Mouton lab

Thai Paris Cairns Chendeu Siem reap

The Eighth Day

2015-02-26 23:12:23 | Thai Trang

朝少し早起きしてみた。蝉の羽化を見るためだ。

いつも朝7時ぐらいになると、もの凄い勢いで鳴き始めるので、6時ぐらいに行けばもしかしたらと思い、外に出てみた。

ドアを開けるとあたりは暗く、そしてひっそりしている。1時間違うだけでこれほど変わるなんて。

手当たり次第、色んな木を見ていると、抜け殻はたくさんあるものの、蝉そのものは見つからない。歩けど歩けど見つからない。

そうこうしている内に段々明るくなってきて、どこからともなく蝉が鳴き始め、観察終了。
やはり羽化をしている個体はそうそう見れるものではない。


蝉は何年もの間、地中に潜んでいて、やっと地上に出てきたかと思うと、一週間でその生涯を終える。

我慢して我慢してたどり着いた華やかな舞台で、思いきり羽を伸ばして生きるのだ。
羽化するのは晴れ舞台への階段。この瞬間が神秘的で美しいと言われる所以だろう。

鳴くときも全力。蓄えてきたエネルギーをここぞとばかりに解放する。
ライバルにも負けていられない。

いつからだろう、そんなことを考えていると、蝉がいくら鳴いていてもうるさいなぁと思わなくなった。
うるさいのは蠅だけで十分だ。

セミの寿命にもばらつきがあり、地上で一週間生きられないものもいれば、8日生きるものもいる。

みんな7日間で限界を迎えて死んでいくのに、8日目に突入した蝉の体はきっとボロボロだろう。うまく大きな音で鳴けないのかもしれない。
それでも懸命に最後まで鳴き続ける蝉は一体何を思っているのだろうか。

スポーツの世界で、何度契約を打ち切られても、体がボロボロになっても、最後の最後まで現役でプレーする選手たちがいる。
彼らのようにいつまでもストイックに餓え続けているのだろうか。

イチローは50歳までプレーする理由を問われた時に「苦しみが足りていない」と表現していた。蝉の中にもその領域に踏み込んでいるものがいるのだろうか。

日の出を待ちながら耳を澄ませていると、心なしか元気に鳴く蝉たちに混じって遠慮がちに鳴く8日目の蝉の声が聞こえた気がした。

Q.E.D.


 



流行りのスポットらしい


 



なかなか日が昇らない


 



アイフォンを落としたと聞き、捜索活動が始まる。優しくて屈強な異国の男たち。