長くなった「ひとこと感想」その13。
観た直後に書いたメモには、「まさに日本の“今”を寓話化した作品だと思った。 子ども(15歳の中学生)に、何人ものオトナ(その中の一人曰く「日本の過去」)がぶら下がっていたり、妙にモノがわかっているかのように見えるヤクザの金貸しが、さんざん暴力を振るった後に実弾入りのピストルを置いていったり」
この金貸しの行為については、見た瞬間「キタナイな~」と思った。そんな風にしても、この男の子はくれた相手を撃ちに行ったりはしない。そういう子じゃないことが判っていて、でも「世の中は理屈なんかじゃ動いてないことを知るのが本人のためでもあるかのように、しかも将来何らかの形で自分が利用出来るタマになるかもしれない・・・とでもいうように。
金貸しにとっては、少年の人生がどうなろうと関係ない。しかも映画の中では、そういう行為(ピストルを無理矢理置いていくこと)を、「懐の深さ」とか「人間としての厚み」みたいに描いているように、私には見える・・・。「キタナイ」と感じたのは金貸しに対してなのか、それとも作り手に対してなのか、正直自分でも判らなかった。
メモにはもう一つ、疑問が書いてあった。
「生活上のトラブルを色々抱えているにしても、男親も女親も自分の娘や息子に向って、『お前なんかいらない』『いらなかった』『さっさと死ね!』などと口々に言うのが、今となっても私には実感としてわからない。こういう親たちは過去に同じような言葉をかけられた経験があるから、こんなに簡単に口にできるのだろうか。何らかの形で“親から捨てられる”経験をしていると、むしろこういう言葉は口に出来なくなるような気が、私はどうしてもしてしまうのだろう」
メモはそれで終りだけれど、私にはもう一つ強く感じたことがある。物語自体は既に忘れかけているのに、これだけはスクリーン上の情景共々、今もはっきり覚えている・・・あの東日本大震災の津波被災地(石巻市?)の瓦礫の山が続くシーン。ときには風景単独で、ときにはその中に立ち尽くすキャストを伴って。
あの1年も経ってない瓦礫の風景の前では、フィクション(お芝居)はほとんど成り立たないように、少なくとも私の眼には見えた。俳優さんたちも、演出上そういう風にしたのかもしれないけれど、演技はせず、むしろ(外部の者として)瓦礫の中に佇んで、ほとんど途方に暮れているように私には見えた。
作り手が大震災の被害の大きさ・凄まじさを前に、その事抜きで自分の作品を作るわけにはいかないと感じたのかもしれない・・・というのは、素人の私の想像に過ぎない。
でも、あの大震災以後、直接の被害は受けなかった人たちの間でも、職業や立場によってその内容はさまざまでも、多かれ少なかれ「この先自分はどうやって生きて(仕事を続けて)いったらいいんだろう」というような、人間としてかなり深い部分での疑問を持ったんだと私は思う。
けれど、たとえそういう気持ちの結果出来上がった脚本・映画なのだとしても、この映画はあまりに要素がバラバラに寄せ集められたままで、私のような一映画ファンには「未完成」に見えてしまうのだ。少年少女の物語の深刻さと、震災後の被災地の人たちの深刻さは、私の眼には次元が違って見えてしまうのだろう。たとえ「立場の弱い者ほど、強い者たちのほしいままにされる生き方しか、世の中には用意されていない」という意味で共通のモノがあるのだとしても。
私が映画を観て一番印象に残ったものを挙げろと言われたら、あの瓦礫の風景と、主人公のモノローグで続く長い「詩」と答えると思う。どちらも「映画」の要素でしかないはずなのに、この二つからは私の身体に響く「力」を直接感じた。
出来るなら、大震災を背景にしていない『ヒミズ』が観てみたかった・・・と思う。それと同時に、あの瓦礫の山に負けないだけの(そういう背景を要する)必然性のある物語がいつか作られるのだとしたら、私は必ず観に行こうと思う。
(監督さんへ。『希望の国』は観に行けなくて、チケットを家族に渡して代わりに行ってもらいました。私もなるべく近いうちに、家で観ようと思います。この感想は好き勝手書いてますが、応援してます。)
私は瓦礫のシーンが意外なほど印象に残ってないです。その他のシーンは結構印象に残っているのですが。
ムーマさんの感想で思い出したくらい(^_^;。
『希望の国』は反対に瓦礫の印象が強いです。なんか不思議。
私は、ぷるんぷるんが思い出せませ~ん。
チラシとかポスターの、乾いた泥に覆われた顔か
はたまた取っ組み合い、殴り合いの泥だらけか。
大体「物語」の方を、あんまり思い出せないんですよぉ。
人間以外のコトばっか、覚えてる感じ(^^;
『希望の国』を観てたら、もしかしてそっちの瓦礫の方が
印象が強かったのかも。
この『ヒミズ』は、震災後まだ1年も経ってなかったから
現実の津波の光景とかがまだ記憶に生々しく残ってたのかもしれません。
なんにせよ、観てから1年半も経とうという頃になって
感想書こうとするのが無謀な気も(^^;;
職場の同僚に、DVDを貸してもらったのですが…
同僚は、二階堂ふみが、第2の宮崎あおいだと…
どうなんでしょうかねぇ…
かなり残酷なシーンがあって、ドキドキしてしまいましたが、最後まで観れました!
震災の風景が、ストーリーと合ってるのかなぁって…疑問に感じました。
それよりも親子関係が、際立った気がしました。
親の罵声が、スゴすぎて…
邦画だから、余計、リアルに伝わってきました。
ご無沙汰しててスミマセン。
みーさんも『ヒミズ』ご覧になったんですね。
>かなり残酷なシーンがあって
>親の罵声が、スゴすぎて…
ほんとに、私は正直「怖かった・・・」という記憶が一番強いです。
きついシーンでは、スクリーンから目をそらしたりしてました(^^;;
みーさんのコメント読んで、「わーい仲間仲間~」なんて
勝手に思ってしまいました。
「邦画だと余計にリアルに伝わってくる」っていうのがありますよね。
私はいつも、日本の映画より外国の作品の方が
安心して?見られる気がしています。
それにしても二階堂ふみさんは、どんな女優さんになるかなあ。
第2の宮崎あおいというのは・・・う~ん、どうでしょう(^^)
すっかり遅くなってしまいましたが、先の拙サイトの更新で、
こちらの頁をいつもの直リンクに拝借しております。
将太くんにしても、ふみさんにしても、今や大活躍ですねー。
それはともかく、拙日誌でも随所で表明している蟠りの部分について、
ムーマさんにしては珍しいほどの率直さで記してくださっていて、
とても興味深く、また刺激的でした。
おかげで、ちょっとすっきりした気がします(笑)。
どうもありがとうございました。
すっきりしていただけて嬉しいです(^^)。
>ムーマさんにしては珍しいほどの率直さで
私は「腹が立つ」と率直になるんでしょうね。
これまでに書いた感想で、はっきり批判(とかワルクチとか)になったのは
ウディ・アレン監督とラース・フォン・トリアー監督の作品だった筈・・・なんて思い出しました(あはは)。
ヤマさんの日誌をもう一度読みに行って
「馴染みの顔ぶればかりで固められた世界が、そのことゆえに、どこか模造感を醸し出していて」という所で
「そう、私もそう思った~」なんて、具体的な場面も思い出しました。
ああいう使い方?って、私は俳優さんが気の毒になっちゃって・・・
余計にムシャクシャしたのかもしれません。
ともあれ、どうもありがとうございました。
もうすぐ「高知のオフシアター・ベストテン選考会」でお目にかかれますね。
選考会の行方とヤマさんの名司会、楽しみにしています(^^)。