「歩々清風ー科学する茶禅の人ー」
堀内宗心 著
(禅文化研究所)
今から8年前の平成19年
堀内宗心宗匠が
卒寿を迎えられた記念に出版されたご著書です
第一章 珠光・紹鴎・利休、そして宗旦
第二章 仏法の根源
第三章 益州老師のこと
第四章 茶の湯の心
第五章 昨今のことなど
第六章 堀内家の茶室
第七章 科学のことなど
第四章 茶の湯の心 において
「お茶を教えるということ」について
書かれている中から
含蓄のある文章の数々を
以下に抜粋させていただきます
教えるためには、
まず自分のお茶ということが大切なのであります。
お茶の点前の中に、
自分で自分を律するという
修練の含まれているということであります。
茶の湯は兼ケではないというのが
私の一貫した持論であります。
茶の湯の世界では
むしろ人間的成長を待つことが
大切なのであります。
お茶を含めて、
人を指導するということは
ひとつの菩薩道であります。
菩薩の指導法は、
つねに相手と同じ高さまで身を落として、
すなわち身を低めて、
そうして人を引き上げるということであります。
茶道の修練、点前の習熟ということについて、
師は常に弟子と共に習うことが必要であります。
点前の修練は、
技量の上達ばかりではなしに、
自己の完成がなおいっそう大切なのであります。
これはお弟子だけではなしに、
師匠自身にも大切なことであります。
(「歩々清風ー科学する茶禅の人」堀内宗心・著 より抜粋)