「恋のトレモロマジックダーリン／夏のお嬢さん」 八木田麻衣 1996年

八木田麻衣、TPD卒業後の初シングル（通算5枚目）は、カップリングも含めローリー寺西プロデュース。アルバム化されていないので、Amazonあたりじゃ高値がついている。

①恋のトレモロマジックダーリン
作詞・作曲：ローリー寺西、編曲：ルイ＆ローリー
ギターリフから組み立てられたと思われるハードロック歌謡。イントロからやたら主張の強いギターに対して、八木田さんの声はいかにもか細く、妙に切ない。街の人気者ビリーが、さえないメガネとソバカスの「私」と恋に落ちる、という昭和の少女マンガ的ストーリーも泣かせる。サビのコーラスでローリーの声が。きっちり3分でまとめた、傑作です。

②夏のお嬢さん
作詞：笠間ジュン、作曲：佐々木勉、編曲：ルイ＆ローリー
オリジナルは榊原郁恵、1978年。ピンク・レディー「渚のシンドバッド」(1977)に続く、昭和50年代を代表するサマーヒット。夏だ、渚だ、若者はナンパだーっ！と煽るようなアッパーなメロディが素晴らしい。一人称は「僕」で、男の立場からビキニがとっても似合う「夏のお嬢さん」にモーションをかける、という内容。テケテケはないけど、歌詞に「サーフボード」が出てくるから、サーフ歌謡です、ええ。
ローリー・ヴァージョンはやっぱりギターバリバリのハードロックで、ザ・フー「サマータイム・ブルーズ」の破壊力を百分の一くらいにしたアレンジと言えなくもない名カヴァー。間奏はビーチ・ボーイズ風だけど。

③④カラオケ

定価1000円、中古で315円。
完全に顔がブレた写真。「もうアイドルではない」と訴えかけるようにヘン顔。
裏はローリーギター（ボディが「ROLLY」の文字でできてる）を抱いた八木田さん。

ローリーと八木田さんは同じ年にもう一枚シングルを作り、翌年には永井ルイ（本シングルにもアレンジで参加）を含めた３人ユニット「ジャングル・ブッダ」でシングル・アルバムを一枚ずつリリースした。アルバムではまたもや榊原郁恵の「ROBOT」（松本・筒美コンビのテクノ歌謡）をカヴァーしている。