2020年で開設120年を迎える東近江市の「近江鉄道桜川駅」で6月12日、滋賀県文化財保護課による調査があり、駅舎やホームを「歴史的な価値がある」と評価した。
今後、所有する近江鉄道や、環境整備に取り組む地元住民の意向次第で、国の登録文化財となる可能性も出てきた。
今後、所有する近江鉄道や、環境整備に取り組む地元住民の意向次第で、国の登録文化財となる可能性も出てきた。
駅舎は1900(明治33)年10月から利用され、2010年には切符などを取り扱い、駅舎の大部分を占めていた駅務室が無人化、閉鎖された。現在は、一部の待合スペースのみ開放されている。
この日は近江鉄道の社員が同行し、駅務室を解錠。ほこりや汚れが目立つものの、年季の入った窓口や引き出しは明治期の面影を残しており、黒電話や昭和後期の表彰状、8畳ほどの宿直用の部屋も確認できた。
滋賀県文化財保護課は、石積みされたホームも含めて「小まめに改修はされているものの、全体として開業当時のまま残されている」と講評。
所有者による文化庁への資料提出や、同庁による現地確認といった登録までの流れを示した上で「所有者の意向や、地元住民の保存、継承の意思表示が必要になる」と今後の課題を挙げた。
沿線の駅では、彦根市の近江鉄道「鳥居本駅」が登録を受けているが、東近江市内にはない。
調査に立ち会った地元民は「ホームの石一つでも昔のまま残っているとは気付かなかった」と驚き、「地域で守っていかないといけない。当時の証言や写真を集めていきたい」と前向きだったという。
<中日新聞より引用>