1月12日付の新華社(電子版)に拠れば、雲南省香格里拉県独克宋古城で1月11日午前1時半頃火災が発生し、約10時間後に鎮火したものの、火災による延焼面積は約1平方キロメートルに達して、この面積は、独克宋古城の面積の3分の2にも当たるとの事です。今回の大火災については、中国中央TVでも取り上げており、かなり大きなニュースとして報じられています。
今回の火災に因る延焼家屋は、242棟にのぼり、それ以外に火災の延焼を食い止める為に防火滞を造る為や消防車が通行出来る様に壊された家屋もあり、壊された家屋は合わせて90棟程に上るとの事です。幸いに、今回の火災によりケガをした人や亡くなった人は無かったとの事。
火元は、古城内の四方街の某客栈(ゲストハウス)と見られるが、具体的な火災の原因についても、現時点では不明との事です。
香格里拉県独克宋古城は、唐代から建設が始まり、約1300年の歴史がある中国でも有数の古城の一つの事で、今回の大火災により貴重な文化遺産も幾つか失われたとの事ですが、ここは昔ながらのチベット式の伝統的な木造建築が多い事でも知られていたそうです。
私が、この雲南省香格里拉県独克宋古城を訪れたのは、1989年の10月の事ですが、その頃香格里拉県独克宋古城を訪れる観光客は皆無に近い状況で、私がここを訪れた時にも私以外に観光客を誰一人として見なかった様に記憶しています。
地名もその頃は中甸と呼ばれており、観光地としてもほとんど知られていない土地でしたがイギリスの小説家ジェームス・ヒルトンの「失われた地平線」と云う小説の中で描かれた桃源郷「香格里拉」が、実は「中甸」ではないか云われるようになり、2001年に「香格里拉」と名前を変えた事もあり、その後大変な数の観光客が毎年訪れるようになり、今では麗江や大理等と共に雲南省でも有数の観光地として有名で、国内は無論、日本初め世界中からも観光客が訪れる地となったようです。
その香格里拉県独克宋古城もまったく様変わりしたと聞いていたので、その後今回大火災が起きた克宋古城にも行ってませんが、まさか今回のような大火災が起きて古城の3分の2が消失するとは思っても見ませんでしたので、今になりその変わり様も見ておけば良かったと、いささか後悔しています。
北京晨報(電子報)等に拠れば、今回起きた火事が、何故この様な大火災になり、約10時簡にも亘り燃え続けたのかについて疑問も起きているようです。消防車が放水を始めて20分ほどで水が出なくなったとの話もあるようです。独克宋古城は、海抜3300メートルもある上、当日は雪もチラついていたとの話もあり、消化施設も凍っていた様だとの噂も流れているとの事。
また、地元の住民が消化作業をしようとしたら、消防関係者がそれをさせなかったので、その対応にも疑問が投げかけられているようですが、消防関係者は、今回の火災で、ケガ人が一人も出なかったのは、その様な適切な措置をしたからだと反論しているとの事です。(注:中国では消防組織は武装警察に属します)
尚、イギリスの小説家James Hiltonの書いた小説「Lost Horizon」は中国でも中国語に翻訳され「消失的地平線」として出版されており、私が今滞在中の大理古城内の本屋初め、雲南省の本屋では良く見かけますので、雲南省ではかなり売れ筋の本の一冊の様です。