ミャンマー視覚障害者医療マッサージトレーニングセンターの日々の記録 「未来に向かって」

NPO法人「ジャパンハート」が、ミャンマーの視覚障害者の社会的自立を目指して立ち上げた新たなプロジェクト

各地で活躍するセンター学生

2012年05月22日 | 日記

先日は、約1週間かけて全国の盲学校にお邪魔してきた。
これは毎年今の長期休み期間中に行っている物で、各盲学校の状況を確認し、プロジェクトに関する共通認識を関係者間で獲ることが目的だ。

卒業式以来のセンター学生にも会うことができた。母校に戻った彼らは大活躍している様子。
彼らがセンターから3月に戻ると、どこからか噂を聞きつけて「ヤンゴンでマッサージを勉強してきた先生はいますか?」と地域の人が尋ねてきている様子だった。肩こり・腰痛など症状も様々だが、早速センターで学んだ医学的な知識と技術を生かしているようだ。そして、「とてもよく効いた。」、「症状がなくなった。」と喜ばれ治療費を払い、更に次の患者を連れてくる ・・・、こんなサイクルが各地の盲学校周辺のコミュニティ内でできつつあるとのこと。

そのためか母校に帰った学生たちは、なんだか会うたびに生活がよくなっているように見える。綺麗な服を着ておしゃれをし、大好きなDVDプレイヤーを買ったり、学校近くのカフェにコーヒーを飲みに行ったり、世間の若者が普通に楽しむようなことをしている。そして、「先生が好きなこれ買ってるので食べてください」と進める彼ら。更に、ある教え子が差し出した紙には点字で携帯電話の番号が書いてあった。どうも自分の携帯を買ったらしい。今の彼らは、1個のスーツケースに最低限の物を詰め込んでミャンマーに来て、毎日似たような服ばかり着てる私よりも遥かに潤っている。

しかし、これらは他人からプレゼントされたものでもなければ、支援者からの寄付金で買ったものでもない。センターで学んだ知識・技術を元にマッサージ治療をして、患者から感謝と共に支払われた立派な治療費で買ったもの。正に、彼らが自分の力で稼いだお金で自分の生活を楽しんでいるのだ。センターでの勉強は決して楽ではなかったと思うが、それを乗り越えて手にした今の喜びを思いっきり感じてもらいたい。

「いつ患者が来なくなるか分からないんだから、常に自分を磨き少しは貯金もしっかりしなさいよ。」と言う私に「はい先生」と笑顔で答える彼ら。本当に分かっているかどうか分からないが、そんな彼らの笑顔を見て、私まで嬉しくなった。
今後彼らに期待されることは「自分ひとりだけが幸せになることではなくて、ヤンゴンで習ったことを医療マッサージ教員として母校にいる後輩たちに伝えること」。これから教えていく際も、苦労して獲た自分の知識・技術を使って患者を実際に治した経験は必ず大きな自信になるだろう。そして、そんな彼らを見て、「自分も早くこうなりたい。」とミャンマー各地の視覚障害者が思ってくれるようになれば嬉しい。

ミャンマーの学校では来月から新年度が始まるが、各地の盲学校で彼らがどんな授業をしてくれるか楽しみだ。センターを離れても第1期卒業生・第2期教育実習生がお互いに協力して頑張ってほしい。



    塩崎