眺めのいい部屋

人、映画、本・・・記憶の小箱の中身を文字に直す作業をしています。

『東京パラリンピック 愛と栄光の祭典』(録画)

2021-09-01 16:04:45 | 映画・本

(監督:渡辺公夫 1965制作・公開 ドキュメンタリー)

前回の東京オリンピック(1964)の後、同じ年に

同じく東京で開催された「国際身体障害者スポーツ大会」の愛称が

「東京パラリンピック」だったとのこと。

国際障害者スポーツ大会とは、そもそもイギリスで戦傷者のリハビリとして

スポーツが推奨され、ロンドン・オリンピックをきっかけに

最初は国内での大会として始まったものが、国際大会へと発展したらしい。



私は小学4年生の時、家で、学校で、初めて「オリンピック」を観た。

その頃はまだ、TVでスポーツを見ることがほとんどなく

「外国の選手」の存在を考えたことも無かったし、まして

「障害者がスポーツをする」ことなど、想像したことも無かった。


東京オリンピックに際して、「国際障碍者スポーツ大会」とか

「パラリンピック」という言葉を、周囲の大人から聞いた覚えもない。

田舎のこどもにとっては、当たり前のことかもしれない。

 

今回TVでこの記録映画を観て

自分があの頃「パラリンピック」を知らなかったのは

当然だったのだ…と思った。


映画の中に紹介されている日本の「選手」たちは、実生活では「入院患者」であって

一般市民として職業に就き、家庭生活を送っている

外国の「アスリート」とは、全く違う人たちに見えたからだ。


世界記録がどうのこうの…などというレベルの話ではなく

ひとりの「人間」として、その環境、立場、生活の仕方が全然違う。


ある女性は産褥熱で下半身まひとなり、その後何年も入院生活が続く。

パラリンピックに出場したことで、普段会えないこどもたちに会えるのが

本当に嬉しそうで、私はなんとも言えない気持ちになった。


「自分が生まれたせいで母親が歩けなくなったと言われたら

娘が可哀想だから、頑張って歩けるようになりたい」

彼女がスポーツを一生懸命練習するのも、そういう理由らしかった。


当時はまだ「身体障碍」それも「脊髄損傷」の人たちの大会だった。

それが今では、ありとあらゆる「障碍」の人たちを対象に

さまざまな競技が考案され、障害の度合いも細かいクラス分けをされている。

 

個人的なことだけれど、親戚に「太陽の家」に務めている人がいる。

彼は体育系の学部を卒業した後、スポーツ関係の担当として採用され

そこで知り合った車椅子の女性と結婚。お盆やお正月に顔を合わせるたび

障害者スポーツのさまざまなイベント、新競技の考案などについて話してくれて

国内外を飛び回るのが仕事のようだった。

(結婚相手の方は、太陽の家の提携企業?に勤め、毎年大分の車椅子マラソンに出場。

車椅子バスケットではバルセロナ五輪にも参加したと聞いた)


私は彼らから聞いた言葉、その練習ぶり(見たことがある)

車椅子に座ったままで赤ちゃんのオムツを替え、軽々と片手で抱えて移動する… 

そんな過去の情景を、今回この映画を観ながら思い出していた。



映画の終盤、日本の選手たちからは

「何より仕事の場が欲しい」「働いて家族と暮らしたい」

という声があがった…というナレーションがあった。


障碍者の自立のためにと、東京五輪の翌年「太陽の家」を創設

「日本パラリンピックの父」と呼ばれる

中村裕(ゆたか)医師の姿も、映画の中にはあった。

 


今、新型コロナ禍の中で開催中のパラリンピックを見ながら

それでも世の中には「良くなっている」こともあるんだな… と

門外漢の私でも、ちょっと明るい気持ちになったりする。


(障碍者差別がなくならないという現実とは、また別次元の

ド素人のささやかな感慨なので…ユルしてほしい…)

 

 

 

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2 コメント

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Unknown (ムーマ)
2021-09-02 09:56:37
Kuuさんも録画されたんですね。

この映画は、市川崑のあの映画とは対照的で
私にとっては、ある種の教育映画のように見えました。
映画としての面白さを期待されると
肩すかし?になるかも…とも(^^;

でも、ご覧になったら驚きがあるんじゃないかとは思います。
1時間程度なので、どうぞ気楽にご覧になって下さい(^^)
返信する
Unknown (Kuu)
2021-09-01 18:15:36
こんにちは。mixiのKuuです。
このドキュメンタリー、録画はしましたがまだ見ていません。
なる早で見たいと思います!
ご紹介ありがとうございました。
返信する

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