のどかなケイバ

一口馬主やってます

女神「前方の敵、後方の敵」5

2017-08-08 17:13:36 | 小説
 テレストリアルガード基地の外観です。すでにストーク号とヘロン号が垂直離陸してます。なお、ストーク号の機体番号ですが、JPTG-STORK02です。つまり2号機。1号機は破壊されてしまったので、今日は昨日橋本隊員が操縦してた機体に隊長・寒川隊員・女神隊員が乗ってます。
 ストーク号のコックピット。隊長の命令です。
「よし! ジャンプ!」
 寒川隊員が応えました。
「了解!」
 ヘロン号のマスクとシールドをした橋本隊員も応えました。
「了解!」
 ストーク号とヘロン号が同時に消滅しました。

 先ほどの原野です。警官隊やマニアたちが逃げ惑ってます。
「うわーっ!」
 が、相手が見えません。と、今1つの小屋が見えない脚に蹴飛ばされ、その破片が空中に舞いました。それがマニアたちに降り注いでます。
「なんなんだよ、これーっ!」
 こんな緊急時なのに、警官がいなくなったことをいいことに、ストーク号の真下に来て、写真を撮ったり備品を盗もうとしているマニアが複数います。頼もしい人たちです。ま、某国のスパイかもしれませんが。
 この上空にストーク号とヘロン号がこつ然と現れました。ヘロン号のコックピットから見た原野です。原野にずーっと足跡がついていて、その先頭に今新たな足跡が発生しました。それを見て橋本隊員は微笑みました。
「ふっ、四次元レーダーがなくとも、丸見えじゃないか!」
 ヘロン号の砲塔からレーザーが発射されました。それが見えない何かに当たり、大きな火花と悲鳴が発生しました。
 今度はストーク号のコックピット。隊長の命令です。
「よし、パウダーを撒くぞ!」
 それに寒川隊員が応えました。
「了解!」
 ストーク号の腹のハッチが開き、棒に吊るされた球体が出てきました。その球体から粉が出てきました。大量の粉です。マニアの1人の頭にその粉が降ってきて、マニアは粉まみれになってしまいました。マニアは怒り心頭です。
「うわっ! 何するんだよ~!」
 あたりが急速に粉まみれになっていきます。すると粉の中から3つの巨大な人影が現れました。宇宙人A・B・Cです。それを見て隊長が驚きました。
「おお、3人もいたのか!」
 隊長は後部補助席の女神隊員を横目で見て、
「おい、行けるか?」
「もちろん」
「よし、じゃ、真ん中のやつを頼む」
「はい!」
 女神隊員は5点式シートベルトを外し、次の瞬間消滅しました。と、宇宙人Bの前に巨大化した女神隊員が現れました。それを見てマニアたちが喜んでいます。
「うわーっ、ヘルメットレディだ!」
「は、初めて見た~」
「オレ、ここに来てよかったよ~」
 甲冑の宇宙人Bはニヤっとしました。女神隊員の光線と剣の攻撃は、甲冑が防いでくれるはず。宇宙人Bは心の中でこう言いました。
「ふ、甲冑があれば絶対勝てる! よし、来い!」
 が、女神隊員はレーザーガンを構えました。なんとレーザーガンも巨大化してたのです。宇宙人Bはフリーズしてしまいました。
「へっ?」
 女神隊員はレーザーガンを撃ちました。その光線が宇宙人Bの胸を甲冑ごと貫通。
「そ、そんな・・・」
 宇宙人Bはあっけなく倒れてしまいました。それを見てマニアたちは喜びました。
「やったー!」
「さすがヘルメットレディ!」
 狂喜乱舞しているマニアの中には、先ほど粉を全身に浴びてしまった者もいました。
「ああ~ こんなにすごいものを見られるなんて、オレはなんて幸せなんだ~」
 宇宙人Cがヘロン号のビームに倒され、宇宙人Aもストーク号のビームにあっけなく破れてしまいました。マニアたちの歓喜はさらに大きくなりました。
「すっごーい!」
「やっぱりテレストリアルガードは世界一だ!」
 その歓喜ぶりをストーク号のコックピットから隊長が見てました。
「あは、こんな早朝からご苦労なこった」
 と、寒川隊員が四次元レーダーの異変に気づきました。
「隊長、大変です! 透明な未確認飛行物体があります!」
「なんだとっ!」
 隊長はヘルメットと一体になった無線機に叫びました。
「女神、伏せろ!」
 女神隊員はその声を聞いて、はっとしました。と、一条の光線が女神隊員の真後ろから地面と平行に飛んできました。が、光線が女神隊員の背中に命中する寸前に女神隊員は身体を伏せ、光線は通り過ぎていきました。マニアたちはびっくりしました。
「な、なんだ、今の光線は?」
 隊長が寒川隊員に命令です。
「ミサイル発射!」
「はい!」
 ストーク号がミサイルを2発同時発射。そのミサイルが何もない上空で炸裂。すると大量の粉が発生。その粉の中から1つの機体が現れました。マニアたちはそれを見て驚きました。
「あ、あれはスペースストーク号じゃないか?・・・」
 隊長の発言です。
「やっぱり来たか」
 それに寒川隊員が応えました。
「そ、それが・・・ 状況からして、昨夜からずーっとここに着陸して待機してたようです」
「お、おい、ほんとか? なんでそんなめんどくさいことを?・・・」
 女神隊員は立ち上がり、そしてスペースストーク号を見ました。それを見た途端、女神隊員にある記憶が沸き上がりました。女神隊員が乗ってきた宇宙船を攻撃した3隻の宇宙船。その中心にいた宇宙船が今目の前にいるのです。女神隊員の怒りのボルテージが一気に上がりました。
「あ、あの時の!」
 それに対しスペースストーク号のコックピットの入谷隊長も、目を不気味に光らせました。
「ふっ、こいつ、延髄を損傷したんじゃないのか?
 撃て!」
 入谷隊長の右に座ってた宮山隊員は、その命令に懐疑的です。
「いいんですか? もう正体がバレてますよ」
「構わん。正体がバレた時点で我々の懲戒処分は確定的だ。もう何やっても同じだろ。それにあいつはエイリアンだ。殺しても法的問題はゼロだ!」
「了解!」
 スペースストーク号がビーム砲を発射。女神隊員はそれをハニカム構造のバリアで防ぎました。宮山隊員は悔しがりました。
「ちっ!」
 今度は女神隊員がレーザーガンを発射。スペースストーク号はそれを魔法円のバリアで防ぎました。今度は宮山隊員よりさらに右に座ってた番田隊員がニヤっと笑いました。
「ふっ、そこらへんのへなちょこエイリアンと一緒にするなよ!」
 これを見てマニアたちはざわつきました。
「お、おい、なんでヘルメットレディとスペースストーク号が闘ってるんだ? 仲間だろ?」
 女神隊員は今度は右手を真上に挙げました。するとその手に剣が現れました。女神隊員は剣を振り上げたままスペースストーク号に雄叫びをあげて突進しました。
「うおーっ!」
 入谷隊員。
「おい、来たぞ。撃て・・・ いや、逃げろ!」
 それに宮山隊員が応えました
「了解!」
 スペースストーク号が消滅。女神隊員は急ブレーキ。振り返りざま片手で剣を振り下ろしました。
「もうその手は読めてんよーっ!」
 そこにスペースストーク号がジャンプアウト。迫って来る巨大な剣を見て、入谷隊長たちが悲鳴を上げました。
「うわーっ!」
 剣の切っ先がスペースストーク号の鼻先にヒット。そのコックピットでは、コンソールから火花が散ってます。入谷隊長たち3人はその火花を浴びてます。
「く、くそーっ!」
 それを見てマニアたちが歓喜の声を上げました。
「す、すごい!」
「どこにジャンプアウトするのか、わかってたみたいだ!」