思う・学ぶ・発達支援 心のケア サイト

特別支援教育の実践情報など。また,日々の喜びを見つけ、よくする手立てはないか考える、成長・教育のサイトです。

どの子も覚える暗唱指導レシピ

2018年12月29日 | 教育
注意は一切せず,何度も何度も声に出す。
少し覚えるたびに,何度も何度も褒める。
この繰り返しで,一度も叱らずに覚えてしまう。


 名文の暗唱をするホームページはインターネットを開くといくつもある。その中で
自作の清少納言「枕草子」の暗唱を行うページを扱う。

1 指導の準備

 枕草子の春夏の季節を歌っている詩を印刷したプリントを渡す。スクリーンを見て
練習するが、分からないときには見てもよいものとする。

 教室にはパソコンの画面を映し出すスクリーンとプロジェクターを用意する。スマ
ートボード、もしくは大画面テレビでもパソコンとつなげればよい。適当なスクリー
ンがないときには、白い模造紙を黒板に二枚つなげて貼り付けても、十分見ることが
できる。

 トップページを写したら早速始める。

(※検索の窓に「枕草子 暗唱」と入れ、「名文の暗唱に挑戦」ページへ。)

 トップページには「清少納言・枕草子」という大きな文字と、春・夏・秋・冬のボ
タンが現れる。

2 指導のレシピ

「春というと何を思い浮かべますか」
 
 何人かに聞き、夏も同様に聞く。イメージを共有していく。

今日はそんな季節を歌った詩の暗唱に挑戦です。後について
読みます」


 後について読ませていく。

「今度はスピードを上げて読みます」

 同様に後追い読みをするが、児童が最後の一文字を読み終わる寸前に教師は次の一
行を読む。

「これから画面の文字が消えていきます。あると思って読みます」

 読み仮名と題名を消し、春の詩だけ読ませる。

「さらに、少しずつ消えていきます」

「あると思って最初から。さんはい」

 文字が少し消えるたびに「はい」といい、春の詩を最初から読ませる。十二回読ま
せたところで全文が消える。

「春の詩を完全に覚えたら先生のところに来なさい」

 春の詩を覚えて合格したら、夏の詩も覚えるものとする。

「夏の詩は自分で覚えます。プリントの下から下敷きで少しず
つ隠しながら覚えなさい」


 配ったプリント高く上げて見せ、下敷きで少しずつ隠すやり方を師範してみせる。
 春の詩を覚えたら、教師の前でテストを受ける。この際、

「つっかえ、言い直し、少しでも間違えたら不合格です」
 

 続いて夏の詩もテストを行い、早く合格した子から試験官を五名作る。

「合格した子五名までを試験官とします。先生でも試験官でも
どちらも合格となります」


 自信のない子も、友達が試験官なら気が楽にテストを受けることもできる。
 こうして、短時間のうちに多くの子が合格していく。この日、合格できない子も、
明日テストすることを告げ、がんばって覚えてくるよう励ます。

3 暗唱と枕草子

 文章を覚えて、すらすら音読することを暗唱という。暗唱は江戸時代、寺子屋で行わ
れていた優れた学習法であり、語彙が増え、言葉が豊かになる。

 「枕草子」は鴨長明の「方丈記」、吉田兼好の「徒然草」と並んで日本三大随筆と言
われる。その作りも天才的と言われ、内容も奥深い。自作ホームページの中には読み取
りのページもあるので、ぜひ、興味を深めるために扱っていただきたい。

http://www1.ttcn.ne.jp/~motokazu.K.home/meibunansyou.htm

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視覚教材と発達段階に応じたクイズで惹きつける

2018年12月29日 | 教育
1 発達段階が初期の子

ことばがあまりない、もしくは自閉的な傾向があり、オウム返しになってしまう子
ども達がいる。「太田ステージ」でいうと、ステージⅡからⅢの子ども達である。発
達年齢的には1歳半から3歳程度である。

 この段階の子ども達には、絵本の読み聞かせからクイズを出していくのがよい。絵
を見せ、楽しいお話をしながらそのお話の中の動物、食べ物、出てくる数などを聞く
のである。次に、どのような絵本がよいかである。

【イラスト・絵は極めてシンプル】


 これが見せる絵本の条件となる。発達段階の初期の子、また、自閉的傾向のある子
は視覚的な情報に惹きつけられるが、その情報の整理は極めて苦手である。ぐじゃぐ
じゃした絵、込みいったカラフルすぎる絵はそれだけで混乱を招く。少し小さい子向
けのものになってしまうが、「ミッフィーシリーズ」「ノンタンシリーズ」は余計な
情報が背景に少なく、惹きつけやすい。

「さつまのおいも」「えんそくバス」という絵本冊子もヒットした。

2 「えんそくバス」実践例

 絵本を読む。そして、バスに揺られて左右に動いたり、がたがた道で上下に弾んだ
りするところは一緒に体を動かす。模倣の動きも入れながら絵本に引き込んでいく。
そして、場面に応じてクイズである。

「どんなおやつがでてきたかな?」
「どのおやつがすきですか?」
「どれをもっていきたいですか?」
「おやつはいくつでてきましたか?」

 子ども達の状態に応じて、絵本の場面を隠して質問してもいいし、見せながら質問
してもいい。一緒に数えながらでもいい。要は子ども達に、「思考」させ、「できた
」という思いを持たせれば成功である。

3 日常の会話ができる段階の子

 ことばの数が増え、日常の会話ができるようになってきた段階の子ども達は、「太
田ステージ」でいえば、ⅢからⅣの段階である。発達年齢的には3歳以上である。こ
の段階になると、物と物との関係性がつかめてきて、状況設定をある程度理解できる
ようになっている。発達障がいがある場合やはり視覚的な支援は外せない。この段階
を越えれば複雑な見せ方や、ことばの問いかけが可能である。クイズの形式ややり方
はかなり幅広く使えるようになる。

次にあげるようなクイズが有効となってくる。 

4 様々な授業開きクイズ

(1) 部分を見せて動物クイズ

①動物の絵、または教科書の絵とB5程度の画用紙を用意する。
②絵を画用紙で描くし、「何が隠れているでしょう.分かった人は素早く答えてくださ
 い。」といって少しずつ見せる。
③絵を教師の背中や机の下に見えないように隠しておいて、さっと見せて隠し、「な
 んでしょう?」と聞く。


 ※ この見せる絵は友達や教師の写真にして当ててもおもしろい。

(2) パワーポイント映像クイズ


 動物、乗り物や食べ物など、パワーポイントで輪郭を見せ、考えるクイズも楽しく
惹きつけることができる。

「今から乗り物が出てきます。分かったら手を上げてください。」

といって次の映像を順に出す。

    

 順番にヒントが見えてくるので、子ども達はかなり惹きつけられる。最後の答えに
写真を見せるときには、大いにじらす。出てきたときには歓声が上がる。

(3) ☆本を使ったクイズ

 特別支援学校で使われる教科書に☆本という物がある。☆一つが小学部一・二年生
☆二つが三・四年生、☆三つが五・六年生でつける力の目安になっているが、実際は
様々な発達の段階に応じて扱われる。

 この☆本の中にも様々な目を引くイラスト、ストーリー性のある数枚の絵などが含
まれている。見て考えたり、パワーポイント画像に貼り付けて、大きく写してみんな
でクイズを楽しんだりすることもできる。

①こくご☆・シルエットクイズ

 特別支援が必要な子の認識は不確かなことが多い。形の特徴と実物が合っていない
ことがある。たとえば、牛のシルエットに対して、ある子は「うま」、ある子は「や
ぎ」と答えた。次のページで正しい動物が現れる。そこで特徴を確認すると、新しい
情報が正しく蓄積されることとなる。

②こくご☆☆・これなあにクイズ

 正しい答えのイラストが次ページの同じ位置にある。見比べながら、足はいくつあ
るか、羽はいくつあるかなど、生き物の特徴を学ぶことができる。誤学習しているこ
とを正しく修正できる。

③こくご☆☆☆・誰が出てきたクイズ


 「出てきた動物は?」という問いかけから、答えをイラストで確認できる。
 シンプルではっきりとしたイラストなど、視覚的手がかりがしっかりしている。そ
のことが、特別支援が必要な子ども達の知的な好奇心をかき立て、正しい知識の蓄積
につながるのである。
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