人形と動物の文学論

人形表象による内面表現を切り口に、新しい文学論の構築を目指す。研究と日常、わんことの生活、そしてブックレビュー。

2013年度(2014年)センター試験国語について。

2014-01-21 14:18:44 | 国語教育と文学
何年後かには廃止するとかしないとか、話題のセンター試験ですが。
去年の試験問題(国語)についても記事を書いたので、今年もいちおう書こうと思います。

ただ、試験問題の分析のようなことは、予備校がさんざんやっているでしょうし、
私の専門でもないので言いません。

どうも去年にしろ今年にしろ、小説の問題文がぶっ飛んでいる、と話題になっているようなのですが…
牧野信一にしても岡本かの子にしてもそれほどマイナーな作家とは思えません。
岡本かの子についてはもっと読みにくい小説も多いと思うのですが、今回出題された「快走」は読みやすい。
国語教育においてどれほど狭い範囲のものしか読ませていないのか…ということがよく分かります。


第一問目は齋藤希史『漢文脈と近代日本』より。
『漢文脈の近代』(名古屋大学出版会)という専門書があるのですが、それを一般向けに易しく書いた本ですね。
NHKブックスだったかな、新書。
なので、非常に易しい、読みやすい文章です。

ちなみに『漢文脈の近代』、非常に評価も高くて、いい本。
院生時代に名大で学会があったときに、やる気のない名古屋大学出版会の代わりに私たちが売り子をやったことがあるのですが、
この本、よく売れました。
中世とか軍記物とかの学会だったのですが。
中世や軍記物の専門書(みんな持ってる)よりは、少し専門は違ってみんなが興味をもつ本のほうがよく売れるのかな、と思いました。

それはさておき。
『漢文脈の近代』のほうから出題しても良かったと思うのですけれどもね。
個人的には『漢文脈と近代日本』の文章は大学受験国語としては易しすぎると思います。
内容はいいんじゃないかな。


第二問目がぶっ飛んでいると話題の岡本かの子「快走」。
ですが、昨年の「地球儀」のように凝った構成をしているわけでもないので、問題としてはシンプルだと思います。
昨年の問題については、「地球儀」なのに地球儀の意味を問わなければ意味ないだろ、とケチつけましたが。
今回の問題については、登場人物の心情や内面を問う問題にも、さほど違和感はありません。
心情や内面の動きが、描かれていますからね、いちおう。
解けないことはない。
ただ、心情や内面について問うことそのものの問題については、別に考える必要があると思います。


第三問が『源氏物語』夕霧。
センター試験には教科書や過去の問題集に出題されたものは出題しない、というルールがかつてあったので、
これまでであれば出題されない類の問題です。
このルール、いつなくなったのかな?
漱石が何年か前に出題されたので、そのときにはなくなってたんだと思うのですが。
せっかく『源氏』なのに、なーんかつまんない場面出題してるな-って思います。
和歌が出てこない、っていうのはちょと珍しいかも。


漢文はまあ、ふつう?分かりやすい問題だったと思います。
どうでもいいけど、導入の部分の筍をどうやって食べ、あるいはこうやって食べ、という部分が美味しそう…とか思っちゃった。
筍好きじゃないんだけど…。