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東京目黒から山梨へ育児のためにお引越し。40代高齢出産ママの雑記帳です。

村田エフェンディ滞土録 (梨木香歩)

2008年06月14日 | 本のこと
村田エフェンディ滞土録 (角川文庫 な 48-1)村田エフェンディ滞土録 (角川文庫 な 48-1)
梨木 香歩

角川書店 2007-05
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本の装丁がかわいくて目を奪われた。
エフェンディという言葉に懐かしい響きを感じた。
ということで、今回も即決購入と相成りました。

簡単にあらすじを説明すると、1899年トルコ政府の招聘により
考古学研究のためトルコに留学した村田と、イスタンブールでの
同居人たちとの奇妙で楽しくて心の琴線にも触れちゃうお話。

イスタンブールのマルマラ海を臨むお屋敷に住む村田の同居人たちは、
イギリス人のディクソン夫人、ドイツ人のオットー、
ギリシャ人のディミィトリス、トルコ人のムハマンド、
そしてムハマンドが拾ってきたオウムです。

第一次世界大戦前のイスタンブールで、将来、敵味方として
戦うことになる国の代表者たちが集うというセッティングが
もうハラハラ・ドキドキものですが、独特の世界観とテーマを
持った著者ですから、もちろん不穏なことにはなりません。

それどころか偉大な哲学者たちの末裔であり、いつも含蓄深い
ディミィトリスにラテン語のこんな格言を言わせてしまう。

「わたしは人間である。およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない。」

文化も宗教も民族も性別もすべての垣根を超越した究極の境地。
何万光年も遠くにあるような感じ。
とんでもなく、小さいなあ、わたし。