![]() | 村田エフェンディ滞土録 (角川文庫 な 48-1) 梨木 香歩 角川書店 2007-05 売り上げランキング : 2233 おすすめ平均 ![]() Amazonで詳しく見る by G-Tools |
本の装丁がかわいくて目を奪われた。
エフェンディという言葉に懐かしい響きを感じた。
ということで、今回も即決購入と相成りました。
簡単にあらすじを説明すると、1899年トルコ政府の招聘により
考古学研究のためトルコに留学した村田と、イスタンブールでの
同居人たちとの奇妙で楽しくて心の琴線にも触れちゃうお話。
イスタンブールのマルマラ海を臨むお屋敷に住む村田の同居人たちは、
イギリス人のディクソン夫人、ドイツ人のオットー、
ギリシャ人のディミィトリス、トルコ人のムハマンド、
そしてムハマンドが拾ってきたオウムです。
第一次世界大戦前のイスタンブールで、将来、敵味方として
戦うことになる国の代表者たちが集うというセッティングが
もうハラハラ・ドキドキものですが、独特の世界観とテーマを
持った著者ですから、もちろん不穏なことにはなりません。
それどころか偉大な哲学者たちの末裔であり、いつも含蓄深い
ディミィトリスにラテン語のこんな格言を言わせてしまう。
「わたしは人間である。およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない。」
文化も宗教も民族も性別もすべての垣根を超越した究極の境地。
何万光年も遠くにあるような感じ。
とんでもなく、小さいなあ、わたし。