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「古松談般若」
前大徳積應師
前大徳積應師
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今日は
稽古に来られた方全員が
台天目点てを
稽古なさいました
今月は
週稽古で
台天目の点前をしていただいて
一つ気になったことがありました
稽古にお越し頂いている皆様は
とても稽古熱心な方ばかりで
台天目のお点前についても
よく習得なさっておられます
しかしながら
台にのったお茶碗で
お茶をいただく時
多くの方が
その作法を忘れていらっしゃいました
このことは
以前にも気づいて
私が習事の「台飾」の稽古を
あまりしていなかったことが
原因ではないかと反省して
客としての台の扱いを意識して
「台飾」の稽古をしていただいたことが
ありました
しかしながら
今回私が気になったのは
「台の扱い」云々以前に
お茶を飲む前の
「押しいただく」
という所作に対する姿勢です
普段私たちは
薄茶を飲む前にも
濃茶をいただく前にも
必ず「押しいただく」という所作を
いたします
現在稽古に来られている皆様は
初心者の方でなければ
ほとんど無意識に
その所作を忘れることなく
なさっておられます
しかし
その「押しいただく」行為を
正に”無意識”に
何の意味もなく
なさっているのではないだろうかと
ふと思ったのです
私は
初心者の方々に
お茶の飲み方を説明する時には
いつも
次のようにお伝えしています
**********
このお茶碗に入った一服のお茶が
いただけることのご縁と有り難さ
それは
ある日地面に植えられた
一粒の茶の種が芽を出し
太陽の恵みと十分な雨水により
少しずつ成長し
人の手によって守り育てられ
やがて
美しい新緑の葉が生まれ
それが摘まれ
臼でひかれて『お茶』となり
工場から出荷され
お店で売られ
ようやくここまで運ばれ
今日ここであなたのために
茶筅で点てられ
抹茶という緑の飲物となって
あなたに差し出されました
そして
あなたが今日ここに座って
温かいお茶がいただけるというのは
あなたの家族が無事で
あなたが元気で
途中で事故に合うこともなく
ここに来れたという
その全てが調っていたお陰では
ありませんか?
この一服のお茶を
いただくということは
こんな奇跡のような
有り難いことなんです
その全てのご縁への
『感謝』の思いをしみじみ感じながら
どうぞ『押しいただいて』
味わってください
*************
因みに私は
お茶を頂く前に
押しいただく時には
いつも心の中で
《ありがとうございます》と
唱えています
_(._.)_
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主菓子 通い路 鼓月製
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平泉 黄金餅 松栄堂製