【紹介文】
女のものと思われる緑釉の香合を肌身離さず持つ男・千利休は、おのれの美学だけで時の権力者・秀吉に対峙し、天下一の茶頭へと昇り詰めていく。しかしその鋭さゆえに秀吉に疎まれ、切腹を命ぜられる。利休の研ぎ澄まされた感性、艶やかで気迫に満ちた人生を生み出した恋とは、どのようなものだったのか。思いがけない手法で利休伝説のベールが剥がされていく長編歴史小説。
【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
感動度 ☆☆☆☆★
実用性 ☆☆☆★★
読み易さ ☆☆☆☆★
【西京極の読後感想】
山本兼一については映画で「火天の城」を観、小説「雷神の筒」を読んだが、正直、直木賞を獲るような作家の作品であるとは思わなかった。その直木賞受賞作品の本作、読み始めはやはり「華のない文章だな…」と感じた。ただ、構成は凝っている。利休が切腹する直前から話が始まり、物語は利休の青年時代まで時間軸を遡っていくのだ。序盤では単に意固地な老人として描かれる利休が、話が進行する毎にその人間像が魅力的な輝きを放ち始める。序盤の華のなさも作者の意図であったのではないかと思う。終盤、美の探究者、求道者であった利休もまた結局は煩悩の塊であったという結論に達する訳だが、その理由がやや説得力が足りないと感じたが、中盤の各エピソードは直木賞受賞も納得の内容である。(でも、僕的にはやっぱり評価が微妙な作家です…)
女のものと思われる緑釉の香合を肌身離さず持つ男・千利休は、おのれの美学だけで時の権力者・秀吉に対峙し、天下一の茶頭へと昇り詰めていく。しかしその鋭さゆえに秀吉に疎まれ、切腹を命ぜられる。利休の研ぎ澄まされた感性、艶やかで気迫に満ちた人生を生み出した恋とは、どのようなものだったのか。思いがけない手法で利休伝説のベールが剥がされていく長編歴史小説。
【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
感動度 ☆☆☆☆★
実用性 ☆☆☆★★
読み易さ ☆☆☆☆★
【西京極の読後感想】
山本兼一については映画で「火天の城」を観、小説「雷神の筒」を読んだが、正直、直木賞を獲るような作家の作品であるとは思わなかった。その直木賞受賞作品の本作、読み始めはやはり「華のない文章だな…」と感じた。ただ、構成は凝っている。利休が切腹する直前から話が始まり、物語は利休の青年時代まで時間軸を遡っていくのだ。序盤では単に意固地な老人として描かれる利休が、話が進行する毎にその人間像が魅力的な輝きを放ち始める。序盤の華のなさも作者の意図であったのではないかと思う。終盤、美の探究者、求道者であった利休もまた結局は煩悩の塊であったという結論に達する訳だが、その理由がやや説得力が足りないと感じたが、中盤の各エピソードは直木賞受賞も納得の内容である。(でも、僕的にはやっぱり評価が微妙な作家です…)
「利休にたずねよ」で直木賞受賞というのは、作者本人にとっては不本意(作者の中ではイマイチの出来だと思っていた)らしいですね。かなり細切れの雑誌連載という制約がったせいでしょうか。
そうなんですか!
ご本人はこの作品の出来に満足しておられなかったのですか!
僕はその細切れかつ時間軸を逆行する構成は良かったと思っているのですが…