日曜絵かきの散歩道 “doucement,doucement”

日曜絵かきは楽しくて孤独 青空に誘われてつい散歩に
“ドゥスモン、ドゥスモン(ゆっくり、ゆっくり)”

男役 読了

2016年08月25日 | Memories of ZUKA
2度目の「男役」を読み終えた



「男役」には
中山可穂の創作した男役たちが登場する
研3で新人公演主役に抜擢された永遠ひかる
2つ先輩の花瀬レオ
退団を間近に控えたトップスターの如月すみれ
2番手の笹にしき
組長の輿いぶき
そして 50年前の悲運のトップスター扇乙矢



それぞれの年齢 それぞれの立場で
皆懸命にタカラヅカを生きている
(1人は既にこの世の人ではないけれど)
架空の人物なのにリアルに感じられて
読むにつれて愛おしくなる



元トップが作者に語った苦悩は
小説の中では如月すみれが語る
とてもリアルでせつなくなる
小説の中での聞き手は
この世の人ではない大劇場のファントム扇乙矢だ



扇乙矢は
苦悩する如月すみれを叱咤激励しつつ
やさしくなだめ
宝塚とは とタカラヅカの本質を語る

あまりに辛辣な見方だから
そんなふうに言わせた作者に
ちょっとだけ反感を覚えつつも
そうかもしれないと納得しもした



そして私なりにこう解釈した
タカラヅカの男役は
ボーイソプラノみたいなものなのかもしれないと
期間限定の芸なんだ

声変わりしたら
テノールやバリトンに転向するか
きっぱりやめてしまうかしかない



昨年の「王家に捧ぐ歌」の再演の時
ファラオとアモナスロの役を
12年前と同じ 箙かおると一樹千尋が演じたのは
驚きだったと同時に
それ以上にうれしかった
若い人には あんなふうには演じられまい





「男役」は
作者のタカラヅカへの愛とリスペクトに
あふれている
2度目を読んで ますますひしひしと感じた
そして
作者が会った元トップや
すべての男役たちへの
エールが込められているのも



作者はあとがきで
またタカラヅカを書きたいと言っている
大劇場にひしめく女性たちの中に
作者が紛れていることもあるのかな

次はどんな物語が紡ぎだされるのか
楽しみだ