18歳の夏でした、
僕はデパート地下の蕎麦屋さんで働いていて
その日も
忙しくなる前に行っておこうと
11時過ぎ 二階と三階の中間にある
トイレに向かっていました
三階が紳士服売り場なので
そこのスペースにはいつも
僕の気に入っているスーツが
展示されていました
☆****☆
ただこの日は
約一名、
見るからに怪しい男が
キョロキョロしていたのです
変な奴だな、と思っていたら
「バシャーン。」大きな音がして
男が展示してあるスーツを
引っ張って外そうとしています
「うわっ、僕のスーツが盗まれる。」
警備室へ一目散に知らせに走り出しました
「万引きです!!」
警備員二人とすぐに戻ると
男は丁度、一階の正面ドアから外へ出ようとしている
ところでした
「あっ、あの男です。」
「分かりました。」
「お客さんちょっときてください。」
男はすぐに捕まり 服の下からは盗まれたスーツが出てきました
☆****☆
これで 一件落着、
めでたしめでたし、のはずでした
ところが
地下の蕎麦屋で働いていると
「警察が来て面通しをしますからきていただけますか」
さっきの警備員でした
刑事ドラマみたいに
どこかの穴から覘くのかな...と思っていたら
警備室の真ん中にあの男がいました
上半身裸になってうちわでパタパタやっています
やせたからだの全身に刺青、「嫌だな..」と思っていたら
警察官が
「ご苦労様です。」
「この男に間違いないですか?」
「はい。」
小さな声で僕が答えると
僕に気づいた男は
振り向いて
「おい。お前、よく分かったな...」
「こわっ、」