディアに対し「英国経済は破滅的な状況に向かっている」と主張した。不安が不安を呼ぶ状況は終息の兆しが見えない。一方、ヨーロッパの株価は大きく反発している。イタリアの金融当局が金融システムの動揺を防ぐため、対応策に乗り出すとの観測が出て、これが株価を支えている。
【英国EU離脱交渉に向けた日程】
《大浜キャスター》
英国EU離脱交渉に向けた日程を確認しておく。6月28~29日のEU首脳会議で国民投票の結果を説明する。既に辞意を表明しているキャメロン首相は離脱の通告をしない事を明言しているため、離脱交渉は新首相の下で行う事になる。9月2日までに次期首相となる英国の与党・保守党の党首を選ぶ選挙を行う。そして9月のEU首脳会議で新首相が正式に離脱通告をし、ようやくEUとの離脱交渉に入るのではないかと見られている。
【それぞれの思惑は?】
--そこで気になるのが今後の英国の対応、EUとの交渉の行方だ。ヨーロッパでの取材経験が長い日本経済新聞社の菅野幹雄編集委員に聞いた。離脱を支持した国民だが議会では残留派が過半数を占めていて、ねじれ状態になっている。
《日本経済新聞社/菅野編集委員》
--かなり混乱が続いているが、離脱派が勝った後どういう状況になりそうか、そのメインシナリオは?
「早期に議会を解散してもう一回選挙するというのも手続き上できないわけでははない。ただし英国議会の解散には下院議員の3分の2以上の賛成が必要など非常に高いハードルがある。英国はEU側と非公式の交渉をして有利な条件を引き出そうという思惑があるのではないかと言われていたが、今のところEUの各国首脳は一切事前の交渉はしないという。他の国に対しても『離脱に動くな』と牽制する意味合いがある。EUが厳しくしないと『英国に甘い顔をしているのでは。うちの国もやってみよう』と離脱ドミノが出る可能性がある。」
【欧州の繁栄続くか?】
《大浜キャスター》
今年から来年にかけてEU各国で重要な政治イベントが目白押しだ。10月、イタリアで国内の制度改革を進める為に憲法の改正を問う国民投票が行われる。また来年にはフランスで大統領選挙、そしてオランダやドイツでも総選挙を控えている。これらの国には共通する心配事がある。それは反EU勢力が躍進するのではないかということだ。今回、英国との交渉で譲歩を迫られると、移民の排斥などを掲げる反EU勢力が「英国の後に続け」と勢いづいてくる可能性がある。これにより各国それぞれの政権基盤が弱体化し、ヨーロッパ全体がどんどん不安定になっていく可能性が高まる。こういう事情もありEUとしては結束して英国に対しては厳しい態度で交渉に臨んで行きたい考えだ。
《日本経済新聞社/菅野幹雄編集委員》
--EUの組織自体が改革をしないと、EU全体が着いてこない状況になりつつあるということなんですか。
「そうですね。今回の英国離脱の決定は欧州の歴史上初めてと言えるほど後戻りの瞬間だ。EUがいかに大事であるかということを今の世代にどう訴えるかは、先人の知恵では克服できない問題で、今まさにいるヨーロッパのリーダー達がどうするかにかかってくる。」
【“株に有利”との見方も】
--今日28日のヨーロッパの株価は大きく反発していて少し落ち着きを取り戻しているようだが、ではアメリカの株価はどういう状況か。ニューヨークから池谷さん。
《中継:ニューヨーク支局/池谷亨キャスター》
ニューヨークの株価も上昇して始まっている。国内の良好な経済指標も安心感となっているようだ。ダウは3ケタの上昇となっている。現在193ドル高。先程発表になった米国の1-3月期のGDPの確定値は1.1%に上方修正された。とはいえ今日の上昇は一時的な買戻しで市場の不安心理の払拭には時間がかかると見られる中、「冷静になる必要がある」との声も聞かれる。まず英国がEUを離脱するまでには2年以上あり、市場も準備する時間があり、これまでの金融危機などとは大きく違うという見方だ。さらに利回りという視点では今は株に有利な環境という見方だ。市場の不安心理が高まっている時には株などのリスク資産より安全資産とされる国債が買われ金利が低下する。足元で米国の10年債利回りが1.4%台に低下する中、株価に対して配当がどの位かという配当利回りは昨日までの株価急落で逆に上昇し、S&P500の配当利回りは2.2%を超えている。世界的に金融緩和状態が続きお金が余っている中で、中長期的な運用を考えた場合にはこの利回りは魅力的かもしれない。
【日本政府・臨時の「諮問会議」】
日本政府は今日、英国のEU離脱問題を受けて臨時の経済財政諮問会議を開き、日本経済への影響や対応策を協議した。安倍総理は「昨日の東京市場はひとまず落ち着きを取り戻したがまだ不透明感、リスク懸念も残っている。引き続き為替、株式市場をしっかりウォッチし細心の注意を払っていく」と述べ、市場の安定に努める考えを強調した上で、「中小企業の活動に影響が出ないよう万全を期す」と述べた。また経団連・榊原会長は「経済活動が委縮しないよう官民挙げて対応する必要がある」と訴えた。
■マーケット
市場不安定 投資家はリスクとれず
東京株式相場は前日の米国やヨーロッパの株価の下落を受け、一時1万5000円を割り込む場面もありました。その後は政府による財政政策や日銀の追加緩和への期待から、今日の日経平均株価はプラス13、2営業日連続の値上がりです。ただ、1日の日経平均株価の値幅は450円以上で不安定な相場となりました。投資家の不安感はまだ拭えていません。イギリスの国民投票の結果を受け、投資家が積極的にリスクを取りにいかない状況は続いています。きょう、市場で買われたのは景気に左右されにくい「ディフェンシブ銘柄」と呼ばれる食品や医薬品といった業種の株です。
(亀田製菓5.6%増、森永製菓3.0%増、参天製薬4.1%増、大正製薬HLDG2.5%増)
一方で、ロンドンに拠点を持つメガバンクの株や、投資家が株式などの売買を控えて手数料収入が減るとの見方から証券会社の株は売られました。また、円高が業績に与える影響への懸念からトヨタ自動車の株価は、約3年3ヵ月ぶりの安値となりました。
(ロンドンに拠点を持つみずほFG1.8%減、三菱UFJFG1.5%減、大和証券2.1%減、野村HLDG1.6%減、トヨタ自動車終値4975円)
株価が不安定なことを受けて、国債を買う動きが一段と強まっています。住宅ローンなどの指標となる10年物国債の利回りはきょう、一時マイナス0.230%をつけ、過去最低を更新しました。
■【コメンテーター】高田創氏(みずほ総研チーフエコノミスト)
・際立つドイツ“独り勝ち”・EU立て直しの条件は
--まだまだEUと英国との交渉がいつ始まるのかもわからない状況ですが、今回そもそもEUの中でも特に英国でここまで不満が高まってしまった背景には何があるのか。
「EUに対する国別の拠出金を一番ドイツが納めてはいるが、次に多いのがフランスや英国だ。その割に見返りが少ないのではないかとの思いが根底にあると思う。」
--特に英国はポンドだからユーロの恩恵も受けられない。
「ドイツの場合は自分の実力より安い通貨となるので、ある面では相当ぼろもうけに近い輸出ができるので、少々払ってもしょうがないかなという思いがあるが、英国にはそういうメリットがないんだと思う。」
--そのドイツがこれまでもEUの中でかなり強い力を持っていたわけだが、英国がこれまではモノを言ってバランスを取るバランサーの役割をしていたわけですね。そこがいなくなってしまった後、ドイツ一強状態になってしまうのですか。
「そもそもユーロというのはフランスとドイツの間でできたものだが、フランスがやはり弱い。そうするとドイツだけになってしまう。ドイツは本当の意味でいいリーダーシップを発揮できるのか。」
--いい意味でのリーダーシップとは具体的にはどういうことですか。
「ドイツはある程度、財政を拡大したり、世界やヨーロッパ内に需要を供給するということが必要だと思う。それがない中でやっているとドイツが結局、独り勝ちしているではないかとなる。ですから今のブレグジットの問題の背景にもドイツに対してのいろんな不満みたいなものが渦巻いているような気がする。」
--そうするとドイツ自体がEUのリーダーとしての自覚みたいなものをそろそろ持たないといけないという状況ですか。
「そういうことになると思います。ただなかなか歴史的に難しい立場にあるので、その中での立ち位置それ自体も戦後初めての状況です。これも新しい時代にどう向かうか、というところの非常に問われる部分だと思いますね。」
・独歩高の円・日本は四面楚歌・待ち構える最悪のシナリオ
--為替の動きは多くの方が気になるところだが、今のドル円の水準をどのようにご覧になっていますか。
「私は円の独歩高に近いと思う。円がやや四面楚歌になっていると感じる。ドルは今年になってからドル安誘導しているので下がっていろ。本来ならドルが下がったらユーロも上がってもいいはずなんですが、ブレグジットで意外にユーロが上がらない。ユーロは比較的弱いままポンドに引きずられている。人民元もドルにつれ高だったが、ドルが下がり出したので、これもつられて下がりだした。そうすると円だけが強い状況になってしまっている。ドルが下がり石油も上がり、日本だけがアンハッピーで世界は意外と心地よい状態になってしまっている。このいまの状況が続きそうだ。場合によっては例えばアメリカが景気が良くないという状況になると、もう一段円高になるリスクがある。」
--例えば来週の金曜日はアメリカの雇用統計が発表されます。そこでまた先月に続き悪い数字が出てくると・・・
「そうなると本当に100円割れ、90円台定着ですね。」
--それは日本としたら円高を前提にした成長戦略を練り直さないと・・・
「覚悟して臨まざるを得ないかもしれない。」
--あすは安倍総理、日銀の黒田総裁が会合を開く。
「少し戦略を変えなくてはならない状況かもしれない。」
--各国の協力は望み薄だということですね。
「なかなか難しい。単独介入をするしかないんでしょうね。だけど効果は限定されるでしょうね。非常に厳しい状況です。」
・中国人爆買いに陰り
--訪日外国人の日本での消費額は減っているんですか。
「まだ減ってはいないがピークをうった感じはする。一つの要因は、訪日外国人客の数は増えているが、一人当たりの消費額が明らかに前年比マイナスになってきている。やはり買い物がかなり減っている。その要因は一つは円高への転換だ。あとは中国の景気の鈍化もある。どちらかというとモノの消費が明らかに減っている。ただサービス業の消費は意外と底堅く、今後はモノの消費よりコトの消費に重点をおいた日本の観光対策が重要になるでしょうね。」
■特集 治る!最前線 第60回副鼻腔炎の最新治療
患者数が200万人といわれている「副鼻腔炎」。風邪などがきっかけで細菌やウイルスに鼻の周りにある副鼻腔が感染し、膿がたまる病気です。症状が悪化すると失明や脳腫瘍を引き起こすこともあります。重症になると膿を取り除く手術が必要です。その手術に、マイクロデブリッターと呼ばれる最新の治療器具を使った、傷が小さく体の負担が少ない治療法が登場しています。そして最近は、手術をしても再発を繰り返す新型の「好酸球性副鼻腔炎」の患者が急増しています。現在、ステロイドという飲み薬を使って治療が行われていますが、副作用が問題になってきました。そこで、霧状のステロイドを吸入するタイプの治療薬の臨床試験が始まっています。患部をピンポイントで治療できるため、副作用が減ると期待されています。副鼻腔炎の最新治療法を取材しました。
【患者数200万人の“鼻の病”】
鼻の病・副鼻腔炎。鼻の周りには副鼻腔と呼ばれる空洞があり、声を響かせたり顔面への衝撃を吸収したりする機能がある。風邪などがきっかけで副鼻腔にウイルスや細菌が入り込み、粘膜が炎症を起こして肥大化すると入り口を塞いでしまう。すると副鼻腔の中で細菌やウイルスが繁殖し膿が溜まってしまうのだ。副鼻腔は目や脳に近い位置にあるため炎症が悪化すると失明や脳腫瘍などを引き起こす事もある。30代から患者が増え始め60代で最も多くなる副鼻腔炎の国内の潜在患者は200万人と言われている(福井大学調べ)。さらに今、手術をしても再発を繰り返す新型の副鼻腔炎も急増している。その治療の最前線を追った。
【患者数200万人“鼻の病”】
副鼻腔炎の手術の様子。治療には内視鏡とカッターと吸引機能が付いた最新の治療器具・マイクロデブリッターを使用する。まず鼻の穴に内視鏡とマイクロデブリッターを挿入し、マイクロデブリッターで炎症を起こした患部を切り取り溜まった膿を吸引する。これまではメスや吸引機を入れ替えながら治療していたが、マイクロデブリッターの登場で手術の時間が短縮され患者の体への負担が大幅に軽減された。今回の手術では更に新しいシステム・磁場発生装置も使われた。患者の顔を覆う様に磁場を作る事で、マイクロデブリッターの先端が患者の頭部のどこまで入っているのか確認する事が出来るようになる。この装置により手術の安全性が一層増した。
《東京慈恵会医科大学附属病院耳鼻咽喉科/鴻信義教授》
「吸うこと、切ることが同時にできるので、当然患者の負担も少ないし、それから短時間でやると傷の治りも早いです。」
30分程で手術が終了。治療は保険が適用され、費用は3割負担で約10万円。
【急増・新型副鼻腔炎】
今、新型の副鼻腔炎患者が急増している。これまでの副鼻腔炎は手術をすれば治る事が多かったが、新型は手術をしても再発してしまう。その新型は好酸球性副鼻腔炎と呼ばれている。好酸球は体に入った細菌などを攻撃する細胞だが、新型の患者はこの好酸球が増えすぎてしまう。これまで新型副鼻腔炎の治療は炎症や免疫を抑制するステロイド薬(飲み薬)を使っていたが、長期間大量に服用すると副作用が心配になる。そこで今、新しいステロイドの臨床試験が行われている。それは患部をピンポイントで治療する吸入ステロイド薬だ。
《関西医科大学耳鼻咽喉科/朝子幹也准教授》
「局所に効く薬なので副作用を低く抑えられる。吸入薬を口から吸って鼻から出すだけで病状が安定するということが分かってきた。」
放置すると恐ろしい副鼻腔炎。鼻詰まりが1か月以上続いたら一度病院を受診した方がよい。副鼻腔炎は虫歯や花粉症などをきっかけに発症する場合もあるという。
■ニュース
配達待ちのイライラ解消!?
ヤフー子会社で、ネット通販「ロハコ」を手がけるアスクルが商品受け取りの新サービスを発表しました。2時間単位が主流だった配達希望時刻を1時間単位で指定できます。配達網は複雑になりますが、客が届けてほしいと考える時間に配達することで、商品が届かない事態を減らし、逆に効率化できるとしています。ネット通販業界では、アマゾン・ジャパンが有料会員サービス「プライム・ナウ」を去年11月に開始。首都圏や関西の一部では最短1時間以内で注文が届きます。セブン&アイ・ホールディングスは運営する「オムニ7」で、商品を自宅に加え、セブンイレブンの店舗でも受け取れるサービスを去年11月から始めました。楽天も都内の一部で注文から最短20分で届ける「楽びん!」を去年8月から展開しています。そんな中アスクルが取り組むもう1つが、物流施設でのロボットの導入です。コスト競争力の強化につなげる狙いです。
【ここまできた!ネット通販】
ヤフーの子会社でネット通販を手掛けるアスクルは8月末、新しい商品の受け取りサービスを導入する。当日配送が増えるなど拡大するネット通販業界の競争は激しくなっているが、アスクルの新サービスは配達待ちのイライラを解消する切り札になるのか。
【1時間単位で配達希望が出せる!?】
ヤフーの子会社で個人向けのネット通販・ロハコを運営するアスクルは今日、新たなサービス「ハッピーオンタイム」を発表した。ネット通販では配達時刻の希望は2時間単位が主流だが、新サービスでは配達時間を1時間毎に指定できる(3900円以上の購入、東京、大阪の一部で8月末開始)。配達を外部の運送会社に委託するのではなくグループ会社に任せる事で、1時間刻みの配達を実現したという。業界全体で約2割に達するという宅配の不在率(国土交通省2015年8月試算)を下げる事がサービスの狙いだ。
《アスクル/岩田彰一郎社長》
「再配達の手間を考えると客が求める時間に届ける事で無駄が省ける。そういうコストも計算すると1時間単位の配達でも採算が合う。」
東京都内に住む古市万祐子はアスクルの新サービスを試験的に利用している。幼稚園に通う幼い娘がいて、ゆっくり買い物をする暇がないためだ。到着の1時間前からは配達の車がどこまで来たか地図で確認でき、予定通りに荷物が配達された。
【ロボットがあなたの注文を箱詰め】
ネット通販大手・アマゾンジャパンは有料会員サービス「プライムナウ」を去年11月に始めた。首都圏や関西の一部の地域に限るが、注文から最短1時間以内で届ける。さらにセブン&アイホールディングスは、運営する「オムニ7」で注文した商品を自宅だけでなくセブンイレブンの店舗で受け取れるサービスを去年11月から展開している。また楽天も都内の一部地域で注文から最短20分で届ける「楽びん!」を去年8月に開始した。配達サービスを巡る競争は激しさを増している。そんな中、アスクルは物流施設でも新たな試みを始めていた。3月に2台のロボットを試験導入し、ダンボールに商品を詰めるピッキング作業を機械化しようとしている。ピッキングの作業は1つ1つ荷物の大きさや位置が異なるため、機械化が進んでいない分野だ。アスクルは都内のベンチャー企業が開発した新しい画像解析技術を導入し、今年秋の本格稼働を目指して調整を続けている。今ピッキングの作業を担うのは人だが人件費の高騰や人手不足が足かせになっている。そこでロボットの投入により更なるコスト競争力の強化を狙っている。
出光創業家 合併に反対表明
石油元売り大手・出光興産の創業家はきょう、来年4月に予定している出光興産と昭和シェル石油の合併計画に反対すると表明しました。創業家側の持ち株比率は33.92%にのぼるということです。これにより、今後開かれる出光興産の臨時株主総会で、合併の承認に必要な議決権の3分の2以上の賛成を得ることが困難な情勢となりました。創業家側は反対する理由として、「両社は異質の企業体質を持つ」などとしています。これに対して出光興産は「経営統合は最善の策」とし、引き続き昭和シェル石油との統合に向けた協議を続けていくとしています。
東海地震対策 抜本見直し
政府は、静岡県の駿河湾周辺を震源とする東海地震対策の抜本的な見直しを決めました。現行の法律では、地震の発生を予知し、新幹線の運行中止などの強制措置を取って被害を防ぐ防災を重点に置いてきました。しかし、「地震の正確な予知は困難」との見解を示す声が専門家から多く、地震の被害を最小限に抑える減災に重点を置いた法改正の検討に入ります。
タカタ会長が辞意表明
エアバッグの不具合でリコールが拡大している自動車部品大手のタカタは、きょう、株主総会を開き、高田重久会長兼社長が経営再建の見通しが立った段階で辞任する意向を明らかにしました。またタカタは、エアバックの異常な破裂が原因と見られる死者が、アメリカやマレーシアなどで15人に上ると報告しました。負傷者は全世界で150人以上に達しているということです。
森山農水大臣 業界団体から現金20万円
森山農水大臣はきょう、自民党のTPP対策委員長だった去年9月に、国から補助金を受けている日本養鶏協会の会長から現金20万円を受け取っていたと明らかにしました。政治資金規正法では、国の補助金を受けた団体からの寄付を制限しています。森山氏は会見で、「餞別のようなものだと思って預かったが、その後、事務所に返金を指示した」としています。
東電 炉心溶融問題を謝罪
東京電力ホールディングスはきょう、都内で株主総会を開きました。広瀬直己社長は福島第一原発事故が起きた当初、当時の社長が「炉心溶融という言葉を使うな」と指示していた問題を受け、連絡体制に不備があったと謝罪しました。きょうの総会では、株主から脱原発など10の議案が提案されていましたが、すべて否決されました。
観光客を呼び戻せ!北京で説明会
4月に起きた熊本地震で、大きなダメ―ジを受けた九州の観光。その九州に中国人観光客を呼び戻そうと、九州の自治体が、北京でこんなイベントを開きました。北京の旅行会社を集めて行われたのは、「九州観光復興キャンペーン」の説明会です。九州への観光ツアーを組んだ旅行会社に補助金を出すというもので、例えば、観光客が長崎に1泊した場合は2,000円の補助金が国から出ます。熊本地震で旅行をキャンセルした国内外の客は九州全体で75万人に上りますが、自治体側は今回のキャンペーンで中国人観光客を皮切りにその倍の150万人を呼び込みたい考えです。
《長崎観光振興課/井川博行さん》
「一番書き入れ時の7~8月も予約が入るめどが立たない。落ち着いてV字回復を期待したい」
■【トレたま】手料理が失敗しないコンロ
下ごしらえした食材をコンロに置きボタンを押すとプロの火加減で自動調理してくれる。自動調理の秘密はコンロについた温度センサー、プロの火加減をデータ化してコンロに教え込んでいる。出来上がると自動で火を消し音声で知らせてくれる。スマートフォンお専用アプリで毎週レシピが更新されコンロが自動調理出来るメニューがどんどん増える。
《リンナイ営業本部/藤田侑紀さん》
「焼き上がりや焦げ目、火の通り具合などできない方もいるのでサポートするコンロです。」
【商品名】DELICIA(デリシア)
【商品の特徴】ボタンを押すだけで、プロの火加減で自動調理してくれるコンロ
【企業名】リンナイ
【住所】名古屋市中川区福住町2-26
【価格】27万4,000円(税別)~
【発売日】8月1日発売
【トレたまキャスター】北村まあさ