12月29日は嫌な咳が出てbooさんの迷惑にならないように奥多摩駅で撤退したが、30日は睡眠をたっぷりとって休んだ為、体調を戻すことが出来たようだ。
さて、今年の年末年始山行のスタートはボブさんと一緒に行くことになった。
彼とは1月2日の雨ヶ岳、5月の滝子山といずれも(私にとって)どエムなコースをこちらから誘ったが、北アルプスを始めとしてデカイ山をテントを担いでガンガン歩く彼にとっては楽勝だったようだ。
今回は彼の発案で、車1台を道の駅道志に置いてスタートし・・・菰釣山・・・石割の湯をゴールとし、もう1台で車を回収する。7~8時間のロングコースで6時に石割の湯集合とのことだった。電話で説明を聞いたものの・・・の部分はよくわからなかったが、彼と一緒に行くならまぁイイかという感じだった。
今回は2泊3日分の食料や着替えがあり、結構な荷物になったが、これらを30日夜にタントに積みこみ、翌朝3時起床にあわせて21時過ぎにベッドへ。
当日はアラーム一発で起きて、予定通り4時丁度に出発。府中の空も星がキレイで前日に見た天気予報通りの晴天が期待できそうだった。
年末だが未明のこの時間は交通量も少なく、順調に都内と橋本を抜け、道志道へ。
道の駅道志でトイレ休憩。ここで用を足し、ついでにサポートタイツへ履き替えておこうと考えていた。冬の山行ではジオラインを履くことが多いが、今回は下着にユニクロのステテコ、普段着のズボンを履いていた。電車移動なら仕方ないが締め付けるタイツはなるべく履いていたくない・・・
個室に入る直前に彼に道の駅まで来ていることをメールした。彼は埼玉の自宅から直接石割の湯に向かっているはずだ。
個室に入った。
おお、ウォシュレット!
これはイイ。ついでに大きいほうをしちゃおうか。今朝の出がイマイチだったんだよね・・・
ズボンを下ろした頃にメールが鳴った。用を足し、ズボンを履き替えて内容を見ると「用足し終わったら電話をください」だった。
まさに、用を足したなと思いつつ、外に出て電話をかけた。
N「どうしたの?」
B「こっちに着いたら思ったより雪があるんすよ。縦走は大変そうだから道の駅から菰釣のピストンにしませんか?」
N「そうだね。無理しないほうがイイね」
B「それなら出発を遅くしますか?」
N「いや、早めに降りたほうがイイよ。早く降りてくればダイヤに間に合うかもしれないしね」
B「わかりました。これからそっちに向かいます」
トイレから戻るころの様子。まだ日の出前だがボンヤリ明るくなってきた。
彼が来るまでの間にザックの中身を整理したり、オニギリを食べたりしておこう。オニギリを頬張りながら準備を続けた。
んん、アレが無い!
入れたはずなんだが・・・
数分間探した。
なんだ、すでにウェアのポケットに入ってた。そうそう、昨晩速く動けるようにと思って入れて置いたんだ。でも、こんなに慌てていたらしょうがないね。
背後に気配!
B「おざぁっす」
N「おはよっす。思ったより早かったね~」
彼はスパッツを履いており、直ぐにでも歩き出せそうな格好だった。
スパッツを付けることにした。これ位先にやっておかないとね。また彼を待たせてしまった。
そして今日のコースを見せてもらうことにした。
N「え、丹沢のエアリアなの?」
B「そうっすよ。ほら、」
私がもってきていたのは「富士周辺」と「高尾・陣馬」
道志ならこれでイイと思っていたが、これには菰釣山は載っていなかった・・・
歩くコースを人任せにしてはいけないね。
なんだかんだで電話から結構時間がかかり6:40に出発!
橋を渡り、民家の脇を進んだ。
お、紅富士!平野でスタンバイしていれば撮れたかな・・・(コンデジ撮影なのでズームするとイマイチ)
民家の脇の道もこの通り。こりゃ~大変だ。
林道に入るとすっかり雪道に
道志の森キャンプ場にはテントが一つ。こんな時期に泊まるもの好きが居た・・・
7:09 分岐。なるほど2時間弱で着くのか。でも、これは無雪期だよね。今日はどうかな~
轍があるのでこっちだろう・・・
7:54 B「向こうにも道がありますね。でも、轍はこっちに続いているし」
N「そうだね。きっとこっちだよ」
その後も轍とわずかな踏み跡を頼りに一本道を進んだ。
このように踏み跡は明瞭。それをたどる。
B「ほら、でっかいシモバシラ!」
な~んてノンビリ歩いていたが、ここで困ったことになった。
8:34 N「あれ、道がないよ」 B「オレが向こうを見てきます。」
N「どうだ~い」
B「いや、違いますね。」
・・・
B「じゃあ直登しましょう」
たま~にテープがあるものの、スゴイ急坂。ボブさんをひ~こらしながら追いかけた。
9:00 B「このマークはなんすかね。」地図を見て考えてみたものの現在位置は分からず・・・
B「小屋は左から登っていくはずなんですけど、ここは違うな~」
下のほうにわずかにテープがあり、ここが見当違いのルートでは無さそう・・・
ボブさんが一旦下に降り、道が無いか偵察に行った。
数分後、降りても道が無いと戻ってきた。
さすがに間違えたらしいことは分かった。でも、どこにも分岐はなかったはず。それにテープもある・・・
B「10:30まで頑張ってみてダメなら戻りましょう」
N「そうだね。でも、上に行けば何とかなるんじゃない?」
実のところ先ほどの急坂を降りるほうが怖かった。
偵察して疲れている彼を気遣い、今度はこちらが前に行くことにした。
N「これって何の足跡かな」
B「ウサギ鹿じゃゃないっすかね」
人ではなく、ウサギ鹿の跡を追いかけて急坂を進んだ。
さすがにここが正規のルートではないことぐらい気付いていたが、たま~にテープがあるので、なんとかなるはずと信じて進んだ。
どわ~~スゴイ傾斜。もはや急坂という表現を超えていた。
B「のぞむさんどうします。判断は任せますよ」
怖いこと言うな・・・
N「でも、いくしかないでしょ。さっきの所を降りるほうが怖いよ」
9:36 B「じゃあ行きましょう。気を付けてください」
彼がキックステップでつけてくれた跡を必死で辿った。
また、「その枝は頼りにしちゃダメですよ。」とか「そこは幅が広いから気を付けて」などのアドバイスは心強かった。
ステッキを持っていた右手も使わないとどうにもならなくなり、百均の手袋を諦め、やっとこさブラックダイヤモンドのグローブに付け替えた。昨年コージツで店員に勧められたときは結構な値段にビビったが、今回その効果をようやく実感できた。文字通り4つ足で急斜面をよじ登った。
9:49 ようやく平坦なところへ。お待ちかねの標柱があった。
N「現在位置は分かった?」
B「これには東海自然歩道ってありますよね。」
つまりはここはまだ東海自然歩道の楽ちんな道ではないということ。でも、どうにかまっとうなルートにたどり着いたわけだ。
とりあえずオニギリを食べてエネルギーをチャージ。
N「ボブさんはイイの?」
B「いや、オレは平気です」
N「こっちは燃費悪いんだよね~」
9:53 リスタート。
B「ほら雪庇ですよ。キレイですね~」
こちらはボブさんを追いかけるだけで余裕がない。彼は(近眼のハズだが)よく周りを見ているな~
正規ルートのハズだが、相変わらずトレースは無い。
N「ほら、向こう!」
B「元気が出たんじゃないですか~」
先ほどに比べれば楽なのだが、それでも登りは結構キツイ。
B「そう来たか~」
数m先でボブさんの大きな声が聞こえた。
ひょっとしてもう小屋が見えた?
のではなかった。ただし、ここがブナノ丸というピークで、ここを左に行けば今度こそ菰釣山に行けることはわかった。
※レポを作りながら調べるとyamarecoの記録もいくつかヒットした。
彼の説明で山頂へは左(西)側から回り込むように登るはずがはるかに遠回りをして地図にないコースで右側から登ってきたことが分かった。
あれが山頂だろう。今度こそ菰釣山へGO!
そこそこの急坂を進んだ。あれが山頂か?
近寄ってみるとただのピークでベンチがポツンと置かれているだけだった。
向こうに見えるのが今度こそ山頂だ。一旦ゆるく下りヤセ尾根を進む。
10:55 山頂へ。7:09に見た分岐から無雪期で110分のコースを随分オーバーして到着。でも、どこかで間違えたお蔭でバリハイルートをたどり、達成感たっぷりの登頂になったわけだ。
記念写真はもちろんあのポーズ。師範とやってないな~
勿論ランチタイム!
食後はデジイチタイム!
このアングルは新鮮だ。そういえば最近新しい山に行っていない。5月の高水三山以来だ。バリハイになったのは別として見たことのない風景に出会えたのは久々だ。ボブさんありがとう!
南アルプスもチラリ
ズームしてみた。悪沢だ!
このお方の真似アングル!
この付近はすてきなブナが多い。
山頂の様子をもう少し。
この付近の山々を記した巨大な案内板
ぱっと見たときは太陽熱発電かと思ったが、県が設置した「気象観測装置」とのこと。
向こうに見えるのが御正体
先ほど登ってきた道。
富士をバックにお互いに記念撮影
マイナーだが、そこそこ歩いている人も居るハズ。でも、今日は誰も登ってこなかったらしい。
11:55 下山開始。トレースがバッチリあって歩きやすい。
十分ほどで避難小屋へ。とてもキレイ!
正規ルートの分岐にはとても分かりやすい標柱があった。大月などに比べ標柱の少ない道志でもメインルートはこうだよね。
北斜面は一気に雪が深くなってきた。
う~む、歩きにくい・・・せっかく担いできたのだ。ここでアイゼンを履くことにした。これも今シーズン初だったので、あ~だこ~だと試しながらようやくセットできた。
※この時点では左右逆につけている((+_+)) 翌日はちゃんと間違えずにつけることができた。
履いた後はずっと歩きやすかった。もっと早く着けておけば良かったよ。
沢沿いの道へ。
お、今日初めて出会う登山者だ。どデカいザックを背負い、ステッキとピッケルを1本ずつ持っていた。
ボブさんが話しかけると、今日は避難小屋泊まって酒を飲んで過ごすとのことだった。どデカいザックの中には一升瓶が入っているのだろうか。
B「沢の向こうの道はなんですかね~、気になるな~」
でも、ここは道なりに進んだ。
13:10 行きに通ったところへ。そう、ここを左折しておけばバリハイルートを使わずに行けた訳だ。でも、この通り、こっちがルートだと分からない・・・
N「ほら、これ、雪の重みで倒れたんだね。これじゃぁ気付かなくても仕方ないよ」
次の人が間違えないように・・・ボブさんはこういう気遣いのできる人なんだよね~
さっきはここを直進しちゃった訳だ。※帰宅して調べるとここは作業道だった。踏み跡が消えたのではなく、引き返したのだろう。
その後は往路を戻る。
途中の民家で、何か作業をしていたオジーちゃんに挨拶。その後話が始まった。冬はマイナス10℃を下回り、水道が凍ること。丹沢から鹿が蛭を運んでくること・・・
実はダイヤに間に合わないかと思い、早く戻りたかったが二人の会話が弾んでいたので言い出せないでいた。察するにオジーちゃんも若い(?)人と話が出来たのがうれしかったのだろう。
数分後、道の駅手前で、迷彩服に三脚を担いた男性を発見。
これは富士を撮っていたハズと思い、急ぎ足で追いかけた。なんと、丹沢の野鳥を追いかけている方だった。ここでもボブさんはこの方と話が弾み、珍しい鳥や○○が居ることなどを話したそうだ。
その時私はお腹の信号が・・・トイレに駆け込んだ。
未明にウチで出して、朝ここ(道の駅)でちょっと出して、また出たぁ~
トイレから戻ってきたころ、ボブさんがタントへやってきた。相談の結果、花の都のダイヤには間に合わないので、平野で撮影しようと決まった。
後編へ続きます。