終活ちょいなか暮らし

波に揺られてどんぶらこ人生

供養酒

2015-10-12 | 日記
彼は手で顔を覆い尽くして泣いた。オイオイと声を出して泣いていた。
私たちは側にいるが、静かに目配せしながら話す。

それは、中学校の同級生が、
2年前くらいに乳癌を患い亡くなったという訃報が
グループトークに書かれていたという話になった時のこと。
私は同じクラスになったことも無く、顔も思い出せないが、
彼は高校の同級生。
その彼から、さっきまでの笑顔が消えた。

気持ちの整理がついたのか、
「お線香をあげに行きたいよ!」という彼に、
「こうやって思い出して語ってあげるのも供養だよ」しか言えなかった。

私が死んだら、何十年も前の思い出だけで泣いてくれる人がいるのだろうか…
付き合ったことのある人の訃報を聞いて、泣くのだろうか…

これからも、出会いと別れを繰り返しながら、
永遠に会えなくなった人を偲んでいく。
泣き止んだ彼に
「彼女は亡くなっても、あなたの心の中で生きてるじゃん、
彼女幸せだったと思うよ」

私たちは焼酎を飲み干した。





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