ミャンマー視覚障害者医療マッサージトレーニングセンターの日々の記録 「未来に向かって」

NPO法人「ジャパンハート」が、ミャンマーの視覚障害者の社会的自立を目指して立ち上げた新たなプロジェクト

新たな指導

2012年07月18日 | 日記

現在マスコミ等で度々取り上げられているミャンマー。
視覚障害者を取り巻く環境もここ数年で大きく変わりつつある。マッサージによる視覚障害者の経済的職業自立の道がこの国でも急速に確立し始めていることがその要因だ。
ミャンマー社会における視覚障害マッサージ師雇用の魁となったマッサージ店Genkyやユメアイのオープンと成功、本格的な医療マッサージ教員要請を目的とした本センターの開校と全国盲学校におけるマッサージ教育環境の充実、社会人を対象としたマッサージ短期研修会の実施など着実に視覚障害者の自立のための環境が整いつつある。

そんな中、最近ミャンマーでは、結婚する視覚障害者も増えてきている。彼らの共通点は、必ずマッサージの仕事をしていると言うこと。中には、自分で稼いだ給料で家を借りて、そこから通勤しているご夫婦もいる。時々眼にする全盲の両親と小さな手でガイドしながら歩く幼い子供、そんな親子の姿はとても暖かな気持ちになる。正にマッサージは、ミャンマーの視覚障害者にとって、自立を適える大きな手段になっているようだ。
視覚障害があれば地方部を中心にまだまだ社会参加の機会が獲られにくく、家族ともども悲しみながら社会から隠れてすごすことも珍しくないミャンマーで、次々に聞こえてくる結婚のニュース。そして、それをマッサージが支えているという現実。関係者の一人として本当に嬉しい。同時に、視覚障害者の自立を支えて下さっている多くの関係機関の皆様にも感謝申し上げたい。

ただ、各盲学校のマッサージコースにはたくさんの若者が集まっているため、勉強よりも結婚相手探しに余念がない生徒も増えてきている。「何のためにマッサージを勉強してるのだろうか?」と言う心配の声を各校の先生方よりしばしば聞くようになってきた。
本センターでも人事ではない。これまで受け入れた30数名の学生のうち、3名がこの種の問題を引き起こし、中には出身盲学校も本センターも退学せざる終えなくなった学生もいる。汗びっしょりになって毎日一生懸命教えても、自立する前から相手を見つけてきて、「先生、結婚しました。何とかして下さい。」 ・・・。しかも、そのほとんどが周囲の人たちには一言も言っていないケースばかりだ。

これも自立の見通しが立ったから出てくる公道と思えばある意味喜ばしいが、今後多くの視覚障害者が盲学校を離れ社会へ自立していく中で、結婚の判断や給料の自己管理に関することなど、新たな指導も必要になると思う。そして、これらは本センターも含めた盲学校等の教育機関と就職先のマッサージ店が普段から連携し、教育的な観点から関係者全員で指導していくことが重要だと感じている。


    塩崎