西京極 紫の館

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恩讐の彼方に/忠直卿行状記  菊池 寛/著  岩波書店

2008年10月02日 21時57分58秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
有名な九州耶馬渓、青の洞門の伝説を小説化した『恩讐の彼方に』、封建制下のいわゆる殿様の人間的悲劇を描いた『忠直卿行状記』は、テーマ小説の創始者たる菊池寛(1888-1948)の多くの作品中の傑作として知られる。他に『三浦右衛門の最後』『藤十郎の恋』『形』『名君』『蘭学事始』『入れ札』『俊寛』『首縊り上人』を収める。

【総合評価】 ☆☆☆★★(満点は☆5つ)
   感動度 ☆☆☆★★
   実用度 ☆☆★★★
  読み易さ ☆☆☆★★

【西京極の読後感想】
会社の友人の勧めで読んでみた。菊池寛の作品を読むのは初めて。文章はさすがに古臭いが、内容は現代的。舞台は古くは平安時代から江戸後期までだが、そこに登場し、苦しみ、悩む人間の心理はまさに現代人のそれである。組織の頂点に立つ者の孤独を描いた『忠直卿行状記』や、過去に冒した罪から良心の呵責に苦しむ男が登場する『恩讐の彼方に』、国定忠治に同道する子分選びの投票で不正を働いた男をユーモラスに描いた『入れ札』など、「あ~こんなヤツ、今の世の中にもいるよなぁ」と思える。むしろ倫理観の強かった時代に現代人的な心理状態を持ち込むことによってより人間的なドラマが現出される。巧みを感じさせる短編集。


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