テレストリアルガードのサブオペレーションルーム。イスに座ってる香川隊長が、右手の拳を開けました。すると小さな石が転げ落ち、テーブルの上を転がりました。隊長がそのまま視線を上げると、そこには赤いマントの幼い女の子が立ってました。幼い女の子はマントと一体になったフードをかぶってます。その手には弓矢が握られてます。すでに射る寸前です。女の子がしゃべりました。
「一度言いましたよね。あなたは殺し過ぎました」
隊長はそれに応えました。
「覚悟はできてるよ。さあ、やるんならやってみろ!」
女の子はニヤっと笑うと、矢を放ちました。その矢が隊長の心臓に刺さりました。矢はアサルトライフルの銃弾を数十発喰らっても絶対破れないテレストリアルガードの隊員服をいとも簡単に貫通したのです。
「うぐっ・・・」
しかし、隊長にはまだ息があります。
「くそっ・・・ ちゃんと中まで矢が刺さってねぇじゃねーか! 一気に殺せよ!」
幼い女の子はフードで目が見えませんが、口元は笑ったように見えました。女の子は次の矢をつがえました。が、ここで壁に開いた大きな穴から、女神隊員が突入してきました。
「隊長!」
幼い女の子が矢を放ちました。それを女神隊員がハニカム構造のバリアで防ぎました。バリアを出すポーズは特に決まってませんが、今回は片ひざを付き、両腕を肩よりちょっと大き目なサイズで真っ直ぐ伸ばし、両手を目いっぱいに広げ、バリアを発生させました。それを目の当たりにして、女の子はかなり驚いたようです。正確には、女神隊員の剥き出しになった単眼を見て驚いたようです。
女神隊員は右手で拳銃を作って、光弾を発射。それが幼い女の子の喉元に命中。女の子は吹き飛ばされ、背中を壁に打ち付け、そのままずるずると倒れ込みました。女神隊員は右手で拳銃を作ったまま、女の子のところまで小走りで進み、とどめに2発光弾を発射。その光弾が女の子の心臓を直撃。女神隊員は女の子の生死を確かめるべく、そのフードをめくりました。
「ええ?・・・」
女神隊員は驚きました。その幼い女の子は自分と同じ単眼だったのです。ただ、女の子は鼻のような小さな突起があります。女神隊員にはそれがありません。明らかに違う人種でした。女神隊員は直感しました。この身体は仮の肉体。本物は別のところにある。
と、怪しい女の子の身体は衣服ごと微粒子になり、そのまま消えてしまいました。
「隊長! 隊長!」
女神隊員がその声で振り向くと、海老名隊員が隊長の上半身を抱き上げてました。隊長の意識は消え消えです。
「ああ・・・」
隊長の胸に刺さってた矢が、やはり微粒子のようになり、そのまま消え去ってしまいました。隊長はなんとかしゃべりました。
「えびちゃん、悪いがテーブルの上にある石・・・」
海老名隊員がテーブルの上を見ると、そこには小石が落ちてました。
「その石を大事に保管しておいてくれ・・・
それから、2人とも、今見た怪人は絶対口外しないでくれ。頼む・・・」
隊長の首がガクンと落ちました。それを見て海老名隊員と女神隊員は愕然としてしまいました。
「隊長ーっ!」
自動ドアが開き、上溝隊員が入ってきました。上溝隊員は異変に気付くと、
「い、いったい、何があったの!」
海老名隊員は泣き声で思いっきり叫びました。
「お願い、救急車を呼んで!」
夕焼けの道路を1台の救急車が走ってます。中には隊長が寝かされていて、その傍らで海老名隊員が隊長の手を取ってます。海老名隊員は大泣きしてます。
「隊長・・・ 隊長・・・」
救急車の後ろを1台のセダンと1台の4WDが走ってます。両車ともテレストリアルガードのクルマで、両車ともパトロールランプを出してます。セダンの運転席には寒川隊員、助手席には倉見隊員、後部座席には女神隊員が座ってます。女神隊員はフルフェイスのヘルメットをかぶってます。4WDの運転席には橋本隊員、助手席には倉見隊員が座ってます。5人ともかなり深刻な顔をしてます。
病院の病室です。ストレッチャーで隊長の身体が運ばれてきました。さっそく医師が命令です。
「すぐにレントゲンだ!」
隊長の身体はさらに奥に運ばれていきました。そこに5人の隊員が駆け付けました。さっそくその医師に橋本隊員が質問です。
「どんな状況なんですか?」
「たぶん心臓の疾患でしょう。心筋梗塞か狭心症か・・・ すぐに手術に入ります」
その後隊長の病気は急性心筋梗塞とわかり、すぐにカテーテル手術となりました。右手首からカテーテルと呼ばれる管を入れ、それを心臓まで挿入。狭窄してる冠動脈を治療して終了。手術そのものは1時間弱で終わりました。
それからしばらくして、隊長は目覚めました。
「は・・・
オレはまだ生きてる・・・のか?」
隊長はベッドに寝かされてました。どうやら病室のようです。胸には複数の心電図の電極が取りつけられてます。左腕には点滴の針が刺さってます。窓にはカーテンがかかってますが、外はとっぷりと夜のようです。
だれかが立ち上がったような気配。と同時に、
「隊長」
の声が。隊長が振り返ると、そこにはヘルメット姿の女神隊員が立ってました。
「ふっ、あんたか・・・
帰って来てしまったようだな。なんか、恥ずかしいなあ・・・」
「ほんとうはみんなこの病室にいたんですが、先生がもう大丈夫だと言ったから帰っちゃいました。これ以上テレストリアルガード本部を空っぽにしちゃいけないて橋本さんが言ったもんで。
海老名さんは私と一緒に残ると言ってましたが、明日学校があるからってみんなに説得されて、やっぱり帰っちゃいました」
「あは、そっか。で、あんたはなんで残った?」
「またあの赤い女の子が襲って来るといけないと思って、私は残ることにしました。あ、赤い女の子のことはみんなに話してませんから、安心してください」
「そっか、ありがと・・・」
「あの女の子はなんなんですか?」
「たぶん・・・ いや、またあとで話そう。悪い、今はともかく眠いわ」
「はい」
隊長は再び深い眠りにつきました。しかし、またあの赤い女の子が襲って来るかもしれません。別の怪人が襲ってくる可能性もあります。女神隊員はイスに座ると、寝ずの番を決め込みました。
でも、翌朝陽が昇るころに隊長が目覚めると、女神隊員はイスに座ったまま、眠ってました。隊長はそんな女神隊員を見て、こう言いました。
「ふっ、ありがとうな」
今日も窓の外は晴れのようです。
「一度言いましたよね。あなたは殺し過ぎました」
隊長はそれに応えました。
「覚悟はできてるよ。さあ、やるんならやってみろ!」
女の子はニヤっと笑うと、矢を放ちました。その矢が隊長の心臓に刺さりました。矢はアサルトライフルの銃弾を数十発喰らっても絶対破れないテレストリアルガードの隊員服をいとも簡単に貫通したのです。
「うぐっ・・・」
しかし、隊長にはまだ息があります。
「くそっ・・・ ちゃんと中まで矢が刺さってねぇじゃねーか! 一気に殺せよ!」
幼い女の子はフードで目が見えませんが、口元は笑ったように見えました。女の子は次の矢をつがえました。が、ここで壁に開いた大きな穴から、女神隊員が突入してきました。
「隊長!」
幼い女の子が矢を放ちました。それを女神隊員がハニカム構造のバリアで防ぎました。バリアを出すポーズは特に決まってませんが、今回は片ひざを付き、両腕を肩よりちょっと大き目なサイズで真っ直ぐ伸ばし、両手を目いっぱいに広げ、バリアを発生させました。それを目の当たりにして、女の子はかなり驚いたようです。正確には、女神隊員の剥き出しになった単眼を見て驚いたようです。
女神隊員は右手で拳銃を作って、光弾を発射。それが幼い女の子の喉元に命中。女の子は吹き飛ばされ、背中を壁に打ち付け、そのままずるずると倒れ込みました。女神隊員は右手で拳銃を作ったまま、女の子のところまで小走りで進み、とどめに2発光弾を発射。その光弾が女の子の心臓を直撃。女神隊員は女の子の生死を確かめるべく、そのフードをめくりました。
「ええ?・・・」
女神隊員は驚きました。その幼い女の子は自分と同じ単眼だったのです。ただ、女の子は鼻のような小さな突起があります。女神隊員にはそれがありません。明らかに違う人種でした。女神隊員は直感しました。この身体は仮の肉体。本物は別のところにある。
と、怪しい女の子の身体は衣服ごと微粒子になり、そのまま消えてしまいました。
「隊長! 隊長!」
女神隊員がその声で振り向くと、海老名隊員が隊長の上半身を抱き上げてました。隊長の意識は消え消えです。
「ああ・・・」
隊長の胸に刺さってた矢が、やはり微粒子のようになり、そのまま消え去ってしまいました。隊長はなんとかしゃべりました。
「えびちゃん、悪いがテーブルの上にある石・・・」
海老名隊員がテーブルの上を見ると、そこには小石が落ちてました。
「その石を大事に保管しておいてくれ・・・
それから、2人とも、今見た怪人は絶対口外しないでくれ。頼む・・・」
隊長の首がガクンと落ちました。それを見て海老名隊員と女神隊員は愕然としてしまいました。
「隊長ーっ!」
自動ドアが開き、上溝隊員が入ってきました。上溝隊員は異変に気付くと、
「い、いったい、何があったの!」
海老名隊員は泣き声で思いっきり叫びました。
「お願い、救急車を呼んで!」
夕焼けの道路を1台の救急車が走ってます。中には隊長が寝かされていて、その傍らで海老名隊員が隊長の手を取ってます。海老名隊員は大泣きしてます。
「隊長・・・ 隊長・・・」
救急車の後ろを1台のセダンと1台の4WDが走ってます。両車ともテレストリアルガードのクルマで、両車ともパトロールランプを出してます。セダンの運転席には寒川隊員、助手席には倉見隊員、後部座席には女神隊員が座ってます。女神隊員はフルフェイスのヘルメットをかぶってます。4WDの運転席には橋本隊員、助手席には倉見隊員が座ってます。5人ともかなり深刻な顔をしてます。
病院の病室です。ストレッチャーで隊長の身体が運ばれてきました。さっそく医師が命令です。
「すぐにレントゲンだ!」
隊長の身体はさらに奥に運ばれていきました。そこに5人の隊員が駆け付けました。さっそくその医師に橋本隊員が質問です。
「どんな状況なんですか?」
「たぶん心臓の疾患でしょう。心筋梗塞か狭心症か・・・ すぐに手術に入ります」
その後隊長の病気は急性心筋梗塞とわかり、すぐにカテーテル手術となりました。右手首からカテーテルと呼ばれる管を入れ、それを心臓まで挿入。狭窄してる冠動脈を治療して終了。手術そのものは1時間弱で終わりました。
それからしばらくして、隊長は目覚めました。
「は・・・
オレはまだ生きてる・・・のか?」
隊長はベッドに寝かされてました。どうやら病室のようです。胸には複数の心電図の電極が取りつけられてます。左腕には点滴の針が刺さってます。窓にはカーテンがかかってますが、外はとっぷりと夜のようです。
だれかが立ち上がったような気配。と同時に、
「隊長」
の声が。隊長が振り返ると、そこにはヘルメット姿の女神隊員が立ってました。
「ふっ、あんたか・・・
帰って来てしまったようだな。なんか、恥ずかしいなあ・・・」
「ほんとうはみんなこの病室にいたんですが、先生がもう大丈夫だと言ったから帰っちゃいました。これ以上テレストリアルガード本部を空っぽにしちゃいけないて橋本さんが言ったもんで。
海老名さんは私と一緒に残ると言ってましたが、明日学校があるからってみんなに説得されて、やっぱり帰っちゃいました」
「あは、そっか。で、あんたはなんで残った?」
「またあの赤い女の子が襲って来るといけないと思って、私は残ることにしました。あ、赤い女の子のことはみんなに話してませんから、安心してください」
「そっか、ありがと・・・」
「あの女の子はなんなんですか?」
「たぶん・・・ いや、またあとで話そう。悪い、今はともかく眠いわ」
「はい」
隊長は再び深い眠りにつきました。しかし、またあの赤い女の子が襲って来るかもしれません。別の怪人が襲ってくる可能性もあります。女神隊員はイスに座ると、寝ずの番を決め込みました。
でも、翌朝陽が昇るころに隊長が目覚めると、女神隊員はイスに座ったまま、眠ってました。隊長はそんな女神隊員を見て、こう言いました。
「ふっ、ありがとうな」
今日も窓の外は晴れのようです。