渋谷さんのミーちゃんとぱんちゃん最後の一緒の食事。
このあと夕方、渋谷さんの息子さんと娘さんが挨拶に来た。息子さんがミーちゃんの入った籠を下げて。
コロナが流行ってるので、ご挨拶は庭先で。
今後のミーちゃんは息子さんが住む関西に連れて帰り里親を探すという。
「この子は不妊手術はしてありますけど、奥さんはワクチンも血液検査もされてないので、それはお願いしますね」と頼む。
籠に近寄って「ミーちゃん、いい子で幸せになるんだよ」とお別れをする。
「この子は大人しいから大丈夫だと思いますよ」と息子さんが言ってくれる。
ぱんちゃんは姿を見せない。
「渋谷さんの奥さんはどうなさるのですか?」と訊くと
「グループホームから特養に移る予定です」と言われる。
「お見舞いとかできますかね」と訊くと
「いや、このご時勢ですから、僕たちも面会できませんでした」
「ああ、そうなんですね。では・・・」
「はい、もう、家に戻ることはないと思います。」
「あの、ぱんちゃんが帰って来ないんです。もし、宜しければ、このまま鍵をお預かりして、ぱんちゃんの食事とトイレの世話をして、お家の方は、今日みたいないい天気の日に、週に1回程度、風を入れるようにさせていただくことはさせていただけないですか?」
「え?よろしいんですか?それは申し訳ないですが助かります。猫にかかった費用はお支払いしますので、助かります」
という形で話がついた。
帰りの新幹線の時間もあるのでと言って二人は戻って行った。再訪はいつになるかは言わなかったし訊かなかった。コロナ流行してるし。頻繁な移動はだめだ。
まあ、渋谷さんの手続きとかでまた来ることもあるだろうということで。まさか入れっぱなしってこともなかろうけど、現状面会もできないし。
二人の車が去ったあとに、のこのこぱんちゃんが帰ってきた。
やはり判るんだ。猫って不思議だ。
お隣のKさんがしゃがむとぱんちゃんが彼の股座に擦り寄ってきた。ブサイクな猫だけど、なんてかわいくていじらしいんだろう。
ぱんちゃん、これから晩御飯だよ。一人になっちゃったけど、猫は元々単独行動する生き物だし。
Kさんがぱんちゃんを抱えてくれて、私は渋谷さんの家の玄関を開けて、フードの支度と水の交換をして帰った。
ぱんちゃんはミーちゃんの不在を気にもかけてない様子なのでほっとした。
また明日ね、ぱんちゃん。