昔、運送会社に勤めていた頃
「その車は毛布を持っていけ」と先輩にいわれた
「変なこと言うな..」と思いながら
言われたとおりに毛布を持って配達にでた
そしてその答えはすぐに分かった
車はヒーターが壊れていた
凍りつきそうな真冬の車内、
毛布が僕を凍死から救ってくれた
「オイル交換をしておけ。」上司に言われた
「車の下へもぐって 」ネジを緩めていくと
妙にきれいなオイルが出てきた
「所長、オイルまだきれいです。」そう言うと所長の顔が引きつった
「お、お前、どこのオイル抜いた。」
僕の抜いたのはギアオイルというやつらしい..
配達中、雪が降り始めて見る見る積もっていった
車を止めてチェーンを巻き始めると
片方のチェーンが短くて届かない
「ヤバイ、どうしよう。」運よく針金があったのでとりあえずそれでつないだ
会社へ戻ってすぐにそのことを話すと
「針金あっただろう。」「・・・・・。」
金型と言う奴は鉄の塊でやたら重い..仕事かほぼ終わってから、電話が来た
「僕が行ってきますよ。」それ一つを集荷に工場まで行った
パレットにのったままフォークリフトで車に積むと
「これで今日の仕事は終わりだ.、」とやや浮ついた気分で会社へ戻ってきた
みんなが並んで僕の車を見ていたので
ついスピードを落とさずにカーブを曲がってしまった
「ゴットン。」嫌な音..がして金型がパレットから転がり落ちた
すると鬼の形相で所長がにらんでいた