ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

おうち時間2

2020-05-06 12:06:00 | 日記
甲斐さんは…「『ジョーカー』にデ・ニーロが出てるのもあるんですけど
ナンかもう、その内ずーっと、その映画(『キング・オブ・コメディ』)が頭から離れなくて…
やっぱり類似点が多くて…『あっ、ジョーカーの監督、絶対これ好きだったんだろうな』
…って、すごい思ったんですけど…」とおっしゃってましたが

「ジョーカー」をご覧になった方々のレビューを拝見すると…
パプキンが、ジェリーを探して、その事務所中を駆け回り
警備員と「追いかけっこ」になるシーンや
誘拐したジェリーに拳銃を突き付け、テレビ局に電話をかけさせる際に
自分を番組に出演させろという要求が書かれたカンペを
逆さまや裏向きに出してしまうシーンを挙げられてました(笑)

でも、この監禁シーンに関しては、パプキンの共犯者…ジェリーのストーカーであるマーシャが
ガムテープで椅子にグルグル巻きにされ、ミイラ状態(笑)のジェリーを前に
虐待された自分の生い立ちを一方的に喋るわ、ドレスを脱いで歌い出すわ
「愛されたい」「愛が欲しい」という気持ちが強すぎるあまり
目の前にいる「愛しのジェリー」の人格を全く認められないという
狂気のループに陥っていて、相当コワイんだけど(汗)

テレビ局に乗り込んだパプキンが「事前にネタの内容をチェックしたい」と言う
プロデューサーやディレクターに「大丈夫だ、問題ない」と答えたり
収録だけ済ませて、ジェリーが解放されたら
オンエアは見送りたいという姿勢を見透かしたり
「収録が終わったら逮捕する」と告げるFBIのエージェントに
「判ってる。じゃあ、僕はメイクを…」と返したり
彼にとって、いわば、一世一代の大舞台を前にしても
何ら高ぶった様子を見せないことの方が不気味でした(汗)

そして、いよいよネタが披露されると…父親からは暴力、母親からはネグレクト
学校ではイジメを受けて来た、自分の半生を紡いだ自虐ネタが満載で
映画の序盤、妄想の中のジェリーに
「自分の人生を見つめて、イヤなこと、腹の立つことを笑い飛ばして来た」と語っていたのを思い出し
また、最後の「どん底で終わるより、一夜の王になりたい」という言葉にグッと来たんですが

パプキンが、自分の部屋で「ステージに立った」つもりで話したり
ジェリーに聞かせるためのネタをテープに録音したりするシーンで
「1人で何を喋ってるの?」とか「ごはんが出来たよ」と声をかけて来てたお母さんが
ネタの中では「死んだ」って…ガチの「サイコ」!?「ノーマン・ゲイツ」!?とぞわぞわ…(汗)

ちなみに、このお母さんの「声」は、スコセッシ監督のお母さんの声らしい(笑)
もっとも、監督自身もディレクター役を務めてるし
お父さんも娘さんも駆り出され「スコセッシ一族」総出演ですけど…(笑)

ともあれ…幼少期には虐げられ、思い通りに行かない人生を送って来た男が
ついに一線を越え、全てのものを笑い飛ばすしかなくなった…という点も
「ジョーカー」と共通しているみたいですが

パプキンの自虐ネタは、ハッキリ言って面白く
このシーンまで、内容を知らなかった…というか、あえて伏せてあった…とはいえ
勝手に「才能がない」と決めつけていたことを猛省(苦笑)
もしかしたら、ホントに「足りないのはチャンスだけ」だったんじゃなかろうか?
きっかけさえあれば、いずれ世に出られたんじゃ?
甲斐さんが近藤真彦さんに話されていた
「犠牲」になった1人なんじゃないか?と思えるくらい…

まあ、デ・ニーロが「全身骨折で卒業したのは僕だけだ」などと
にこやかにテンポよく話す演技が素晴らしかったことも
大いに関係してるのは間違いんじゃないかと…

ただ、こうしたスタンダップ・コメディ…
アメリカンジョークの「面白さが判らない」とおっしゃる方はさておき
ネタの内容が事実なら…って「ジェリーは縛られてるから出られない(笑)」
と言ってる以上、実際にあったことなんでしょうけど…
何も知らない観客たちが、大笑いしている一方で
「笑うに笑えない」「笑っていいんだろうか」というご意見も多く

「人生はクローズアップで見れば悲劇、ロングショットで見れば喜劇だ」というチャップリンの言葉が
まさに、そのまま当てはまるのも「ジョーカー」に通じるようですが
やはりパプキンは「コメディアン」になりたいのではなく
「有名」になって、愛する女性に認められたい
自分をバカにした奴らを見返してやりたいと思っている点が大きく違います

収録を終えた後、素直に逮捕されたにも関わらず、護送の途中でリタの務めるバーに立ち寄り
店内のテレビで、自分の勇姿が流れるのをリタに見せて
100点満点を取った少年のような笑顔でドヤ顔(笑)
大スター気取りで「君のことは忘れないよ」と言っちゃうパプキン(笑)

懲役6年の実刑判決を受け、獄中で書いた手記がベストセラーとなり
2年9ヶ月で出所するや、テレビ番組に華々しくカムバックするんだけど

ジェリーの事務所のスタッフやジェリーの秘書を始め
パプキンが名乗るたび「ポトキン」だの「ペプキン」だの「パンプキン」だのと
わざとか?ってくらい(笑)聞き間違えられたり
覚えて貰えなかったりしていたのが嘘のように
「ルパート・パプキン!」「ワンダフル!」と繰り返すアナウンサーの声にいざなわれ
笑みを浮かべてステージに立つカットでエンディング…

果たして、このラストは「現実」か?それとも「妄想」か?…ボクは「妄想」派なんですが
「一夜の王」になり、リタにイイとこ見せることが出来たし(笑)
誘拐犯としてではあるものの「有名」になったことで「承認欲求」は満たされただろうし
何度も名前をコールする演出や、ステージで何も語らずに微笑んでいるだけというのが

もう何も語るべきことがないというか、彼の夢はもう叶ってしまっていて
例えば、コメディアンとしてもっと活躍したい
…というような望みは持てずにいるからこそだと思えた訳です
おそらく?自虐ネタも尽きただろうし(苦笑)
ジェリーの言った「続けることのツラさ」は理解できないんじゃないかと…?

もちろん、素直に「現実」と受け取られた方や
ナンなら「ジョーカー」で、デ・ニーロが演じたコメディアンは
「その後のパプキン」じゃないか?説を唱えられる方(笑)
「これが現実なら、犯罪でも何でもやったもん勝ちになってしまう」といった
道徳的な観点から否定なさる方もいらしたんだけど

このラストシーンだけじゃなく「一夜の王」となったステージも「妄想」
…って、まあ確かに、そのシーンでは、観客の姿は映らず、笑い声だけが聞こえていて
「収録番組」なら、あとから笑い声を足すことも可能でしょうし(苦笑)…で
たとえ、披露したネタが「だだスベリ」でも、彼には区別がつかないというか
「当然、ウケるはずだ」と信じているだとか
この作品自体が「全部妄想」とおっしゃる方までおられ、すっかりカオス状態…(笑)
もう一度観たら、また違う風に感じるかも知れません(笑)

余談ですが…タイトルに「コメディ」が付いているので
「コメディ映画だと思ったら、全然笑えなかった」とか(笑)
「せいぜい『ブラックコメディ』ハッキリ言って『サイコスリラー』」(笑)
…といったご意見も少なくなかったんだけど

我が家では、ドラマ「デート」の中で、杏さん演じる理系女子が
長谷川博己さん演じる高等遊民の蔵書を分類するシーンで
「ベルサイユの薔薇」を「植物」に
「忍者ハットリくん」を「歴史」に分類したり(笑)
「バガボンド」を「天才バカボン」の隣に並べたりしていたのを思い出しました(笑)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする