女神隊員はここで1つため息をつきました。それを見て上溝隊員は不思議に思いました。
「ん? どうしたの」
「いや、ちょっと嫌なことを思い出しちゃって・・・ 私がこの星にきたとき、うなじを集中攻撃されました。なんか、あれを思い出しちゃって」
「あは、トラウマてやつね」
「あのとき私のうなじを撃ったのは橋本さんと倉見さんでした」
「今回あなたを助けたのは、橋本さんと倉見さんよ」
女神隊員は苦笑とも微笑みともとれる笑みを浮かべ、
「そうですね・・・」
正直女神隊員の脳裏にはずーっと橋本隊員と倉見隊員へのわだかまりがありましたが、この瞬間すべて消えたようです。ここで上溝隊員の発言です。
「あ、そうだ。隊長からの言付けよ。今日午後は完全休養して、身体を回復させること」
女神隊員は微笑んで応えました。
「はい、わかりました」
ここはサブオペレーションルームです。今頭上の巨大なモニターにレーダーの映像が映されてます。それを見ている隊長・橋本隊員・倉見隊員・寒川隊員・上溝隊員。まずは上溝隊員の説明から。
「午前10時17分、未確認飛行物体が大気圏内に侵入。これは四次元レーダーでのみ確認できました。
続いて午前10時22分、国籍不明機が大気圏内に突入。これはすべてのレーダーで確認してます。
10時38分国籍不明機は通常レーダーから消滅。四次元レーダーのみで映るようになりました」
寒川隊員の発言です。
「その時間、女神さんは見えない宇宙人と闘っていた」
隊長。
「うむ、状況的にこの国籍不明機が女神隊員を攻撃したな」
橋本隊員。
「認識ステルス機能がついた国籍不明機・・・ 今そんな機能がついた飛行機は日本とアメリカにしかないなあ・・・」
倉見隊員。
「今日本にある対象機はテレストリアルガード保有機のみ。身内がやったとしたら・・・」
上溝隊員。
「あの状況で身内と言ったら、私しかいませんよね」
隊長は上溝隊員を見て、
「お前、ずーっとここにいたんだろ?」
「はい」
「じゃ、違うな」
寒川隊員。
「となると、残るはアメリカの飛行機か別の侵略宇宙人か・・・」
隊長。
「いや、日本にもまだ認識ステルス機能がついた飛行機があるぞ。スペースステーションJ1の飛行機だ」
隊長のその言葉で、一同に緊張感が走りました。みんな、今回の事件の犯人はなんとなくJ1じゃないのかと思ってたのですが、隊長があらためてJ1の名前を口にすると、妙な緊張感が走ったのです。スペースステーションJ1はテレストリアルガード宇宙支部のようなところです。つまり、仲間。それが攻撃してきたなんて、とても信じられないのです。でも、他に該当者がいないのも事実でした。
橋本隊員が話を続けます。
「それなら宇宙からやってきたという理由もつくな。しかし、J1が女神隊員を攻撃する理由はないと思うが?・・・」
寒川隊員。
「もしや、女神さんを侵略宇宙人と間違えて・・・」
倉見隊員。
「あいつはテレストリアルガードの隊員服を着てたし、オレたちにも攻撃してきた。それは絶対ありえないだろって」
隊長は上溝隊員に、
「J1に女神隊員のデータは送ってあるのか?」
「はい。顔写真以外は送ってます」
「ふふ、顔写真はちょっとまずいよな」
と、ここでオペレーションルームのコンソールが鳴りました。無線が入ったようです。上溝隊員は慌ててその無線に出ました。
「はい・・・」
上溝隊員は隊長を見ました。
「隊長、J1から連絡です。もうすぐ来るようです」
「ふっ、噂をすればなんとやら、か」
テレストリアルガード基地外観です。今1機の飛行機が滑走路に垂直着陸するところです。ストーク号に酷似した機体ですが、カラーリングがまったく別です。この機種はスペースストーク号です。機体にはUNTG-STORK01の文字があります。
テレストリアルガード基地内の廊下です。3人の男が歩いてきます。すべて同じ隊員服を着ています。これもテレストリアルガードの隊員服に酷似してますが、カラーリングはまったく別です。
実はこの3人はスペースステーションJ1の隊員なのです。真ん中を1つ抜け出して歩いてる男は入谷隊長。後ろの2人は宮山隊員と番田隊員です。3人はドアの前に立ち止まりました。するとそのドアは自動的に開きました。そこはサブオペレーションルーム。女神隊員と海老名隊員以外のテレストリアルガード5人の隊員が待ち受けてました。5人ともかなり厳しい眼です。J1の3人もかなり怖い顔をして室内に入りました。まずは入谷隊長の発言から。
「お邪魔するよ」
宮山隊員は毒を吐くように言いました。
「おいおい、せっかく事前に来ると言っておいたのに、お茶も用意してないのか?」
それに橋本隊員が応えました。
「悪いなあ、こっちもろいろと忙しいんだ」
今度は香川隊長。
「で、なんの用事だ?」
それに入谷隊長が応えました。
「用事は2つある。1つは今日午前中、地球に侵入した未確認飛行物体だ。どこに行った?」
「さあな、今行方不明だ」
「こいつはひどい職務怠慢だなぁ。宇宙からの侵略者を見張ってるはずのテレストリアルガードが、その侵略者をロストするなんて」
今度は橋本隊員の発言。
「そりゃこっちのセリフだ。なんでJ1はその侵略者の地球侵入を見逃した? こっちだって大迷惑だよ!」
それに番田隊員が応えました。
「その文句はエイリアンに言え。J1はスペースの都合で四次元レーダーの性能がそんなに高くないんだ。相手が認識ステルス機能を持っていたら、こっちはお手上げなんだよ」
「ふっ、なんだよ、そりゃ。そんなものが言い訳になると思ってるのか?」
番田隊員は喰ってかかりました。
「なんだとーっ!」
それを入谷隊長が片手で押さえました。
「おい、ここはテレストリアルガード本部だぞ。落ち着け!」
入谷隊長は香川隊長を見て、
「この件はお互いこれ以上触れない方がいいようだな」
「で、もう1つの用事は?」
「女神隊員に会いたい」
「あは、なんで?」
「オレたちゃ今、ひどい誤解を受けてるんだ。それを女神隊員に解いてもらいたいんだ」
香川隊長はちょっと苦笑して、
「おいおい、何をどう誤解されてるんだよ?」
「4か月前、オレたちJ1は1隻の宇宙船を攻撃した。結果的にその船は難民船で、5000もの難民が瞬時に亡くなってしまった。それ以来、われわれはネットで誹謗中傷されるようになったんだ」
ここで橋本隊員が口を挟みました。
「そりゃ誹謗中傷と言うより、非難と言った方がいいんじゃないか?」
それを聞いて宮山隊員が激高しました。
「ふざけんな! オレたちゃ、マニュアル通りに攻撃しただけだ!」
入谷隊長は右手でその宮山隊員を押さえました。
「だから、落ち着けと言ってるだろ!」
入谷隊長は再び香川隊長を見て、
「1か月前、その難民の写真がネットに流出した。その顔があまりにも異質で、一時期われわれへの誹謗中傷は消えたが、ここにきてまた誹謗中傷が増えてきたんだ。われわれはどうしてもこの誹謗中傷を終わらせたいんだ」
「言ってることはわからんでもないが、それと女神隊員はなーんの関係もないだろ」
宮山隊員が再び喰ってかかりました。
「ふざけんな!」
さらに番田隊員が、
「ちゃんと報告書に、女神はあのときの唯一の生き残りだって書いてあるじゃんか!」
香川隊長は上溝隊員を見て、
「ん? 書いてあったのか?」
「はい」
香川隊長は右手で額を押さえ、頭上を見ました。
「あちゃ~」
それに入谷隊長が、
「ふっ、こいつはお笑いだ。自分の書いた報告書の内容を忘れてたとは。さあ、女神隊員に会わせてくれ!」
「ん? どうしたの」
「いや、ちょっと嫌なことを思い出しちゃって・・・ 私がこの星にきたとき、うなじを集中攻撃されました。なんか、あれを思い出しちゃって」
「あは、トラウマてやつね」
「あのとき私のうなじを撃ったのは橋本さんと倉見さんでした」
「今回あなたを助けたのは、橋本さんと倉見さんよ」
女神隊員は苦笑とも微笑みともとれる笑みを浮かべ、
「そうですね・・・」
正直女神隊員の脳裏にはずーっと橋本隊員と倉見隊員へのわだかまりがありましたが、この瞬間すべて消えたようです。ここで上溝隊員の発言です。
「あ、そうだ。隊長からの言付けよ。今日午後は完全休養して、身体を回復させること」
女神隊員は微笑んで応えました。
「はい、わかりました」
ここはサブオペレーションルームです。今頭上の巨大なモニターにレーダーの映像が映されてます。それを見ている隊長・橋本隊員・倉見隊員・寒川隊員・上溝隊員。まずは上溝隊員の説明から。
「午前10時17分、未確認飛行物体が大気圏内に侵入。これは四次元レーダーでのみ確認できました。
続いて午前10時22分、国籍不明機が大気圏内に突入。これはすべてのレーダーで確認してます。
10時38分国籍不明機は通常レーダーから消滅。四次元レーダーのみで映るようになりました」
寒川隊員の発言です。
「その時間、女神さんは見えない宇宙人と闘っていた」
隊長。
「うむ、状況的にこの国籍不明機が女神隊員を攻撃したな」
橋本隊員。
「認識ステルス機能がついた国籍不明機・・・ 今そんな機能がついた飛行機は日本とアメリカにしかないなあ・・・」
倉見隊員。
「今日本にある対象機はテレストリアルガード保有機のみ。身内がやったとしたら・・・」
上溝隊員。
「あの状況で身内と言ったら、私しかいませんよね」
隊長は上溝隊員を見て、
「お前、ずーっとここにいたんだろ?」
「はい」
「じゃ、違うな」
寒川隊員。
「となると、残るはアメリカの飛行機か別の侵略宇宙人か・・・」
隊長。
「いや、日本にもまだ認識ステルス機能がついた飛行機があるぞ。スペースステーションJ1の飛行機だ」
隊長のその言葉で、一同に緊張感が走りました。みんな、今回の事件の犯人はなんとなくJ1じゃないのかと思ってたのですが、隊長があらためてJ1の名前を口にすると、妙な緊張感が走ったのです。スペースステーションJ1はテレストリアルガード宇宙支部のようなところです。つまり、仲間。それが攻撃してきたなんて、とても信じられないのです。でも、他に該当者がいないのも事実でした。
橋本隊員が話を続けます。
「それなら宇宙からやってきたという理由もつくな。しかし、J1が女神隊員を攻撃する理由はないと思うが?・・・」
寒川隊員。
「もしや、女神さんを侵略宇宙人と間違えて・・・」
倉見隊員。
「あいつはテレストリアルガードの隊員服を着てたし、オレたちにも攻撃してきた。それは絶対ありえないだろって」
隊長は上溝隊員に、
「J1に女神隊員のデータは送ってあるのか?」
「はい。顔写真以外は送ってます」
「ふふ、顔写真はちょっとまずいよな」
と、ここでオペレーションルームのコンソールが鳴りました。無線が入ったようです。上溝隊員は慌ててその無線に出ました。
「はい・・・」
上溝隊員は隊長を見ました。
「隊長、J1から連絡です。もうすぐ来るようです」
「ふっ、噂をすればなんとやら、か」
テレストリアルガード基地外観です。今1機の飛行機が滑走路に垂直着陸するところです。ストーク号に酷似した機体ですが、カラーリングがまったく別です。この機種はスペースストーク号です。機体にはUNTG-STORK01の文字があります。
テレストリアルガード基地内の廊下です。3人の男が歩いてきます。すべて同じ隊員服を着ています。これもテレストリアルガードの隊員服に酷似してますが、カラーリングはまったく別です。
実はこの3人はスペースステーションJ1の隊員なのです。真ん中を1つ抜け出して歩いてる男は入谷隊長。後ろの2人は宮山隊員と番田隊員です。3人はドアの前に立ち止まりました。するとそのドアは自動的に開きました。そこはサブオペレーションルーム。女神隊員と海老名隊員以外のテレストリアルガード5人の隊員が待ち受けてました。5人ともかなり厳しい眼です。J1の3人もかなり怖い顔をして室内に入りました。まずは入谷隊長の発言から。
「お邪魔するよ」
宮山隊員は毒を吐くように言いました。
「おいおい、せっかく事前に来ると言っておいたのに、お茶も用意してないのか?」
それに橋本隊員が応えました。
「悪いなあ、こっちもろいろと忙しいんだ」
今度は香川隊長。
「で、なんの用事だ?」
それに入谷隊長が応えました。
「用事は2つある。1つは今日午前中、地球に侵入した未確認飛行物体だ。どこに行った?」
「さあな、今行方不明だ」
「こいつはひどい職務怠慢だなぁ。宇宙からの侵略者を見張ってるはずのテレストリアルガードが、その侵略者をロストするなんて」
今度は橋本隊員の発言。
「そりゃこっちのセリフだ。なんでJ1はその侵略者の地球侵入を見逃した? こっちだって大迷惑だよ!」
それに番田隊員が応えました。
「その文句はエイリアンに言え。J1はスペースの都合で四次元レーダーの性能がそんなに高くないんだ。相手が認識ステルス機能を持っていたら、こっちはお手上げなんだよ」
「ふっ、なんだよ、そりゃ。そんなものが言い訳になると思ってるのか?」
番田隊員は喰ってかかりました。
「なんだとーっ!」
それを入谷隊長が片手で押さえました。
「おい、ここはテレストリアルガード本部だぞ。落ち着け!」
入谷隊長は香川隊長を見て、
「この件はお互いこれ以上触れない方がいいようだな」
「で、もう1つの用事は?」
「女神隊員に会いたい」
「あは、なんで?」
「オレたちゃ今、ひどい誤解を受けてるんだ。それを女神隊員に解いてもらいたいんだ」
香川隊長はちょっと苦笑して、
「おいおい、何をどう誤解されてるんだよ?」
「4か月前、オレたちJ1は1隻の宇宙船を攻撃した。結果的にその船は難民船で、5000もの難民が瞬時に亡くなってしまった。それ以来、われわれはネットで誹謗中傷されるようになったんだ」
ここで橋本隊員が口を挟みました。
「そりゃ誹謗中傷と言うより、非難と言った方がいいんじゃないか?」
それを聞いて宮山隊員が激高しました。
「ふざけんな! オレたちゃ、マニュアル通りに攻撃しただけだ!」
入谷隊長は右手でその宮山隊員を押さえました。
「だから、落ち着けと言ってるだろ!」
入谷隊長は再び香川隊長を見て、
「1か月前、その難民の写真がネットに流出した。その顔があまりにも異質で、一時期われわれへの誹謗中傷は消えたが、ここにきてまた誹謗中傷が増えてきたんだ。われわれはどうしてもこの誹謗中傷を終わらせたいんだ」
「言ってることはわからんでもないが、それと女神隊員はなーんの関係もないだろ」
宮山隊員が再び喰ってかかりました。
「ふざけんな!」
さらに番田隊員が、
「ちゃんと報告書に、女神はあのときの唯一の生き残りだって書いてあるじゃんか!」
香川隊長は上溝隊員を見て、
「ん? 書いてあったのか?」
「はい」
香川隊長は右手で額を押さえ、頭上を見ました。
「あちゃ~」
それに入谷隊長が、
「ふっ、こいつはお笑いだ。自分の書いた報告書の内容を忘れてたとは。さあ、女神隊員に会わせてくれ!」