ある先生の
傘寿の祝いのお茶事にお招きを受け
出かけて参りました
お客様は五名で
連客の方々が男性であったり
高齢の方だったりしたために
私はお詰を仰せつかりました
待合には
このお茶事のために
家元に書いていただいたという
宝船の画賛「福来」
露地で迎え付けを受け
入らせていただいたお席は
三畳台目向切り逆勝手
逆勝手!?
確かお茶碗は逆に回すんだったかな?
うろ覚えの私は
席入り早々
困ったな・・・と思いました
点前座正面の壁には
賀寿のお茶事らしい
海老の画賛
甑口の堂々としたお釜から
湯気が上がっております
ご亭主は
傘寿を迎えられた三年ほど前から
お祝いの茶事を度重ねて開かれ
これまでに88名のお客様をお迎えしたのだそうです
お顔の広いご亭主のお茶事の
その末席に加わらせていただいたことは
大変光栄なことでございます
今年
満83歳になられるというご亭主は
とてもそのようなお歳には見えない
美しさとバイタリティを感じさせます
懐石は
柿傳で修行されたという
お嬢様の手料理で
家庭料理とは思えないような
洗練された品々が
手際よく運ばれて参りました
一旦中立をして
静かな銅鑼の音を聞いて
再び席にはいりますと
雪見障子が上げられ
茶室は一変
陽の雰囲気に
そこへ
目の覚めるようなお着物に
お召替えされたご亭主が
お茶碗を手に入室され
茶室が一層明るく感じられました
破袋写しの豪快な水指
その前に置かれた
仕服から取り出されたのは
意外なことに
真塗の小棗
豪快さと繊細さの
絶妙なお取合せです
慶入最晩年の作という
大胆な黒楽との相性も
見事でございました
十分煮えのついたお釜の様子に
続いてお薄が二服ずつ点てられました
十服のお薄を
全て異なるお茶碗で点てて下さり
五名の間を
十個のお茶碗がいったりきたりと
賑やかにお話も弾みました
最後に
お盆の上に
うず高く積まれたお箱が持ち出され
箱書きを拝見しながら
一期一会の余韻を味わい返しました
此度のお茶事は
傘寿を迎えられた先生と
その先生に育てられて
今や先生の頼もしい右腕となって
活躍されているお嬢様との
お二人の息の合った
優美な一会でございました
お茶事は
人を表す・・・
いや
お茶事は
人生そのものだと
あらためて感じさせていただきました
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tomoko
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