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発達障害の疑いのある「幼児」の指導2

2019年03月02日 | 教育
主訴 自分の思い通りに行動し,注意をしても話を聞こうとしない。どのように
対応したらよいか。


1 話を聞いて感じた可能性

・別居している父親が円のお祭りに来ると,普段とは別人のようにお利口になったとのこと。

→怖い存在であるのかもしれないが,使い分けができるようなので,感情のコン
 トロールが本児にできるかもしれない。

2 アセスメントアプローチ

①おもちゃの鉄砲
・おもちゃの鉄砲で友達を追いかけた。
・友だちが嫌がって声をかげたとき,腕をつかんで「鉄砲で友達を追いかけるこ
 とは悪いことです」と目を見て静かな声で伝えた。
・その後,「向うの的でやるといいよ」と言うと,おとなしくやり始めた。
・「えらいね。よくそこでできたね」とほめた。
・もう一度友達を追いかけそうなときに,「鉄砲は的でやります」というと止まった。

②靴投げ
・何かイライラして靴を持って投げつけようとした。
・「靴を投げるのは悪いことです」と言って押さえ
 「靴は履くものです」と言うと,やめて泣き始めた。
・その後,他の先生に暴言を吐いたが靴は投げなかった。

③集合
・集合の際,廊下へ勝手に走っていったが,みんなの方をちらちら見ながら追い
 かけてこないところを見ると戻ってきた。

④給食の片づけ
・「給食の片づけをやらない」と怒り出し,片づけを先生から促されると箸を投
 げつけた。
・その際,私の方をちらっと見たので,黙ってじっと見ていると,暴言を吐きな
 がらもきちんと片づけた。

→以上の,観察,行動の様子から,感情のコントロールができることが予想された。

3 今後の対応

・人をたたいたり,蹴ったりなど,感情が高まり,行動がエスカレートしてしま
 うと,前回私のことも蹴ってきたので,問題行動が起きる初期の段階で言っ
 て聞かせる指導を試みてはと提案した。
・問題行動ができまでを10段階として,1・2段階の初期のうちに,「して
 はいけない行動」「正しい行動の仕方」を伝えるようにする。
・その際,大声ではなく,静かな声で,目を合わせて具体的に端的に伝えるよう
 にする。
・本児は3人兄弟の一番上で,かかわりは3分の1以下と母親も言っており,寂
 しさがあることも予想される。
・叱るかかわりではなく,何か起きそうなときに,未然に行って聞かせることで
 よいかかわり方を身に付けることができる。
・また,周りの子にも,いけない行動には大人として正しく注意しているという
 姿勢が伝わる。

4 面談より

・家でも言うことを聞かない行動が多い。
・家では3度注意して聞かないと拳骨をする場合がある。
・本児に注意していて,「どうして?」ということを聞くと答えられないことが
 多い。
・お風呂の後は着替えを順番に並べて声をかけないと,ずっと裸でいる。
<よい行動>
・よくやっていることはないか聞くと,朝他の兄弟の分の鞄を持ってくれるとの
 ことだった。
・いつも元気に園に向かい,園は好きなのだと思う。
・ペアレントトレーニングの話をし,やっていることを毎日確実にほめるとよい
 ことを話した。
※シンプルなペアレントトレーニングの接し方
・毎日やっている行動・少しやめてほしい行動・どうしてもやめてほしい行動に
 箇条書きで分ける。
・毎日やっている行動を確実にほめる。
・毎日やっている行動を褒めないと,消えてしまう。
・きちんとやっていることを認め,褒めていくと自己肯定感が上がる。
・やめてほしい行動にも手が届くようになる。
・最初からやめてほしい行動ばかりどうにかしようとすると,お互いに破たんする。





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