中国には飛び級と言う制度があります。私が最初に中国に来たのは1988年9月ですが、その時は河南省の鄭州大学に籍を置き中国語の勉強をしていました。その頃、留学生に中国語を教えていた教師の中に、19歳で大学を卒業した先生がいて、それで中国には飛び級(注:中国語では跳級)という制度がある事を初めて知りました。日本には無い飛び級と言う制度が中国にある事を知り、軽い衝撃を覚えた記憶があります。
その先生は、91年に日本の大学院で勉強するために来日し、初めは日本語学校に通いながらも、一年で某国立大学大学院へ入学しました。大学院在学中は、成績が優秀だったため、授業料も免除となりその上、月額約20万円のその当時では最高額の奨学金をも貰っていました。その後は、その先生はカナダへ移民し、今もカナダに住んでいます。
80年後半は中国では大学への進学率は10%にも届かず、確か6.7%と聞いた記憶があります。その当時は中国では大学に入るのは、今にも増して大変に難しい事でしたから、そういう状況の中で、飛び級をして10代で大学を卒業したのは、そうある事象ではなかったようです。私が、その先生に対して感じたのは、所謂「頭が良い」という事でした。私も結構多くの中国人に接した積りですが、飛び級で大学へ入学したという人は、その先生以外には今まで会った事はありません。
8月22日付の北京で発行されている新聞「新京網」(電子版)に拠れば、北京の名門大学、「清華大学」で、21日に2013年度生の入学手続きが始まったそうですが、今年清華大学へ入学した最年少の学生の年齢は、僅か13歳との事です。なんでも13歳で超難関校の清華大学へ入学した生徒は1999年生まれで、5歳で小学校4年生に入学、更に7歳で中学校へ入学、13歳の今年見事に「清華大学」に合格したそうです。彼が4歳の時に、父親が小学校3年生に入学させようとしたら、その小学校の校長が反対したので一年遅れて小学校へ入学したとの事。
出身は山西省の河曲との事ですが当然の如く、周辺の人々は彼を「神童だ」と言っているそうですが、彼本人は「私は普通の人となんら変わらない」と話しているとの事。勉強方法も特別な方法はなく、「良く授業を聞く事、良く復習や予習をする事」と話しているそうです。母親が中学校の教師で、その影響を受け物理に興味があるとの事。また、本人の弁に拠れば、「精神年齢が、実際の年齢よりも高いので、同級生との交流等」の点でも心配はしていないとも話しているそうです。
清華大学では、今日22日午前中に入学式が行われ、その後3週間に亘り「軍事訓練」と新入生教育が行われるとの事です。(注:中国の大学では、新入生に対して「軍事訓練」が、必ず行われます。期間は2週間程度の大学が多いようです。)清華大学には、今年3374名が本科生として入学したとの事ですが、近年中国の大学は合併を繰り返しマンモス化していて、新入生が1万人近い大学もある中、清華大学はやはり何かと恵まれた環境にあるようです。3374名中理科系が2795名、文科系が339名、芸術系が230名との事ですから、清華大学は、やはり理科系の大学のようです。また、新入生のうち10%が少数民族の事。県レベル及び県レベル以下の高校から入学した生徒が全体の41%を占め、この数字は昨年の約30%と比較して大幅に増えたそうです。
但し、私の個人的な感想として、この県レベルの高校及び県レベル以下の高校からの生徒が全体の入学生の中の41%を占めたという数字については大いに疑問を感じています。