眺めのいい部屋

人、映画、本・・・記憶の小箱の中身を文字に直す作業をしています。

ドキドキ、どぎまぎ、シジミール

2008-04-03 13:21:26 | その他
何年か前、美術館で「大(Oh!)水木しげる展」なる企画があった。(土佐はそもそも妖怪がポピュラーな土地なんだとか。)

会場に「取り憑かれてお困りの妖怪、お祓いしてあげます」コーナーがあったので、子どもの頃からホトホト困っていた「ヨーカイ・ドキドキ」の名前を書いて、「お祓い箱」に入れた。(ものすごーくドキドキしたのは、ヤツが必死で抵抗してたのかもしれない。)

でも、知り合いが前から歩いてくるだけで騒ぎ出すし、そもそもレジの人と目も合わせられないのに、自分でもいーかげん嫌気がさしていたのだ。

家に帰ってそんな話をしたら、彼はちょっと考える風情を見せて、そのあとそっと、こう言った。

「でも・・・いなくなったら、淋しくない?」


意表を突かれた。考えもしなかった。もしかして・・・淋しいかも。

でもヤッチャッタもんは仕方ない。で、さっさと忘れることにした。


その後、強力だった私の「ドキドキ」はほんとにどっかに行っちゃったらしい。
私は、些細なことであんまりドキドキしなくなった気がした。


ところがドッコイ、ちゃんと次が待っていた。今度は「ヨーカイ・ドギマギ」ってヤツだ。

「ドギマギ」は、実は元からいたらしい。
強力「ドキドキ」の陰に隠れて目立たなかっただけなんだろう。

でも、コイツが小者のしょーもないヤツだってことは、すぐにわかった。
「ドキドキ」はカンドーとかカンゲキとかとも、ちょっとは親しげだったのに、こっちの方はオソロシク現実的。ほんっと、面白くないヤツだったのだ。


あの時「淋しくない?」って言った彼が、お祓いなんて絶対しそうにないわけが分かった気がした。


で、ここからは・・・ナイショ話。


実はその彼には、ほとんど一心同体?の「ヨーカイ・シジミール」がいる。

シジミールっていうのは、何を見ても何を聞いても「しみじみしちゃう」ヤツのことだ。(元々は、新聞読んでもPCの前でも、「ボクはシジミ~」と呟いてたことから来ている。)

シミジミしすぎて「あ~もうダメだ~」風になることも、ままある。そういう時はついつい私も、そばでテーマソング(みんなの歌「虫歯のある子の誕生日」リフレイン)を口ずさんでしまう。

「なに? もうダメとな。(大声で)それじゃあオレがトドメをさしてやろう!!」

なあんて言う別の住人に追いかけられて、廊下で笑い転げている彼には、生来「ワライジョーゴ」もついているらしい。


やっぱり私、お祓いなんてしなきゃよかったな~。



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