●五頭連峰を活かした地域振興(その3) [R60617]
「土屋美幸」さんは「一般社団法人五頭自然学校」で活躍される登山エキスパートでありインストラクター。大阪府出身というのが嬉しい。よそ者、特に大いに文化圏の異なる関西の視点をお持ちの方からの意見を是非とも伺いたいと思う。
以前は中学校の先生をしていたため、新発田市と胎内市にまたがる日本一小さな山脈と言われる「櫛形山脈」にはよく登った経験があるという。
やはり「五頭山」を読めず「"ごとうやま"ってどこにあるの?」などと言った問い合わせを受けることがある。とても気軽に良い登山と自然を楽しめる場なのに知名度の低さを残念がる。
首都圏から上越新幹線で新潟駅へ、そこから旅館送迎バスで五頭温泉郷までと、2時間半あれば東京からたどり着くことができるアクセスの良さ、人情豊かな温泉、五頭山、瓢湖、美味しい食べ物など、もっとお客さんが来ても良いと思える資源が揃っていると思うとのこと。
「五頭山」といえば新潟県民としては比較的知られた名前だが、確かにその現地はどんな風になっていてどんなふうに楽しめるのかと問われると答えるに心もとない。見知らぬ人々へ臨場感をもって魅力を伝える情報の発信というのが今更ながら足りていないというのが大きな課題のようだ。
土屋さんの発言時には「クマの恐れ」についても話が及んだが、情報氾濫で過剰に山が敬遠されているということの嘆かわしさが他の参加者からも聞かれた。怖がらせるだけでなく獣害のリスクを下げる方法なども山の魅力情報の発信に併せて上手に伝えていくことが重要だと改めて浮き彫りになった。
「阿部康」さんは「裹五頭山荘」の跡取り経営者で阿賀町出身。昭和54年から始まった旅館を経営しており、山菜料理やイワナ料理は宿泊客に喜ばれている。また、釣り堀もあるため、家族連れにも人気があるという。
「裏五頭(うらごず)」というのは阿賀野市側を表とするに対する阿賀町側からの五頭山アプローチのことを指すらしいのだが、登山道の整備が「表」に対して行き届いていないと感じるという。また、今日参加の加藤さんのお話にあったとおり、登山口と異なる登山口に下山した際の移動手段の手配が課題だと感じている。昨今流行りのMaaSの発想で往路(リーチ)と帰路(リーブ)の組み合わせのパターンなどを例示的に提案するのも山の魅力情報発信の付加価値になるかもしれないと思う。
地元出身者の内から見た視点と市外出身者から見た外からの視点両面から、五頭連峰を活用した地域活性化について、活発な意見交換が行わて大変有意義であった。一部ではあるが紹介したい。
「以前からターゲットにしていた、少し高級で上質な山里の温泉を楽しむ年配層は大事にしつつ、次代を見据えた若い家族連れがハイキング、キャンプを楽しんでほしい。」が、「初心者向けの登山者に対する情報(登山口、所用時間、登山レベルなど)が足りない。訪問者から”登山口の駐車場へはこの道で合っていますか?本当にこのまま登って行って大丈夫ですか?”など、来訪者に不安を与えているようだ。」
私からは、これまでインドア派でやってきたもののこの春から低山登りを経験してきたことを踏まえて、登山口にたどり着くまでの細い道は初心者に不安をあおるので、情報発信にあたっては登山そのものの楽しさのみならず駐車場までのアプローチの不安を和らげる案内も添えた方が良いとお話しさせていただいた。
「マスター向けの登山の醍醐味ではなく、ビギナー向けに手軽さを売りにしたほうがよい。」とのご指摘には、県の出先機関たる振興局としても、怪我やクマ遭遇などのリスク低減の方法など検討し、ビギナー向けの情報発信を皆さんを始め関係者と一緒に考えていきたいと答えた。
「安全安心の観点から、携帯電話の電波が途切れない環境は重要。」については、現在の通信環境の下でも何等かできる工夫はないかを探りたいと思った。
「山頂にトイレが欲しい」との発言には、さすがに整備と維持管理が予算的に難しいのではと私からは話したのだが、「トイレを設置することになると維持管理も大変なので、目隠しスペ-スを設置し、あとは登山者からポータブルトイレを持参いたたく形をとるのが効率的で現実的ではないか。」とのことで感心させられた。山の関係者で設置しても良いのだが林野としての許可をネックに感じているという。私の所管外の権限になるのだが情報収集して共有したいと思う。
「コロナ禍の影響なのか、新潟市内からの学校単位での登山が減少している。子ども達が生きる力を学ぶ重要な機会なので、ぜひ復活してほしい。」との意見には個人時には全く同感。これについても我々なりのルートで学校の情報などを収集して取り次いだりしていきたいと思った。
温泉と自然が豊かて登山も容易な五頭連峰への誘客について、阿賀野市と阿賀町の旅館や観光施設の経営者、登山愛好家などと意見交換する中で、少し高級で上質な山里の温泉を楽しむ余裕ある年配層は大事にしつつ、次代を見据えた若い家族連れ等との"二本軸"が重要との意向を共有できたことは大きい。
いずれにしても五頭連峰に関する情報発信が量的にも内容的にもまだまだ足りないように思え、先ずはその充実が必要と痛感。
我が振興局と地元の各々による情報発信や内外の関係者とのやりとりが、相乗効果を生むように展開していきたいとの思いを強くしてこの回の座談会を終えた。
(「新発田地域ふるわせ座談会28「五頭連峰を活かしたい(その3)」」終わり。「新発田地域ふるわせ座談会29「剣龍峡と街なかの大学生(その1)」」に続きます。)
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