portrait of Anubis
oil 10x20cm 2008
ブログ村を通じて他の人の猫の話を覗いてみたら急にポルトガルで一緒に暮らしていたアヌビスのことが思い出された。もう別れて16年にもなるし彼はとっくに他界しているのだけど、いま思い出しても涙が出るほど愛おしい。
彼はいつも喉が渇くと台所にやってきてこのように誰かが蛇口をひねってくれるのを待つのであった。
そして実においしそうに水道の水を味わうのである。ポルトガルの水道水は直に飲むことができてしかも大変美味なのであった。
去勢されているせいかこんな女の子のようなしぐさをするのである。
ネコの習性か袋の中に隠れるのが好きだった。
やがて義理の娘が飼っていた雌猫を預かることになって雄雌の対になったのだけど、いつもきまってこの雌猫は先住民であるアヌビスに喧嘩を仕掛けるのであった。
アヌビスはただ日向ぼっこがしたかっただけなのにこの雌猫が近づいて怪しい雰囲気になるのである。
次の瞬間に猫パンチが飛ぶのを予測してアヌビスは逃げ出したい気持ちになっている。
そしてしまいにはとっつかみ合いの喧嘩になるのだけど、それでも離れられないでいつも一緒にいるのだった。
夜中に目を覚ますとアヌビスがナイトテーブルの上から自分を見つめていることが度々あった。冬の夜は特にそうで僕はいつも彼を蒲団の中へ招き入れた。ところがこれが妻には気に入らないらしく、離婚の遠因の一つになったのかもしれない。
彼とはいつも隠れんぼやボクシングをして遊んだ。僕がトイレに座ると必ずドアをノックして入ってきて女性用のビデの上にしゃがんで用を足していた。僕は日本人なのでシャワーだけの生活には到底馴染めず、時に湯を張って入浴を愉しんだ。そんな時彼はいつもバスタブの縁に陣取って不思議そうな目をして僕を眺め続けているのだが、一度も一緒に湯に入ろうとはしなかった。みんな懐かしい思い出だ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます