![]() | 大人の見識 (新潮新書 237)阿川 弘之 新潮社 2007-11売り上げランキング : 23おすすめ平均 ![]() |
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軽躁なる日本人へ
急ぎの用はゆっくりと
理詰めで人を責めるな
静かに過ごすことを習え
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帯に書かれていたこれらの言葉に引かれて購入。
海軍時代のエピソードや愛読書からの引用などを盛り込みながら
著者は古今東西の大人の見識を紹介している。
いろいろ書かれている中でも強調されていたのは「ユーモア」。
ここで言われるユーモアとは、ジョーダンを飛ばすということではなく
自己を突き放して物事を客観的に見る能力のこと。
筆者の言葉で言い換えれば「余裕」だそうです。
この世の出来事は、いつも白黒できっぱり分けられるわけではなく
見方によっては白にも黒にもグレイにも紫にもなるかもしれない。
こういう判断の難しいところを切り抜けるには客観性が必要で
英国式ユーモアというのは、この客観性の表れということらしい。
英国式ユーモアは、「究極的には無常感にもつながる」そうです。
「無常感」かあ。日本人とイギリス人には共通する部分があったのね。
この箇所、自己投影して読むと、ちょっと反省点がある。
だんなさんによく言われるのだけど、わたしはすぐ悲劇のヒロインになりたがる。
これって視野が狭いことだし、自分ひとりが気持ちよくなっておしまいで
自分でも常々とっても子どもっぽいことをしているなあとは思っていた。
本書で言うように、自分にのめりこまず、距離を置いてみてみれば
こんなのよくあることだと、笑ってやり過ごすこともできるはず。
自分の行為だけではなく、他人の行為、社会的現象なんかについても同じ。
パーソナルにとらず、距離を置くことでバカみたいな過剰反応はしなくなる。
それが大人の余裕、大人の見識っていうことか。
最後に、この本の中で一番印象に残っている一言を紹介して終わり。
日本人は十分な知識はあるんだから、あとは知恵を使うことを覚えることだ。
(どこに書いてあったか覚えていないので、だいたいこんなことが書いてあったなという印象です。)
知恵を使うか・・・大きな課題だ。