何時ものように、自転車でギコギコ。生暖かな風がヒューヒュー。何か不自然、雨が降りそう。晴れが続いているから雨も又良し、降って欲しいと願いながらギコギコ。
「わあ、帽子が・・・」
リリオーは帽子大好き。いっぱい持っている。でも、最近のお気に入りと言うよりずっと被っている帽子がある。毎年、花屋敷ゴルフ場で開かれている「スタジオアリスレディースオープン」に何年か前、ギャラリーとして参加したとき、入場者全員に配られたスタジオアリスロゴ入りの白い帽子。
試合はプレーオフに持ち込み、18番ホールで何度も何度も繰り返されるプレーをグリーン側でずっと見ていた。
でも、少し疲れてトイレに行こうと練習グリーン前に行くと一人のプロが懸命にパターの練習をしていた。18番グリーン上で繰り広げられているプレーオフの大きな声援を気にすることなく自分は自分、この試合の反省と次の試合に勝つためにパターに集中していた。グリーン側では、一人のファンが色紙とマジックペンを持って静かに長い間立っているようだった。リリオーは通り過ぎようとしたとき、プロは練習をやめ戻ろうとした。ファンはそっと色紙を渡すとプロは気さくにサインを始めた。リリオーは私もと帽子を取り渡すと「良いですよ」とサラサラと書いてくれた。
するとどうしたことか、どこから聞きつけたかズラッと並び始めた。プロはいやな顔するどころかにこやかにペンを走らせている。一人も断ることなく、ずっとずっと。「今日はパターがね」と反省やらを話しながら。
3日間戦い、疲れているであろうに・・・今日はここまでと言えるのに・・・偉いなあ!といっぺんにファンになった。だから、この帽子は絶対大事にしないといけない無くしてはいけないんだ。
しかし、だのに・・・「かあさん、私の帽子どうしたでしょうね」と「人間の証明」の映画やジョージ山中の歌が一緒になって飛んでいった。
自転車を止め、あっちに行き、拾おうとすればこっちに行き、あたふた追いかけて、何とかやっとパシッと捕らえることが出来た。あ・あ・あ・しんど。
自転車は蚊帳の外。ずっと向こうの方にポツンと置かれていた。
良かった!リリオーの宝物だもん。飛んでいかなくて良かった!
白い帽子は少し黄ばんでしまったけれど、時々、洗って大事に被っている。
そのプロは少し体調を悪くして休んでいたこともあったが、今年は活躍している。有り難う!ずっと応援しています。