女神隊員の攻撃は続きます。今度は両腕をL字に曲げ、両ひじを腋に付けました。その両手には光のエネルギーが集まっていきます。それを見てマニアたちはまた歓喜です。
「おお~ ヘルメットレディの光線技だ!」
「こんな大技まで見せてくれるのかよ!」
が、両者の間にストーク号が割り込みました。ストーク号は女神隊員に顔を向けてます。香川隊長が呼びかけました。
「もういいだろう!」
「隊長、撃たせてください!」
女神隊員は涙声でした。
「相手が憎いのはわかる。でも、あいつらはテレストリアルガードスペースステーションJ1の隊員だ。我々と同じテレストリアルガードの隊員なんだ。もしあいつらを撃ったら、もうお前はテレストリアルガードの隊員じゃなくなるんだぞ!」
それを聞いて女神隊員は両手をだら~んと下げました。今女神隊員はテレストリアルガードの隊員という以外、身分を保証するものがありません。テレストリアルガードをクビになったら、その先どんなひどい運命が待っているのかわからないのです。
と、スペースストーク号が急浮上を始めました。それを見て橋本隊員が、
「逃がすかよ!」
ヘロン号がビームを発射。それがスペースストーク号の後部に命中。スペースストーク号はゆっくりと落下していきます。それを見てマニアたちはまたざわつきました。
「な、なんだ? テレストリアルガードの中で内紛が起きてるのか?・・・」
ここはテレストリアルガード基地内。以前女神隊員が尋問された会議室です。今はJ1の3人が詰問されてます。3人ともパイプイスに座らされていて、両手は後ろ手。その両手には長机を絡ませる形で手錠が掛けられています。ふつーの手錠ではありません。腕のサポーターのようなものを鎖でつないだ、電気ショックが流れる手錠です。この様子は2台のムービーカメラで撮影されてます。J1の3人にはあまりにも屈辱的な対応です。
入谷隊長が発言しました。
「ふっ、こんなことして、お前ら、ダダで済むと思ってるのか?」
この3人を詰問してる香川隊長・橋本隊員・倉見隊員・寒川隊員。まずは橋本隊員の発言から。
「それはこっちのセリフだ。お前らの蛮行は全部録画して、もう総理大臣に送ってあるからな。お前ら、全員クビだ。懲戒免職!」
宮山隊員は笑いながら、
「あはは、お前ら、オレを誰だと思ってるんだ? 元総理宮山総一郎の孫、宮川駿介だぞ」
それを聞いて倉見隊員が笑いながら、
「お前さぁ、カメラが廻ってる前で、よくそんな恥ずかしい話をするなあ」
香川隊長が入谷隊長に質問です。
「なぜわれわれを攻撃した?」
「お前らを攻撃したんじゃない。あの女を攻撃したんだ!」
「女神隊員を?」
「ああ。4か月前オレたちはやつが乗っていた難民船を攻撃した。そうしたらやり過ぎだとたくさんの非難がきた。インターネットを通じてたくさんの罵詈雑言がきたんだ!」
「それは当たり前だろ。お前ら、むこの避難民を5000人も殺したんだぞ!」
「何が当たり前だ! 我々は我々の職務を全うしただけだ!
1か月前やつらの遺体写真が流出した。そうしたらその罵詈雑言は止まった。逆によくやったというメールまでいただいたよ。でも、それは持って3日。4日目あたりからまた罵詈雑言が復活した。いや、逆に激しくなった。中にはオレたちの写真を一つ眼にしたコラ写真や、黒焦げ死体にしたコラ写真まであったよ。あれは参ったな・・・
このままでは我々の業務に支障が出ると思い、そこで対策会議を開いた。そこで出た答えは2つだった。1つは、あの事件の唯一の生き残りのあの女に謝罪して、その映像を公開する」
「もう1つは?」
入谷隊長は少し考え、ぽつりと言いました。
「ビデオ止めろ」
香川隊長もちょっと考え、倉見隊員と寒川隊員を見ました。
「おい、止めてやれ」
「はい!」
2人はそれぞれムービーカメラを止めました。香川隊長はそれを確認して、入谷隊長を見ました。
「ビデオ止めたぞ」
しかし、入谷隊長は無言です。香川隊長は促しました。
「おい!」
入谷隊長は苦虫を潰したような顔を見せ、そしておもむろにしゃべり始めました。
「もう1つの答えは、あの女を殺すことだった」
倉見隊員と寒川隊員はその言葉を聞いて唖然としました。橋本隊員は苦笑しました。そして香川隊長の発言。
「なんでそんなことを?」
「地上ではあの女の人気はうなぎ昇りだった。それに反比例する形でうちに来る罵詈雑言が増えていった。なら、あの女を殺せば罵詈雑言は止まるんじゃないか? そういう結論に達したんだ。ま、それでもJ1の中では謝罪派が過半数だったが・・・」
「ふつーの思考の持ち主だったら、そんな結論にはとうてい到達しないな」
その香川隊長の発言に宮山隊員が応えました。
「それだけオレたちは追い込まれてたんだ!」
入谷隊長は言葉を続けました。
「そんなとき、昨日だったな、認識ステルス機能を作動させた未確認飛行物体が大気圏に突入した。我々は慌ててスペースストーク号であとを追い駆けた。しかし、未確認飛行物体を追い駆けていたとき、オレたち3人はこんな会話を始めたんだ。地上ではすでにテレストリアルガードが対応しているはず。なら、そこにあの女がいるんじゃないか? なら、あの女を殺す絶好のチャンスになるんじゃないのか? J1では謝罪派が過半数だったが、我々3人は暗殺派だったんだ・・・」
橋本隊員の発言。
「そこで昨日認識ステルス機能を発動させたまま、女神隊員を襲ったんだな」
「まさかあのユニホームにあれほどの耐性があってたとは・・・ 中の人に合わせて巨大化したんだから、生地の密度は低くなると思ったんだが・・・」
今度は香川隊長の発言。
「お前たち3人はその後何食わぬ顔でJ1に戻って、あらためてうちに来たんだな」
「ここに来るとき謝罪派に詰め寄られたよ。テレストリアルガード本部に行くんだったらちゃんと謝罪してこいと。お前らがあの女を隠さなきゃ、この件は穏便に済んだんだ!」
「そっか」
隊長はなぜか苦笑してます。と、その左手のサポーター型無線機(兼携帯電話)が鳴りました。
「ん?」
隊長はそれに出ました。
「もしもし・・・」
隊長の顔色は急に変わりました。
「はぁ~・・・」
その一言で会議室の空気が変わりました。隊長は一同の顔を見て、
「おい、その3人を離してやれ。放免だってよ」
テレストリアルガードの4人の隊員はびっくりです。
「ええ?・・・」
香川隊長は宮山隊員を見て、
「ふっ、お前のじーさんの政治力を十分見せてもらったよ」
宮山隊員はニヤっと笑いました。
「ふふ、そうですか。今後は十分気を付けてくださいね。あははは~」
サブオペレーションルームです。女神隊員はイスに座ってます。今は前髪のウィッグだけで特徴的な単眼を隠してます。なんか下を向いてます。何かを待ってるようです。と、今ここに香川隊長が入ってきました。女神隊員はピクンと反応しました。奥に座ってた上溝隊員も隊長に気づき、振り返りました。
「あ、隊長、どうなりました?」
「釈放だ」
「え、ええ~?・・・」
バーンとテーブルを叩く両手。振り向くと女神隊員が下を向いて立ってました。女神隊員は隊長を見て、
「なんで、なんで無罪なんですか?」
「無罪とは言ってないぞ。今日のところは一時釈放だ。あと1時間もすればJ1から迎えが来る」
「なんで? なんで! あいつら、たくさん悪いことしたのに!」
「残念だが、この国の今の法律では、裁けるかどうか、五分五分てところなんだ。
あんたは自分の同胞を大量に殺した罪で裁きたいと思ってるみたいだが、こればっかりはどうしようもないんだ」
「で、でも、テレストリアルガードにも攻撃した!」
「だから、あれで罪に問えるかどうか、半々てところなんだよ。ま、テレストリアルガード法には明確に違反してるが、それでも懲戒解雇がやっとってところなんだ」
「なんで、なんで・・・
うおーっ!」
女神隊員は吼えました。上溝隊員はびっくりです。女神隊員は両ひじを腋につけました。その手に光のエネルギーが集まってきます。これはあの光線技のポーズです。上溝隊員はあせりました。
「ちょ、ちょっと、ここではやめてよーっ!」
が、隊長は止めようとしません。女神隊員は光に包まれた両手を頭上高く挙げ、そして振り下ろしました。両手が水平になったところで両掌を合すとビームが発生。女神隊員の目の前の壁が粉々に吹き飛びました。
廊下を歩いてた橋本隊員と倉見隊員の目の前の壁が突然粉々に吹き飛び、2人とも目を点にしました。
「へ・・・」
女神隊員の激しい呼吸が響いてます。隊長はそんな女神隊員に声をかけました。
「気が済んだか?」
女神隊員は再び吼えました。今回は半分涙声です。
「うわーっ!」
「おお~ ヘルメットレディの光線技だ!」
「こんな大技まで見せてくれるのかよ!」
が、両者の間にストーク号が割り込みました。ストーク号は女神隊員に顔を向けてます。香川隊長が呼びかけました。
「もういいだろう!」
「隊長、撃たせてください!」
女神隊員は涙声でした。
「相手が憎いのはわかる。でも、あいつらはテレストリアルガードスペースステーションJ1の隊員だ。我々と同じテレストリアルガードの隊員なんだ。もしあいつらを撃ったら、もうお前はテレストリアルガードの隊員じゃなくなるんだぞ!」
それを聞いて女神隊員は両手をだら~んと下げました。今女神隊員はテレストリアルガードの隊員という以外、身分を保証するものがありません。テレストリアルガードをクビになったら、その先どんなひどい運命が待っているのかわからないのです。
と、スペースストーク号が急浮上を始めました。それを見て橋本隊員が、
「逃がすかよ!」
ヘロン号がビームを発射。それがスペースストーク号の後部に命中。スペースストーク号はゆっくりと落下していきます。それを見てマニアたちはまたざわつきました。
「な、なんだ? テレストリアルガードの中で内紛が起きてるのか?・・・」
ここはテレストリアルガード基地内。以前女神隊員が尋問された会議室です。今はJ1の3人が詰問されてます。3人ともパイプイスに座らされていて、両手は後ろ手。その両手には長机を絡ませる形で手錠が掛けられています。ふつーの手錠ではありません。腕のサポーターのようなものを鎖でつないだ、電気ショックが流れる手錠です。この様子は2台のムービーカメラで撮影されてます。J1の3人にはあまりにも屈辱的な対応です。
入谷隊長が発言しました。
「ふっ、こんなことして、お前ら、ダダで済むと思ってるのか?」
この3人を詰問してる香川隊長・橋本隊員・倉見隊員・寒川隊員。まずは橋本隊員の発言から。
「それはこっちのセリフだ。お前らの蛮行は全部録画して、もう総理大臣に送ってあるからな。お前ら、全員クビだ。懲戒免職!」
宮山隊員は笑いながら、
「あはは、お前ら、オレを誰だと思ってるんだ? 元総理宮山総一郎の孫、宮川駿介だぞ」
それを聞いて倉見隊員が笑いながら、
「お前さぁ、カメラが廻ってる前で、よくそんな恥ずかしい話をするなあ」
香川隊長が入谷隊長に質問です。
「なぜわれわれを攻撃した?」
「お前らを攻撃したんじゃない。あの女を攻撃したんだ!」
「女神隊員を?」
「ああ。4か月前オレたちはやつが乗っていた難民船を攻撃した。そうしたらやり過ぎだとたくさんの非難がきた。インターネットを通じてたくさんの罵詈雑言がきたんだ!」
「それは当たり前だろ。お前ら、むこの避難民を5000人も殺したんだぞ!」
「何が当たり前だ! 我々は我々の職務を全うしただけだ!
1か月前やつらの遺体写真が流出した。そうしたらその罵詈雑言は止まった。逆によくやったというメールまでいただいたよ。でも、それは持って3日。4日目あたりからまた罵詈雑言が復活した。いや、逆に激しくなった。中にはオレたちの写真を一つ眼にしたコラ写真や、黒焦げ死体にしたコラ写真まであったよ。あれは参ったな・・・
このままでは我々の業務に支障が出ると思い、そこで対策会議を開いた。そこで出た答えは2つだった。1つは、あの事件の唯一の生き残りのあの女に謝罪して、その映像を公開する」
「もう1つは?」
入谷隊長は少し考え、ぽつりと言いました。
「ビデオ止めろ」
香川隊長もちょっと考え、倉見隊員と寒川隊員を見ました。
「おい、止めてやれ」
「はい!」
2人はそれぞれムービーカメラを止めました。香川隊長はそれを確認して、入谷隊長を見ました。
「ビデオ止めたぞ」
しかし、入谷隊長は無言です。香川隊長は促しました。
「おい!」
入谷隊長は苦虫を潰したような顔を見せ、そしておもむろにしゃべり始めました。
「もう1つの答えは、あの女を殺すことだった」
倉見隊員と寒川隊員はその言葉を聞いて唖然としました。橋本隊員は苦笑しました。そして香川隊長の発言。
「なんでそんなことを?」
「地上ではあの女の人気はうなぎ昇りだった。それに反比例する形でうちに来る罵詈雑言が増えていった。なら、あの女を殺せば罵詈雑言は止まるんじゃないか? そういう結論に達したんだ。ま、それでもJ1の中では謝罪派が過半数だったが・・・」
「ふつーの思考の持ち主だったら、そんな結論にはとうてい到達しないな」
その香川隊長の発言に宮山隊員が応えました。
「それだけオレたちは追い込まれてたんだ!」
入谷隊長は言葉を続けました。
「そんなとき、昨日だったな、認識ステルス機能を作動させた未確認飛行物体が大気圏に突入した。我々は慌ててスペースストーク号であとを追い駆けた。しかし、未確認飛行物体を追い駆けていたとき、オレたち3人はこんな会話を始めたんだ。地上ではすでにテレストリアルガードが対応しているはず。なら、そこにあの女がいるんじゃないか? なら、あの女を殺す絶好のチャンスになるんじゃないのか? J1では謝罪派が過半数だったが、我々3人は暗殺派だったんだ・・・」
橋本隊員の発言。
「そこで昨日認識ステルス機能を発動させたまま、女神隊員を襲ったんだな」
「まさかあのユニホームにあれほどの耐性があってたとは・・・ 中の人に合わせて巨大化したんだから、生地の密度は低くなると思ったんだが・・・」
今度は香川隊長の発言。
「お前たち3人はその後何食わぬ顔でJ1に戻って、あらためてうちに来たんだな」
「ここに来るとき謝罪派に詰め寄られたよ。テレストリアルガード本部に行くんだったらちゃんと謝罪してこいと。お前らがあの女を隠さなきゃ、この件は穏便に済んだんだ!」
「そっか」
隊長はなぜか苦笑してます。と、その左手のサポーター型無線機(兼携帯電話)が鳴りました。
「ん?」
隊長はそれに出ました。
「もしもし・・・」
隊長の顔色は急に変わりました。
「はぁ~・・・」
その一言で会議室の空気が変わりました。隊長は一同の顔を見て、
「おい、その3人を離してやれ。放免だってよ」
テレストリアルガードの4人の隊員はびっくりです。
「ええ?・・・」
香川隊長は宮山隊員を見て、
「ふっ、お前のじーさんの政治力を十分見せてもらったよ」
宮山隊員はニヤっと笑いました。
「ふふ、そうですか。今後は十分気を付けてくださいね。あははは~」
サブオペレーションルームです。女神隊員はイスに座ってます。今は前髪のウィッグだけで特徴的な単眼を隠してます。なんか下を向いてます。何かを待ってるようです。と、今ここに香川隊長が入ってきました。女神隊員はピクンと反応しました。奥に座ってた上溝隊員も隊長に気づき、振り返りました。
「あ、隊長、どうなりました?」
「釈放だ」
「え、ええ~?・・・」
バーンとテーブルを叩く両手。振り向くと女神隊員が下を向いて立ってました。女神隊員は隊長を見て、
「なんで、なんで無罪なんですか?」
「無罪とは言ってないぞ。今日のところは一時釈放だ。あと1時間もすればJ1から迎えが来る」
「なんで? なんで! あいつら、たくさん悪いことしたのに!」
「残念だが、この国の今の法律では、裁けるかどうか、五分五分てところなんだ。
あんたは自分の同胞を大量に殺した罪で裁きたいと思ってるみたいだが、こればっかりはどうしようもないんだ」
「で、でも、テレストリアルガードにも攻撃した!」
「だから、あれで罪に問えるかどうか、半々てところなんだよ。ま、テレストリアルガード法には明確に違反してるが、それでも懲戒解雇がやっとってところなんだ」
「なんで、なんで・・・
うおーっ!」
女神隊員は吼えました。上溝隊員はびっくりです。女神隊員は両ひじを腋につけました。その手に光のエネルギーが集まってきます。これはあの光線技のポーズです。上溝隊員はあせりました。
「ちょ、ちょっと、ここではやめてよーっ!」
が、隊長は止めようとしません。女神隊員は光に包まれた両手を頭上高く挙げ、そして振り下ろしました。両手が水平になったところで両掌を合すとビームが発生。女神隊員の目の前の壁が粉々に吹き飛びました。
廊下を歩いてた橋本隊員と倉見隊員の目の前の壁が突然粉々に吹き飛び、2人とも目を点にしました。
「へ・・・」
女神隊員の激しい呼吸が響いてます。隊長はそんな女神隊員に声をかけました。
「気が済んだか?」
女神隊員は再び吼えました。今回は半分涙声です。
「うわーっ!」