東近江市発祥の交通安全啓発看板、「飛び出し坊やのとび太くん」。子どもたちを見守り続け、昨年に誕生50年を迎えた。
キャッチーなデザインからまちのシンボルマークとしても注目され、今や全国各地まで設置運動が波及し、人気映画の作中にも登場するなどその顔は多彩に。
↑写真:滋賀報知新聞より
ここまで愛される背景には地域の地道な活動があった。
「とび太くん」の設置推進や補修に携わる東近江市社会福祉協議会の寺村沙季さんは「地域の自治会などから看板が壊れたりするとすぐに連絡がある。とび太くんが当たり前のものとして地域に支えられ根付いている」と50年の歴史を振り返る。
東近江市観光協会によると、「飛び出し坊や」が誕生したのは1973年。高度経済成長の最中、車の普及で交通事故が全国で多発し、子どもたちの被害も増加した時代。交通安全への願いを込め、八日市市社会福祉協議会(現・東近江市社協)が、地元の看板製作業の久田泰平さん(久田工芸)に依頼したのが始まりとされる。
それから旧八日市市内で看板の設置活動が社協を中心に活発化し、現在は「飛び出し坊やのとび太くん」として認知されるまでに広がった。
東近江市社協の寺村さんによると、自治体などの依頼を通じて社協から毎年約70体のとび太くん看板を提供しているという。この17年間で少なくとも約1200体に上り、PTAや民間団体などが設置しているものを含めるとその数は数千体にも及ぶ。
東近江市社協の寺村さんによると、自治体などの依頼を通じて社協から毎年約70体のとび太くん看板を提供しているという。この17年間で少なくとも約1200体に上り、PTAや民間団体などが設置しているものを含めるとその数は数千体にも及ぶ。
↑写真:滋賀報知新聞より
なぜこれほどまでにとび太くんが広まったのか。
愛くるしいデザインの影響も相まって、設置支援の募金活動など幅広い展開が、地域の地道な活動として今日までつながっている。
↑写真:滋賀報知新聞より
社協では赤い羽根共同募金を活用して、長年にわたり設置支援を行ってきた。現在は募金の使い道を選ぶことのできるテーマ型募金の一つ「子どもを事故から守る募金」などを実施し、最近では、「募金百貨店プロジェクト」を2015年に立ち上げた。
活動に賛同する東近江市内の協力企業が百貨店のように集まり、販売する寄付付き商品の売り上げの一部を同募金につなげるというもので、SDGsの推進も重なり参加企業は現在100社を超えるほどまで拡大。各方面で支援の輪が今も広がり続けている。
↑写真:滋賀報知新聞より
同募金は看板設置の他にも、楽しい学校生活を送れるよう新一年生を迎える子どもたちの入学祝いとして、交通安全が学べるとび太くんのオリジナルノートの贈呈に役立てられるなど、交通教育の象徴としても活躍する。
寺村さんは「長年の活動が今もこうして支えられ、これだけ募金への理解があるのも、とび太くんが地域にしっかり根付いている証拠なのでは。
各自治会からは当たり前のように設置のご依頼が毎年あり、本当に地域の見守り活動に根強くつながっていることをしみじみと感じている。今後も「とび太くん」と共に取り組んでいければ」と話す。
地域の思いを背負って子どもたちを見守り続けてきた「とび太くん」も50歳。まだまだ働き盛りだ。
地域の思いを背負って子どもたちを見守り続けてきた「とび太くん」も50歳。まだまだ働き盛りだ。
<滋賀報知新聞より>