失われたメディア-8cmCDシングルの世界-

50円とか100円で叩き売られている8cm CD singleを見るとついつい買ってあげたくなることはないか。私はある。

「OH, PLEASE COME BACK(君は天然色)」 J.T. TAYLOR 1992年

2011-07-01 | 福生行き
J.T.テイラー(クール&ザ・ギャング)などが大瀧詠一作品を英語でカヴァーしたアルバム『CANARY ISLANDS』からのシングルカット。名曲2曲をぐっと薄味に料理した、予想どおりのがっかり作品。

①OH, PLEASE COME BACK(君は天然色) J.T. TAYLOR
作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一、英語詞:VAL HAWK, JOE BERGER & TURBO YASUNAGA、編曲:RAY CHEW
打ち込みのリズムにキーボードとサックスが絡む、カラッとしたアレンジ。オリジナルよりゆったりしたテンポで、のどかな雰囲気になっている。もちろん歌は歌えているし、ファンキーなノリも悪くはないのだが、オリジナルの鬼気迫る濃密さを知る者にとっては、緩すぎてなんともやりきれない気分になること請け合い。クオリティは決して低くないのに、誰も喜ばない、悲しき駄カヴァー。オリジナルは『A LONG VACATION』(1981)収録曲で、シングルリリースもあり。

②PEPPERMINT BLUE(ペパーミント・ブルー) VAL HAWKS
作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一、英語詞:VAL HAWK & TURBO YASUNAGA、編曲:HARRY WHITAKER
こちらは女性ヴォーカリストによるカヴァー。サビの音程が上がりきらない感じが、どうにも気持ち悪い。音がとれないのではなく、そう歌っているようだ。西海岸ぽいアレンジは爽やかで、別に文句はないのだが、やっぱり誰に向けて作ってんの?と疑問がわいてくる。こだわりのない喫茶店のBGMか、用途としては。オリジナルは『EACH TIME』(1984)収録曲。

定価900円、中古で100円。
ジャケも永井博の薄口フォロワーって感じで、内容に合っている。


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2 コメント

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Unknown (いのいの)
2011-07-01 13:11:51
うわ、良いですねこれ。
音は全く聴いた事ありませんが、本文だけでお腹いっぱいになりました(笑

しかし、今だったらこの手のアルバムはまずシングル切らないでしょうから、
基本的な話なんですが、そういったところでやっぱり8cmっていいですよね。
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Unknown (nakamura8cm)
2011-07-02 00:32:49
どの層にもアピールしない、まさにうちらしいネタです(笑)
実際に聴くことはほぼないでしょうが、ええ、まあ想像どおりの音です。

そうですね、当時としてもシングルの必然性はかなり薄かったと思います。でもなんとなく8㎝って小さいからハードル低かった?今より音楽業界に余裕があったってのも一因でしょうねえ。
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